元同僚(中国人)から連絡があり、平日ランチをした。

彼は、中途採用であるネズミの教育係を買って出てくれた恩人だ。

大きな括りでは同じ業界であっても現在の勤務先は、専門用語が多く、最初は、中国語の

専門用語以前に日本語でもチンプンカンプンという悲惨なスタートだった中、必要な資料と

共に根気よく指導してくれ、今があると感謝している。

彼の結婚式には、家族で駆け付けた間柄だ。

 

そんな彼が、新任駐在員(日本人)と仕事の進め方が合わず、遣り甲斐がないからと国企

(中国国有企業)へ転職した。

あれから2年、国企(中国国有企業)の現実が、見えて来たらしい。

この国企(中国国有企業)では、大学または大学院卒入社組が大半で、中でも出世出来る

のは、背景(親が共産党有力者等)がある社員に限定されている。

中途採用かつ党員でもない彼の出世は、その内、頭打ちとなるだろう。

社風よりも上司である部門長のカラーが強く、日系企業のように頻繁に上司が交代する

わけでもないので、ハズレ上司に当たると終わるらしい。

残業大好きなオバチャン上司の下、時折、付き合い残業をするなんて、以前の彼の姿

からは、少々意外に感じた。

 

会社員をやっていると上司の存在の大きさを痛感する。

毎日が遣り甲斐に満ち溢れ、疲労さえも感じず、充実した上司との思い出がある一方で

女性蔑視の上司に当たり、暗黒の数年間を過ごしたこともある。

いわゆる”粘土層オジサン”は、そもそも職場の華になれる若い女性社員はお好みでも

既婚子持ちは、お気に召さないことは、日々のご発言から明白だった。

女性は、男性の身の回りのお世話をするために存在している、というお考えの持ち主で

結婚とは、母親から妻へお世話係が引き継がれる儀式と信じているようだった。

専業主婦を選択せず、子持ちで働くなんて、生活苦なんだろう、という思考回路。

更に「残業時間が会社規定を大幅に超過し、産業医から指導を受けた。」というのが、

自慢で長時間労働可能な社員こそが評価される、という判断基準。

勤務時間内に業務効率を上げたところで、評価対象にはならなかった。

また、新規提案は不要だから、ルーティーンワークだけやっておきなさい、というお考え。

当然ながら、こういう上司の下で働くと労働意欲を失うが、じっと嵐が去るのを待った。

皮肉なことにこれが、駐在員が頻繁に交代する日系企業のメリットでもある。

”昭和の生きた化石”が、グループ企業へ出向することで、カメのようにのろまな歩みで

あっても会社が求める人材や評価基準は、変化しつつあるのかもしれない、と感じた。

 

元同僚(中国人)と食事をしながら、今では職場が違っても互いに励まし合い、これからも

会社員を続けて行くのだろうと思った。

上海で長く働き続けられるのは、家族の理解や協力以外に懐の深い同僚(中国人)たちに

恵まれたことも大いにあると思う。

 

元同僚(中国人)は、「上司が女性だから・・・云々」という事は、一切愚痴らなかった。

それもこれも女性管理職が珍しくない上海だからだろう。

 

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上海は、昨日19日に梅雨入り。しばらくジメジメした日々が続く。