いままではできていた??? | 杉山茂樹のブログ

いままではできていた???


僕は気がつけば、対戦国に肩入れしていた。

日本は、前戦のウズベキスタンに勝って、本大会出場を決めた。
カタールに敗れたところで問題はない。
むしろ膿を出すには、絶好の機会になる。
この際、負けから学ぶことの方が、変な勝利から学ぶことより多いのだ。

実際、カタールは良いサッカーをしていた。
日本より効率的なサッカーを。
チャンスの数でも、質でも勝っていた。
「行け、カタール!」
心の中で、何度連呼しただろうか。

だが、連呼すればするほど、同時に怒りも湧いてくる。
下手だからだ。
なんで、決定的な場面で、あんなへなちょこシュートしか打てないのか!
なんで、ちゃんとトラップできないんだ。
なんだ、あのパスは!

僕は応援するほどに、文句が湧いてくるタイプなのだ。
日本にも文句を言い、カタールにも文句を言う自分が、嫌になってきた。
なんだ、この試合は!
終いには、試合そのものに対して、怒りまくっていた。

でも、それはなぜか楽しく感じられた。
低レベルではあるが大接戦。
B級のエンターテインメントを地でいく好試合に、気がつけば僕は興奮していた。

サッカー観戦が楽しい理由は、そこにある。

チャンピオンズリーグ決勝も楽しかったけれど、カタール戦もそれはそれで面白かった。
この手のエンタメ性を、僕は決して嫌いではない。

ただし、試合後の日本代表監督はいただけなかった。

カタール代表監督が記者会見で口にした「日本はプレスをかけられると、進むべき道が分からなくなる」という指摘を記者から知らされた岡田サンは、こう反論した。
「メッツさんがどう言おうと、いままではできていた。我々には出せる力がある。これまでできていた。1回“負けた”からといって、ガタガタするつもりはない」
実際は“負けた”ではなく“引分け”なのだけれど、そこに“ウケた”人は、あまりいなかった。
「いままでできていた」という言葉に、それ以上に引っかかりを覚えたからだ。

それはいったいいつなのか?
具体的にどの試合なのか?

チリ戦ですか? ベルギー戦ですか?

カタール戦はともかく、岡田サンがこれまでの戦いに、それなりに満足していることは確かだ。
そのうえで「ベスト4」を積極的に口にしているのだ。
「ベスト4に行ける力があると信じている」と言い切っている。
信じるのは自由だが、その論法にどこか宗教的な匂いを感じるのは僕だけではないはずだ。
根拠が見えないのに、妄信的についていくことは、一般人には無理。

だが、岡田サンは選手にそれを説く。
テレビのインタビューには「7、8人は分かってきたみたいだ」と、答えていた。
僕はそうした色に染まる集団を、あまり好きにはなれない。

日本はアメリカに勝てるんだ! と言って、派手に敗れた日本の暗い歴史を思い出す。

ホンダ選手は相変わらず良いと思うけれど、岡田ジャパンそのものは危ない。