ドリアン助川原作(ポプラ社)の「あん」です。
この映画のことを知ってから、大至急、図書館に貸出予約を入れ、
まず本の原作を読みました。
本を読了後、映画も見ました。
博多駅に入っているTジョイ博多で1日1回だけ、お客さんは大入りでした。
映画「あん」の公式ホームページはこちらをクリック
この映画は「ハンセン病」=「らい病」の元患者さんを主人公にした映画です。
ハンセン病。名前くらいは聞いたことがあるでしょう。
でも、口や鼻がもげる、とか、手足の指がなくなるとか、伝染するとか、
誤った理解のまま、何だか恐ろしいものと漠然と思っている人も多いでしょう。
いろんな障害、水俣病などの病気、差別問題などについての専門書、難しい本も読みますが、難解で読みにくいことも多いです。質のよい小説や映画は、とてもわかりやすく、とっつきやすく、これらの問題について教えてくれます。だから好きです。
「あん」はハンセン病のおばあちゃんと、どら焼き屋の若き雇われ店長、そして母子家庭の貧しさゆえに高校進学をあきらめようか悩んでいる女子中学生、3人の交流を描いた物語です。
「こちらに非はないつもりで生きていても、世間の無理解に押しつぶされてしまうことがあります。」
14、5歳のときに発症して隔離され、70過ぎてやっと外の世界にできたおばあちゃん。自分が悪いわけでなく、たまたま運悪く病気にかかったという理由で、このような人生を受け入れることを余儀なくされた無念さ。
病気が判明したら即翌日には隔離施設へ連れて行かれます。そのとき、お母さんが娘に着せた服の話が出てきます。とてもつらかったです。
ハンセン病について知りたいというひとのために以下に簡単な説明を書きます。
読みたい人読んでください。
ハンセン病は、遺伝病ではありません。らい菌という菌が原因の感染症です。誰でもなる可能性があるということです。歴史書や絵巻にも古代からハンセン病の人が出ており、昔から知られていました。ハンセン病になると、手足の皮膚の感覚がなくなったりします。それで熱いものを触っても気がつかず、火傷を放置したことが原因で指がなくなったりすることがあるのです。そのような2次的な症状がありますが、ハンセン病自体は死に至る病気ではありません。
外見に目立った特徴があるため、昔からハンセン病の人は差別を受けてきました。先祖が悪いことをした罰があったのだとして「天刑病」と呼ばれることもありました。
戦時中から戦後にかけて、ハンセン病の人は強制的に施設に隔離され、一生施設の外に出ることを禁じられました。その後、アメリカでハンセン病の特効薬が開発され、その薬によって患者さんたちは完全に治癒しました。もともと感染力のよわいハンセン病でしたが、菌が死んでしまって他人に伝染する可能性がなくなりました。
比較的早い時期にハンセン病患者は治癒し、隔離する必要もなくなったのですが、実際に元患者さんたちの強制隔離政策が廃止されたのは約20年前、平成8年のことです。
とてもつらい差別の現実があります。一生隔離施設に押し込められた。患者同士の結婚は認められたが、子どもをもつことは許さない。結婚する条件として、断種手術といって、パイプカットをして子どもができない体にすることを強制されました。また、隔離政策が終わった後も、社会の偏見は根強く、家族からは帰ってこないでほしいと言われ、死んでも家族の墓に戻れる人はほとんどいません。
これは、私がすでに生まれた後のつい最近の日本で起こった、そして今も続いている現実です。ぜひ多くの人に知っていただきたいと思います。

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