ここでおやすみ

　ここでおやすみ

　
　
　遠くで響くサイレン
　道づたいに街が凍る
　愛しい想いが
　わざとらしく心に居座って
　
　逢いたい気持ちだけが
　自分自身につらくあたる
　寂しい場面に近づくたびに
　君はいつだって…
　
　
　ふりかえって
　わらってみせる
　持ち直す手が折れそうでも
　鍋底に
　ゆうべの難題が頑固に
　残っていても
　
　髪を少し暗くして
　季節の事　受け入れて
　もしかの時
　立ち止まれる日のためにも
　ここでおやすみ
　
　
　
　純度の高い空気
　夜更けすぎに　まぶたに
　
　このまま二人を
　残したまま
　時間(とき)よ　止めてみせる
　
　
　　コートに付く
　　毛玉さえ
　　繋ぎ止める口実にして
　　流れてくメロディー
　　そのサビさえも
　　抜きにして
　
　　薫のない珈琲を舐める
　　薬指の爪を切る
　　いつまでも
　　引きずってしまわないように
　　ここでおやすみ
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

(c) shesquay　