変形性膝関節症の方にかかわらず、膝に注射をすることはよくあります。
最も多いのは「変形性膝関節症に対するヒアルロン酸注射」です。
ヒアルロン酸は元々生体成分で、加齢とともに関節内のヒアルロン酸濃度が低下していきます。
以下、ヒアルロン酸の歴史
1941年,膝軟骨の故障から引退を余儀なくされそうになった競走馬の膝にヒアルロン酸を注入したところ,優勝したために大変なニュースになったそうです.
以後,馬のみならず,犬や牛の関節炎の治療薬としても研究が進められ,人間への応用が考えられるようになりました.
1974年,Peyron,Balazs ,Helfetが,相次いで変形性膝関節症の治療にヒアルロン酸が有効であることを報告しました.
その後,生化学工業が,鶏冠(ニワトリのトサカ)から高純度のヒアルロン酸の精製に世界で初めて成功し,ヒアルロン酸の医薬品としての使用が可能となりました.
以来,本邦ではヒアルロン酸製剤が変形性膝関節症等の治療薬として広く用いられるようになり、いまでは世界的に使われています.
まとめると
ヒアルロン酸は日本人が発明した。
ヒアルロン酸は膝軟骨の障害に効く(痛みをとる)
(ちなみに飲むヒアルロン酸は効かない(理由省略))
よく「膝の注射は痛いからイヤだ」という患者さんがいます。
確かに刺すときは痛いのですが、ヒアルロン酸注入時には正確には痛みはありません。
もし、痛みがある場合は関節外に入っている可能性があります。
関節外注入は針を刺すときよりも、とても痛いので
「膝の注射は痛い=関節腔に入ってない」
といえます。
膝関節の中には「滑膜組織」というものがあり、よくここに注射液が入ってしまうからだと考えられます。
なお、ある文献によれば、膝関節注射で確実に関節内に注入できる医師はベテランでも40%程度とのことです。
膝関節の注射は意外と難しいのです。