♪減塩信仰の”ウソ” | 腸内環境アドバイザー

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◆減塩信仰の”ウソ”

生活習慣病等の原因と言われ、世の中では減塩しなければ!と声高に訴えられていますが、いったい『塩』とは何でしょうか?

おそらく、ほとんどの人が「塩」と「食塩」は同じものと思われているでしょう。

また、化学を勉強された方は、「食塩とは塩化ナトリウム(NaCl)のことである」と解釈されている方が多く、ある辞書には「塩とは塩化ナトリウムを主成分とする塩辛い味の物質。食塩。」と、さも同じ物質の様に書かれていました。

しかし塩には、塩化ナトリウムだけが含まれているわけではありません。

古来、日本において塩(天日塩)は、海水をまるごと凝縮して作るものでした。

そうやってできた塩には「主成分」である塩化ナトリウムのほかに、いわゆる「にがり」の成分である塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウムや鉄分などの「少量成分」が、また「微量成分」として様々なミネラルや酵素も含まれていました。

この様々な「海のミネラル」が含まれてこそ、「本来の塩」なのです。

それなのに、いつ、なぜ塩化ナトリウムや食塩と同意語のようになってしまったのか?

それには、塩の製法や歴史が関わっています。


●塩の製法や歴史

地域によって違いはあり、一概には言えませんが、大筋では下記の様な流れで塩の製法は変化していきます。

【古代】
海藻を利用する「藻塩焼き」とよばれる方法でしたが、やがて砂を利用して濃い鹹水(かん水)を採取して煮つめる方法に移行しました。初めは海浜の自然のままの砂面で採かんを行う「自然浜」で、8世紀ごろにはこの方法による相当な規模の塩産地が存在したことが知られています。

【鎌倉時代末期】
次第に採かん地に溝、あぜ道等がつくられ、「塩浜」の形態が整ってきました。塩浜は原料海水の補給方式によって「入浜式」と「揚浜式」とに分けられます。煎熬(せんごう)工程には、あじろ釜、土釜、石釜、などが使用されました。

【江戸時代初期】
気候、地形等の立地条件に恵まれた瀬戸内海沿岸を中心に開発された「入浜式塩田」が普及発達し、いわゆる「十洲塩田」(製塩の中心地が瀬戸内海周辺の10ヶ国だったためこう呼ばれた)が成立しました。入浜式塩田と塩釜、平釜(鉄釜)によって構成されたこの方法は、約400年間続き昭和30年ごろまで変わりなく盛んに行われました。

【昭和20年代後半】
採かん工程も「流下式枝条架塩田」が登場し長年つづいた入浜式塩田にとって変わり、生産量は2倍から3倍に増加し、労力は10分の1になりました。

【昭和46年以降】
第二次大戦後、GHQによる統治政策の法案により、塩田による伝統的な塩の製法が廃止され、「イオン交換膜法」という化学工業的な製法に全面的に切りかえられました。「イオン交換膜法」とは昭和30年代から試験的に導入されており、海水中のナトリウムイオンと塩素イオンを抽出することを目的としているため、塩化ナトリウムの純度が高くなりやすく、大切な少量・微量のミネラルは排除されています。

これにより「ミネラルや酵素、にがり」を含まない塩化ナトリウムがほぼ100%の塩が供給されるようになり、食塩として流通してきました。

その為、多くの人が「塩」といえば「食塩」と誤解をしてしまっているのです。


●「不純物」こそが「有用なミネラル、酵素」である

現在、塩事業センターが販売する『食塩』(商品名)は塩化ナトリウムの純度が99%以上と定められています。


また、輸入の天日塩を精製加工した『精製塩』(商品名)や、一般家庭でお馴染みの『食卓塩』(商品名)、『クッキングソルト』などの塩化ナトリウム純度も99%以上です。

そもそも明治時代、政府が塩の専売制度をはじめたときに「塩=塩化ナトリウム」と考えたことが「塩化ナトリウムの純度がたかいほど高品質な塩である」という「迷信」を作り出してしまったのです。

しかも、このときに「塩化ナトリウム以外の成分は不純物である」と誤った認識が広まってしまいました。

しかし、その「不純物」こそが生き物にとって「有用なミネラル、酵素」なのです。

塩の主成分はナトリウムですが、それはあくまでも主成分であって、「塩」ではありません。

「米」主成分は「デンプン」です。


しかし、「米=デンプン」だとは、だれも思っていません。


それとまったく同じことが「塩」と「塩化ナトリウム」にもいえるのです。

「本来の塩」とは、海水を自然に濃縮したもので、「塩化ナトリウムだけでなく、海水中のさまざまなミネラルや酵素をバランスよく含んだ塩」の事を言います。

それに対して「食塩」とは、「塩化ナトリウムの純度が高くて、他の成分を含まない塩」または「塩化ナトリウムそのもの」の事なのです。


●減塩は人体の低体温化を引き起こす

【減塩運動】
減塩運動は50年ほど前から始まり、日本人の脳裏には『塩分は悪いもの』と克明に焼き付けられていますが、その成果として高血圧の患者はむしろ増加し、高脂血症や予備軍を含む糖尿病、痛風などの患者数も増加の一途を辿っています。
こうした病気の増加の背景には、日本人の減塩による低体温化が大きく関与しています。
体のエネルギー源である糖分の燃焼が悪くなって、糖分が血液中に残ってしまう状態が『糖尿病』。
『うつ』は体温気温が近い午前中に調子が悪く、体温気温が高くなる午後には症状が軽くなる事を考えると、低体温が原因のひとつである病気と考えられます。

【低体温化】
低体温化の原因は減塩だけではありません。

・運動不足
家電製品の普及、交通網の発達

・冷房の普及
直接体を冷やす上に、食事でも体を冷やすものを多くとるため。
冷えからくる病気として「肩こり」「頭痛」「めまい」「便秘や下痢」「生理痛」「むくみ」などで悩む人は増加しています。

・シャワーだけの入浴
シャワーは体表の汚れは落としますが、「芯から体を温める」効果はありません

・水分の摂り過ぎ
日本人の死因の2位3位が心筋梗塞と脳梗塞という血栓症の為、『水分をたくさん摂るべきもの』という説が普及していますが、心筋梗塞も脳梗塞は減っていません。水分は大事ですが摂りすぎると体の中で水害をおこしてしまいます。

・食物の無国籍化
今の日本では年中通して、様々な食べ物が溢れているため、体を冷やす南方の食べ物を夏だけでなく冬にも多食している事が体を冷やす要因になっています。(バナナ、パイン、スイカ、トマト、キュウリ、コーヒー などは体を冷やす食物です)

・塩分の制限
秋田や青森など寒い東北地方の人々は、30~40年前まで高血圧からの脳出血で死亡する人が多く、その原因が塩分の摂り過ぎとされました。(当時30~40g/日、全国平均15g/日)
その為、減塩運動がもてはやされ、全国的な運動になりましたが、昔の東北の人々は塩によって体温をあげる事を知っていたのでしょう。

低体温化は免疫力を低下させ、ガンをはじめ生活習慣病や難病奇病が蔓延する大きな要因となっています。


●なぜ塩が悪者になったのか

塩分が悪いとされたのは、アメリカの学者L K ダール博士が1960年に発表した論文がきっかけとなっています。


その内容が、1日13~14gの食塩摂取する南日本の人々の高血圧発症率が約20%という数字に比べ、1日27~28gと2倍のも摂取量の東北地方の人々は発症率が約40%という結果が出たため「塩分こそ高血圧や脳卒中の元凶である」とされたものでした。

しかし、減塩運動が全国に普及した後でも、日本の高血圧患者はむしろ増加しています。

その後1983年にアメリカのジョン・ラルフ博士はアメリカ医師会の医学誌に「塩は毒物でない」というタイトルで『一般の人々に対して減塩を強いるのは、何ら科学的根拠がなく効果はなかったといえる。食品製造において塩を減らす事は無意味だ。』と発表しています。

また、世界的な高血圧研究の権威で元名古屋市立大学教授の故・青木久三医学博士も「高血圧の原因が塩」とされている固定概念に真っ向から反対している。また、著書の「逆転の健康読本」(PHP研究所)のなかで下記のように書かれています。

「人間は海から生まれてきた動物園です。血液の成分表だって、驚くほど海水のそれと似ています。すなわち人間は一%の塩漬け生物であるともいえるのです。それが塩なしでは生きられるはずがありません」
もし塩が体に悪いというならば、なぜ人間は有史以前から塩をとってきたのでしょうか。

古今東西、塩は世界中で大切にされてきました。

給料を意味する「サラリー(salary)」という言葉は「塩」に由来しています。

日本でも、生活を立てるのに必要な費用のことをさす「米塩の資(べいえんのし)」という言葉があります。

戦国時代、海のない甲斐の国(山梨県)で駿河(静岡県)からの塩の道が断たれたとき、塩がなくては生きていけぬと領民がパニック状態になりました。


ところが仇敵だった越後(新潟県)の上杉謙信が海水の武田信玄に塩を送ったのです。


この話は「敵に塩を送る」として、後世によく知られています。

人間は海の恵である「塩」を軽視して、健康になれるはずがないのです。


●塩の効能

鹹味 かんみ 塩味を出す
② 殺菌力がある 食物の保存 など
③ 旨味を出す 肉や魚の身を引き締め、旨味が凝縮する
④ 体を温める
⑤ 体液の浸透圧を一定に保つ 水分の代謝や体液のpHを維持する
⑥ 神経の伝達に関与
⑦ 筋肉の収縮に必須
⑧ 胃液、腸液など消化液の原料
⑨ 体内の有害物質の解毒   など

逆に塩分の不足は
① 低体温化
② 新陳代謝の低下
③ 食欲、性欲の減退
④ 筋肉の収縮力や神経の伝達作用の低下
⑤ 腎機能の低下         などがあげられます。



●最後に

化学的に作った「食塩」は確かに血圧を上げる可能性があるので、減塩すべきでしょう。


しかし、本物の天然の「塩」は血圧を上げるどころかむしろ一定に保ちます。


むしろ今の日本人は「本来の塩」が不足することで低体温化や免疫力の低下が起こり、それが様々な病気の原因となっています。

今、化学的な「食塩」をとられているのなら、「本来の塩」に変えるだけで血圧は下がる事もあるでしょう。

「塩」は醤油や味噌にも多量に含まれていますのでそれらにも気を使う必要があります。

世間で出回っている数多くの減塩商品には、当然「塩」の旨味を補うために大量の化学調味料が使われてます。


そして減塩のため保存性が悪くなるので、添加物が山ほど入ります。


これでは発酵食品とは呼べず、身体に危険な工業製品です。


私たちは、いま一度「塩」について考えなければいけない時代です。