野田政権は、既得権益を温存させることが国の借金積み増しに加担することになっているを気付いていないのだろうか。

消費税増税でさらなる景気の悪化を招くより、税金搾取の既得権益を打破することで止血するほうがはるかに効率的であろう。

[11日 産経]国の借金、過去最大959兆円 経常黒字半減、国債消化に不安
財務省が10日発表した2011年度の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す経常収支の黒字額は前年度から半減し、15年ぶりの低水準となった。また財務省は、国の11年度末の借金が959兆9503億円となり、過去最大を更新したことも発表した。経常黒字の急減は日本の海外から稼ぐ力が弱まっていることを示し、日本国債を国内で買い支える原資の目減りにもつながる。国の借金が12年度末に1000兆円を突破する見込みの日本が国債の消化で海外の資金頼みが強まれば、国債が売り込まれて欧州の債務危機が「対岸の火事」でなくなる懸念も出てくる。

◆国民1人752万円

財務省によると、国債と借入金、政府短期証券を合わせた11年度末の国の借金は959兆9503億円で、前年度末に比べ35兆5907億円増加した。東日本大震災の復興費に充てる復興債の発行や社会保障費の増加が響いたもので、借金を国民1人当たりに換算すると約752万円となる。

12年度末の借金について、財務省は新規国債の発行などが影響し、1085兆5072億円と1000兆円の大台を突破すると見込んでいる。

一方、11年度の国際収支速報によると、経常黒字は前年度比52.6%減の7兆8934億円で、減少率はリーマン・ショックがあった08年度の49.0%減を上回り、統計の比較ができる1985年度以降で最大になった。

輸出減と輸入増のダブルパンチで貿易収支が3兆4495億円の赤字に転落したのが主因。東日本大震災や歴史的な円高、欧州債務危機などの影響で輸出額が落ち込んだ一方、原発停止に伴い火力発電用の液化天然ガス(LNG)などの輸入額が膨らんだ。

同時に発表した3月の経常収支の黒字も前年同月比8.6%減の1兆5894億円。経常収支は1月に、中国の春節(旧正月)の影響もあって輸出が振るわず過去最大の赤字に陥ったが、2月はこうした特殊要因がなくなったこともあり黒字に戻した。ただ、原発の再稼働はめどが立たず、LNGの輸入額は今後も高止まりするのは確実で、財務省は「日本の対外収支は引き続き厳しい状況が見込まれる」としている。

◆14年度にも赤字転落

市場では「世界経済は少しずつ回復する傾向にあるが、日本の製造業の空洞化と国際競争力低下がそれ以上に進んでおり、14年度にも経常赤字に転落する可能性がある」(クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト)との悲観論も聞かれる。

主要国でも最悪の「借金大国」である日本で債務危機が顕在化していないのは海外から稼いだ資金が家計や企業に蓄えられ、それが金融機関を通じて国債の購入に回っているためだ。日本は国債の9割以上が国内で消化されている。

だが、その原資となる経常黒字が先細りとなれば、欧州の重債務国のように借金の海外依存度を高めざるを得ない。この結果、日本の財政再建への信認が低下すると、海外投資家は日本国債を一斉に手放し、国債価格が暴落して金利が急騰する心配も強まる。

こうした事態を避けるには、投資の加速で海外から受け取る配当や利子である所得収支の黒字を拡大して貿易赤字を穴埋めし、経常黒字を維持する道も模索する必要がある。

驚愕するのは、年度毎に積み増される国の借金の推移である。

(年度)       (国の借金)      (前年度比)
09年度末  882兆9235億円  36兆4265億円増
10年度末  924兆3596億円  41兆4361億円増
11年度末  959兆9503億円  35兆5907億円増
12年度末 1085兆5072億円 125兆5569億円増

遂に2012年度末には国の借金が100兆円以上も積み増されて1000兆円を突破することが確実な情勢となった。

どんどん積み上がる理由は、橋下大阪市長は「年金制度がねずみ講」と言っていたが、正しく「官僚機構がねずみ講」と言えよう。

一度作ってしまった既得権益の構造は続けるしかないのである。

直近では復活した道路建設など公共事業、再稼動ありきの原発事業、効果が不明な除染事業など数多くのムラが存在している。

数十年のスパンに巨額の予算、巧妙なスキームで構築したムラは、利権に群がる一部の人間を潤わせ感覚を麻痺させるのだ。

そして利権が常識であると錯覚させることにより、ムラ住民となることで巨大な既得権益であるムラ社会が形成されるのだ。

一方で、予算の一部を寄付金や宣伝費用として政治家や既存メディアに流すことにより反対派の意見を封じ込める活動も怠らない。

そしてムラをパターン化することにより、官僚機構のねずみ講システムが肥大化が止まることなく増殖され続けているのである。

国の借金は、増殖を繰り返す限り、いくら国民に消費税増税を求めても、いくら国会議員の歳費を削減しても膨らみ続けるのだ。

日本国民がムラ住民になることで仕事が「職業」から「身分」に代わりムラから身分保障される人間に国が給与を配っているのだ。

つまり、民主主義の日本に官僚機構を頂点とする身分保障も配給制度もある社会主義ムラが存在しムラ住民も増加しているのである。

過去の高度成長期には、GDPが増え続けており「日本列島改造論」の大号令で社会主義ムラも必要な政策だったのだろう。

しかし、先進国となって以降バブル崩壊や失われた20年を経てGDPも頭打ちの中、国の借金が膨らむ一方になってしまった。

さらに社会主義ムラも肥大化しすぎて「官僚機構のねずみ講システム」自体が「無用の長物」でしかない存在となったしまった。

そこに登場したのが「脱官僚」を掲げた民主党であった。

政権交代を果たし「事業仕分け」「コンクリートから人へ」と新秩序を構築するのではと国民の期待を一心に背負っていた。

しかし、「脱官僚」を目指した政策は、社会主義ムラの頂点である官僚の指示の下、尽く肥大化したムラ社会の住民の抵抗に遭った。

さらに、ムラ社会の広報担当である既存メディアの攻撃から民主主義の国民でさえ「新秩序=悪」と洗脳してしまったのである。

そこに福島原発事故が起こってしまったのだ。

事故後の対応により、国民は遂に既存メディアの偏向報道を認識して原子力ムラの存在により社会主義ムラの悪事を悟ったのである。

しかし、総理大臣になるまで財務省畑しか歩まなかったことで徹底的に官僚に洗脳された野田総理は醒めなかったのである。

消費税増税ありき、原発再稼動ありき、道路建設の復活、除染ありき、TPPありきと社会主義ムラの旗振り役と化しているだ。

官僚機構+野田政権+既存メディアが一体となった最近の手段を選ばない社会主義ムラの応援運動はさすがに目に余る行為だろう。

いくら消費税を増税して10%、20%、30%と上げていったとしても国の借金を減らすには至らないのは明白であるのに。

現在の日本は硬直化した社会主義ムラにメスを入れないと規制緩和により産業を活性化させないとお金が回らないのだ。

出来る限りこれまでのスキームでばら撒かれる国の補助金を止めないことには約1000兆円もの借金が減らないのである。

社会主義ムラの解体こそ日本再生のカギになる。