Indie Cindy / Pixes
今でも明確に覚えているのは再結成ツアー、コーストでの来日公演。ピクシーズは何度も聞いていたのできっと驚かないと思っていたけどやっぱり驚いたのが、ブラック・フランシスのよく分からない感情の起伏だった。冷静に歌いながらも突如として爆発する彼のヴォーカルは当時まで僕の見てきたパンク・バンドの叫びとは明らかに異なるモノであり、“コイツは絶対に友達になりたくない”と本能で理解出来るまで予期不可能な振れ幅だった。
あとは、「指が太いデブでもギターなんぞ弾ける」ということ。
さて、再結成のコールからもう10年ぐらい経つらしい。あぁ、そんなに経つんだ~っと感慨深くなることないぐらいに全く音沙汰なし状態だったピクシーズ。なんか気付けばEPを3枚出していたらしく、しかも配信オンリー。そして、ある意味メインのブラック・フランシスと同等の重要性を持つキムがなんと途中で脱退していたということ。
その全てが、その10年間がわずか数秒で僕の頭に情報として入ってきた時、思考停止、そのものだった。
しかも収録曲のほとんどが既発のEPからときたモンだ。(いや、一枚もEP聞いてないから関係なかったんだけどさ、、、)
正直、本作はあまり乗り気じゃなかった。もう僕の中のピクシーズはあの4枚だったし、キムのいないピクシーズにそこまで期待していなかったということもあったし。
でも、一応なんか聞いておくか、と思った時にYou Tubeで聞いた「Greens And Blues」。ぶっ飛んだ。
再結成して10年も経つバンドが出せるはずもない、純粋無垢なイノセンスと淡い情熱。内に秘めた狂気を正気としてコントロールしてしまうオトナの気品とちょっとだけ感じる子供心。僕はこの曲に恋をした。ピクシーズは、ブラック・フランシスはまだこんな心を持っていたのか!と全力で土下座をしたくなった。
が、他数曲良いモノがあったが、10年もかけて、盟友を捨ててまでして獲得したのがコレですか?と、とも思えてしまうのも事実。
blurもローゼスもやっぱ新譜作らないで良かったんじゃないかとピクシーズの新譜を聞いて思ってしまったわけです。
改めて再結成の難しさ、というか一度壊れたモノを元に戻すというのは難しいんだなぁ、、、、っと。
Today's Song : Call Me Baby / Carly Rae Jepsen
新木場でハードロックが鳴り響く中、猛暑の中、唯一清涼感を与えてくれた名曲。コレをかけてくれた人に感謝してます