『eiko[エイコ]』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『eiko[エイコ]』


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【出演】
麻生久美子、沢田研二、阿部サダヲ、玉山鉄二、宇梶剛士、袴田吉彦、南果歩、大杉漣、田口浩正、徳井優、桜井センリ


【監督】
加門幾生



秋森エイコ・23歳は、超お人よしで騙されやすい性分。


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東京近郊のとある住宅街のアパートで、一人暮しをする彼女の部屋には、怪しげな健康器具や安っぽい美容器具、はたまた巨大な彫刻のオブジェが所狭しとひしめいている。


ある日の仕事の帰り道のこと、駅前で彼女を呼び止める女。
怪しげなその女性はエイコに、
「あなた、人生の転換期を向かえてますね」
「え?分かるんですか?」
「顔に出てる」
「顔に?」
「あちらで詳しく話しましょう」


結局、キャッチセールスのその女性から大きな石のついた指輪を買わされてしまう。

それでも明日の幸せを信じ「人生の転機」を実りあるものにしてくれるという、ハッピーストーンの指輪を大事そうに抱えて帰宅する。

早速、その指輪をハメて……
「もう余計なモノを買わなくて済みますように……運がつきますように……でも96万かぁ……」


そんな彼女の元に、やくざ風の男が訪ねてくる。男は、街金の取立て屋だった。

「今日、払ってくれるんだったよな?」
「あの……えと……明日、明日には払います!明日、給料が出るんで!必ず払いますから」
「明日もし払えなかったら、俺の知り合いのところで稼いでもらうからな」
「はい……」


翌朝……
「早く借金取りから解放されますように」
と指輪に祈ってから、勤めているデザイン事務所に出社すると……そこはもぬけの殻。

「え???」

社長は「必ず給料払うから」という置手紙を残して夜逃げしてしまったのだ。

「嘘でしょ……」


彼女のアパートの前には取立て屋が張り込んでおり、帰ろうにも帰れない。


途方に暮れるエイコは、部屋にあった巨大オブジェの作者で恋人でもある戸田を訪ねるが、エイコが金を持っていないと知ると、冷たく彼女を追い返す。


行く当てもなくなったエイコは、おもいきって社長の住んでいたマンションを訪ねるが、玄関から顔を出したのは見たこともない初老の男。
そしてエイコを見るなり、
「加代、加代じゃないか……入りなさい」
「え?いや、違い……」
「いいから入りなさい」
「は、はあ」

どうやら少しボケていて、エイコを加代という女性と間違えているらしい?!

‘加代って誰?……孫?娘?……愛人?’

泊まる場所もないエイコは、このボケ老人・江ノ本にすすめられるまま、この部屋に泊まってしまう。


翌日、改めて戸田のアトリエを訪ねると、そこには大勢の警官が!

「あんた、戸田とどういう関係?」
「付き合ってたんですけど……」
「クスリで捕まったよ」
「え!!」

戸田は麻薬常習の容疑で逮捕され、しかも本命の彼女までいた!

要するにエイコは単なる‘貢ぎ女’だったのだ!


身も心もボロボロになったエイコの帰る場所は、ボケ老人の住むマンションしかない。
自分を迎えてくれた江ノ本の優しい言葉に、彼の胸で泣き崩れるエイコ。

こうして奇妙な共同生活がスタートするが……。


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喫茶店で働き始めるエイコに声を掛けて、いつしか恋人関係になる化粧品セールスマン、エイコに付き纏う謎のストーカー男、そして江ノ本……実はこの3人は裏で繋がっていて……徐々に驚きの事実が判明していく。




とある街で夢見がちに生きる等身大の若い女性「eiko(エイコ)」の日常を描いた、ファンタジックなヒロイン・ムービー。


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どこか孤独で、しかし心底から悪人になれない人々……奇妙な詐欺師やヤクザ、恋人の薬物中毒者たちの不思議な関わりをコミカルに描き出し、いつの間にかエイコが、生きる勇気を持ち、新しい恋人と共に、再び自分だけの人生に踏み出してゆく姿を爽やかに映し出します。



ボケ老人はフェイクで、本当は雇われ占有屋だった江ノ本は、大モトの金を持ち逃げして突然、姿を消してしまう。

自分を騙していた彼を探し続けるエイコ。

ところが……思わぬサプライズが待っていた!

偶然、街中で借金取りと遭遇してしまい慌てふためくエイコに……
「久しぶりだな。借金をチャラにしてくれるいい愛人が出来たんだな?」
「え???」
「江ノ本とかいうジイサンが、あんたの借金を完済してくれたよ」
「…………!!」

しかも借金だけでなく、溜まりに溜まっていたローンまで完済されていた。


エイコへの罪ほろぼしと同時に、真っ当な新しい生活をスタートさせるケジメとしての江ノ本の行動だった。


「一緒にいて楽しかった。凄く楽しかった。あれが嘘だったらと思うと怖かった。よかった……」


江ノ本は死んだ妻への面影をエイコに、エイコは生き別れた両親への面影を江ノ本に……と追い求めていて、いつしかかけがえのない存在になっていたのである。



男に、詐欺師に、キャッチセールスに……根っからのお人よしが災いして騙されてばかりのエイコを演じる麻生久美子が、とてもキュートで魅力全開。

キャッチボールシーンでの‘女の子投げ’が、メッチャ可愛いです!