この1カ月ほど中国本土での新しいジカ熱患者さんの発生はなかったのですが、先日、北京と広東省で1名ずつの患者さんがみつかりました。
ジカウイルス感染の母から生まれ小頭症となった子供を抱く父親。The Telegraphで報道された写真。蚊の季節です。感染拡大はなんとしても防ぎたいものです。
北京での患者発生は初めてです。これで中国全体では18名、広東省(今回またも恩平市)だけでは12例目。今までの多くの患者さんたちと同様に2名ともベネズエラで感染して中国で確定診断されたようです。
①北京の患者さんは29歳女性、山東省煙台市の会社員。
2016年4月にベネズエラに行き、同地で5月11日に発熱と皮疹で発症、13日に現地を出発して14日に北京に到着。ジカ熱の疑いで直ちに入院となり、唾液と尿の検査で15日にジカ熱と確定されました。
②もうひとりの患者さんは37歳男性、ベネズエラ在住で中国の住所が広東省恩平市です。
4月28日にベネズエラから厦門国際空港に到着。このときは発熱なし。5月8日にのどの痛み、微熱が出現、12日に皮疹と高熱が現れた。14日に血液検査でジカ熱と確定診断され、隔離治療されている。症状は落ち着いている。
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図は中南米のジカ熱流行地域。ベネズエラVenezuelaは中央付近にみえます。BBCのサイトから引用。ジカ熱患者はベネズエラとコロンビアで特に多いそうです。
ベネズエラは原油埋蔵が豊富で、かつ施政者が反米的であったため、中国がいままで多額の援助をしていました。
現在のベネズエラは原油安で経済破たんをきたしています。ベネズエラは中国から600億ドル以上の借り入れがあるものの、返済できないでいるとか。昨日の報道では、中国がベネズエラで建設を進めていた高速鉄道の工事もベネズエラ側からの建設費用支払いが滞り、中断されているそうです。
また、歴史的にべネズエラの中国人移民コミュニティは恩平市出身の人が多数を占めています。
中国でのジカ熱がほとんどベネズエラ由来で、恩平市の人が多いのには歴史的・経済的経緯があります。昔から伝染病拡大は経済活動と関係が深く、ジカ熱も例外ではないようです。