新たなジカ熱患者さんが広東省で1名確認されました。広東省でこれで11名、中国では16例目です。

 

ちょっと油断している間にまた出たのね。

 

この図はよくできている。あずき色はジカ熱が流行している国。ピンクはアクティブな流行がないがジカ熱患者が確認された国で、日本も中国も含まれている。青い線が飛行機の直行路線で、患者がこの路線で移動したと推測される。ちょっと見づらいが日本や中国への路線も描かれている。こちらのHPから引用。

 

今回の患者さんは7歳の女児、ベネズエラ国籍で、故郷である恩平市(またも!)に4月4日に戻って皮疹が出現し、検査で診断が確定しました。病状は安定しており、自宅で経過観察中らしいです。以前と異なり隔離しないようです(もともと隔離の必要な病気ではないが、はじめのころはみな隔離されていました)。

 

 

ジカ熱のウイルスについては、ホットな話題として、急性散在性脳脊髄炎acute disseminated encephalomyelitis(ADEM)を起こす可能性が4月10日にブラジルの研究者から発表されました。

 

ADEMはアレルギー性の脳脊髄炎で、頭痛、不眠、興奮、けいれん、意識障害、運動障害などをきたす疾患です。日本脳炎、狂犬病、インフルエンザなどの感染でも同じ症状が起こります。またジカウイルスによるギラン・バレー症候群とは別の病態です。

 

<参考>ADEM患者さんの頭部MRI写真。この患者さんは左半身麻痺がありました。なおジカウイルス感染ではありません。こちらのHPから引用。

 

ジカウイルスによる小頭症、ギラン・バレー症候群のほかに新たな合併症が今後もわかってくるかもしれませんね。

 

病気の研究はまだ続きます。今、個人でできることは、感染をふせぐこと、つまり蚊に刺されない対策です。

 

[追記]ADEMは特発性感染性予防接種後性、さらに特殊な急性の病型があります。今回の報道を受けて、ワクチンによる予防接種後性ADEMとごっちゃにして、「だからワクチンは危ない」という論調のブログがもう出ています。ジカウイルスの合併症と混同しないように、冷静に対処したいものです。

にほんブログ村 海外生活ブログ 上海情報へ
にほんブログ村