:血の系譜 (四十九日)
香典返しも一段落して四十九日となった。
二月の寒さ厳しい中、身内だけで四十九日法要を執り行った。
身内に小さんおじちゃんもいた。
読経が始まるとすぐに私は憑かれたように涙を流した。
とめどなく流れる涙…辛いとか悲しい等の感情はなかった!と記憶している。
ただ流れ出る涙。
焼香を母が行い、次は私の番だった。
とめどなく流れる涙をハンカチで抑え、焼香に向かう。
焼香の際も涙が止まらない。
仏像や花に囲まれた焼香台の向こうに弟の遺骨がある。
私は遺骨に向かい涙を流し続けたまま話しかけた。
『何も出来なかった。何もして上げられなかった。私がモリ君にした事
は一緒に生きる事だけだった。
でも、出来るなら生まれ変わってもモリ君と兄弟になりたい!モリ君は
姉貴とは現世でたくさんだ…って言うかもしれないけれど、お姉ちゃん
はもう一度生まれ変わったら、やっぱりモリ君と兄弟になりたい!今度
こそ、モリ君のよき理解者になるから、またお願いします。』と…。
全員の焼香が済み、納骨となる。
弟は父のお骨の傍に置かれた。
私は納骨される弟に向かい
『待っててね!モリ君一人じゃあ不自由でしょう。お姉ちゃんも急いで行くからね』
と伝えた。
あれから8年…なかなか弟の側に行く機会に恵まれない。