「ベルギー代表」って | 杉山茂樹のブログ

「ベルギー代表」って


本日、日本対ベルギー戦を観戦した。
ほぼ満員に膨れあがった国立競技場で。
報道陣も多数詰めかけていた。
もちろんテレビも生中継された。
ゴール裏に陣取るサポーターも、いつものように試合中、ずっと熱狂していた。

ともすると大舞台での大一番のように見えた。
見た目はCL決勝と遜色なかった。

だが、実際の内容は「西が丘」レベル。
大勢の観衆、多くの国民にお見せするシロモノとは言い難かった。

相手の「ベルギー」が、なんといっても弱すぎた。
本来の代表メンバーが15人も来ていないんだそうだ。
金曜日に帰国した僕は、この試合後の記者会見で、初めてその事実を知らされた。
もし僕が1人のファンだったら、「ふざけるな! 金返せ!」と大声で叫んでいたに違いない。

こうした事実は、大抵、試合後になって明らかにされる。
知っていても、サッカー産業の活性化を思うのか、誰も口にしようとしない。
「コンサートに行ったら、実はすべて口パクだった」という事実よりひどい話だ。

主催者にとって「○○代表」ほど、都合の良いものはない。
「ビートルズ」ならば、4人のメンバーのうち、3人欠席すれば、コンサートは成り立たない。代役を立てるわけにも行かない。興業はキャンセルになる。
しかし「○○代表」は15人いなくても、問題にならない。

来日する「○○代表」の中身は、年々低下している。
「別物」に近い代表が来日するケースが増えている。
だが「偽物」ではない。抜け道は用意されている。

一生懸命戦ったであろう岡田ジャパンには申し訳ないが、何かを述べる気持ちは一切湧いてこない。人を欺くような行為には1ミリ足りとも関わりたくないのだ。

日本代表戦の集客力の低下や、視聴率の低下が叫ばれる昨今だが、本来のメンバーが15人もいない「代表チーム」との親善試合は、テレビ中継などする必要ない。それこそ西ヶ丘あたりで、ひっそりやるに限る。

でも、翌日の新聞には「岡田ジャパン、キリン杯優勝」や「ベルギーに4-0で快勝」の見出しが躍る。ベルギー代表の中身も、ベルギーが中1日で戦った事実も、記されずにだ。
それなりに詳しいファンはともかく、それ以外の人は、それをなんの疑問も抱かずに真に受ける。

日本の政治にも呆れるが、日本のサッカー界にも僕は呆れる。
何よりメディアが毒されてしまっている。

誰か止める人、出てこい!