日本維新の会の橋下代表に支持率急落の焦りから末期症状が出始めた。「政策」で訴えても違いがないことから「体質」で訴えて違いを出す戦略に転じたのである。

[3日 産経]橋下代表「古い政治体質の人を排除」 維新躍進で

日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は3日、次期衆院選に関し「この機会を逃したら以前の政治の枠組みに戻ってしまう。古い政治体質の人は国政の現場から排除する」と述べ、連携する勢力とともに過半数を目指す考えを示した。大阪市内で記者団の質問に答えた。

橋下氏は、石原慎太郎前東京都知事が結党する新党の母体となるたちあがれ日本のメンバーを念頭に「合理性を感じない人とは政治はやりたくない。古い『真正保守』とか言っている人たちには、早く退場願った方がいい」と重ねて強調した。

これに先立ち出演した読売テレビの報道番組では「今の政治が動かない最大の原因は憲法だ」と憲法改正の必要性を主張。消費税の地方税化と地方交付税の廃止、脱原発依存など、日本維新の政策を説明した。番組後、記者団に「維新の会の主張をしっかり伝えるための理論武装がほぼ整った」と出演理由を述べた。

橋下代表が結集を目指している第三極は消費税増税も原発再稼働も容認である。

このことは、3党合意による談合政治で消費税増税法案を成立させ、原子力規制委員会法案を成立させた民主党・自民党・公明党と同じ政策ということである。

つまり、既存メディアによる第一極、第二極、第三極の政局の動きを伝える報道は、消費税増税容認と原発再稼働容認を前提にしたもので、国民の消費税反対と原発再稼働反対の声を排除していることに等しいのである。

参考記事:消費税増税と原発再稼働の既成事実化を許すな、「近いうち」攻防と「野合」合従連衡で選択肢を排除

そして、日本維新の会は当初自民党の安倍総裁へ新党党首の打診した経緯があることから、安倍総裁が率いる自民党が目指す政策とは違いが無いのである。

さらに、地域主権は法案成立によって全ての政党が掲げる政策となったことから、将来的な道州制という方向性についても決定的な違いが生じないのである。

結果的に日本維新の会は、消費税増税容認と原発再稼働容認では民自公の3党と同じ、憲法改正と教育改革では自民党と同じ、地域主権では全政党と同じとなり違いが出せないのである。

そして、人材も民主・自民・みんなからの寄せ集めであり違いがないのである。
つまり、政策も人材も第一極、第二極、第三極は似たり寄ったりなのである。

このことから橋下代表が、民自公の既成政党と違いを出すためには、フレッシュさをアピールするしか、橋下ベービーズをアピールするしかないのである。

そして、国民に正論と受けとめてもらうため用意したのが下記フレーズとなる。

「この機会を逃したら以前の政治の枠組みに戻ってしまう。古い政治体質の人は国政の現場から排除する」

つまり、現在の国会議員を「古い政治体質」と決めつけて排除を訴えているのだ。

これは、政治家を貶める既存メディアの悪しき伝統と同じスタイルであり、全てにおいて批判しかせず、褒めないことで自分を正当化する行為なのである。

現在の国会議員を「古い政治体質」と否定して一体何が生まれるのだろう。

極論を言えば、橋下代表は「現在の国会議員」を排除して「日本維新の会の候補者」に総取っ替えしたほうが国家運営できると言っていることに等しいのだ。

国民が橋下ベービーズを300人以上も誕生することに賛成できるだろうか。

つまり、橋下代表の「古い政治体質の人を排除」だけでは、「政治はダメ」と国民を洗脳できるかもしれないが、結果としてが何も生まないのである。

政治で大切となるのはこれまで成し遂げた結果と今後成し遂げる目標である。

その意味において、政策に違いがないからというだけで、抽象的な「古い政治体質」との表現だけで民意を得ようという橋下代表の行為は間違っているのである。

このような発言に至るのは、民主党政権が失敗した原因を錯覚したことにある。

橋下代表は民主党が公約に細かく数字を盛り込んだことが問題としたのである。
そして、消費税増税法案の成立させた嘘つき野田総理をベタ褒めしたのである。

つまり、政治においてマニフェストを守ることよりも破ってでも決めきることが大切であり、それのほうが結果的に国民のためになるという認識なのである。

やはり、「ある種の白紙委任」を国民に求めているということなのだろう。

参考記事:橋下大阪市長が「ある種の白紙委任」で過半数獲得を目指す、「数値目標は無理」とマニフェスト批判

これまで「政策、価値観の一致」という言葉だけで国会議員を受け入れてきたことからも、第三極で過半数を取れれば何でもアリという考えなのである。

そして、過半数取れない場合でも政権与党と連携できれば良いのである。

つまり、日本維新の会の消費税増税と原発再稼働の容認は、民主とも自民とも公明ともどの政党が政権を獲っても連携を図るための布石になるのである。

これでは「古い政治体質」も「新しい体質」も全く関係ないのである。

つまり、もし官僚機構の解体、統治機構の改革を訴えるのであれば、その前提として消費税増税には反対すべきであり、原発再稼働には反対すべきなのである。

日本維新の会が、消費税増税の容認することはシロアリ退治しないことであり、原発再稼働の容認することは原子力ムラを温存させることなのである。

現在の国政政党において、次期総選挙で消費税増税の反対を掲げて、原発再稼働の反対を掲げている政党は、第一極、第二極、第三極以外の政党である。

「国民の生活が第一」を中心とした「民意の実現を図る国民連合」しかない。

橋下代表の発言が野田総理の発言と同じに聞こえることは空耳ではない。
両者の言っていることとやっていることの乖離が似通ってきたのである。

民主党政権の失敗は国民との信頼が築けない行為をしたことに原因がある。



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