JR北海道キハ143形 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


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客車から気動車へ。「ハコにディーゼルエンジンと運転台付けりゃ終わりじゃねーの?」と言いたい所ですが、実は結構厄介で難しいらしく、前例はあまり存在しません。そんな中でも割と成功している事例がキハ141系です。50系51形客車にエンジンと運転台を取り付けて登場しました。この改造を行ったのも苗穂の匠達です。恐ろしい・・。元々は学園都市線こと札沼線で活躍していましたが、札沼線電化により多くの車両が廃車や海外譲渡となっており、現在残っているのはこのキハ143系のみとなり、室蘭本線へと活躍の場を移しています。活躍の場を移して置き換えたのは「赤電」こと711系電車です。あれ?・・そんなこんなで、室蘭本線の電化設備は、特急「すずらん」6往復のために存在しているともいえます。

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札沼線で運用されていた時には50系客車の面影を残しすぎている付随車、「キサハ144形」を組み込んで3両編成となっていましたが、現在は2両編成となっています。時速はオホーツク用キハ183系もビックリの110km/h、学園都市線ではせいぜい最高速度85km/hしか出せませんでしたが、キサハ144というリミッターを解除し、特急・貨物街道である室蘭本線を爆走する架線下ディーゼルカーとして活躍しています。

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室蘭本線転用に際し、閉鎖されていた方向幕部分を再開削し、LED表示機をぶちこんでいます。国鉄型車両とのアンマッチさが何とも言えません。

 

なお、運用の都合でまだまだ札幌駅にも顔を出しています。

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車内です。ベースは50系客車時代と同じですが、気動車化とJR北海道オリジナルの手を加えて独特のテイストとなっています。

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ドアです。片開き式なのはJR北海道のアイデンティティとも言えます。かつて運用された学園都市線の混雑対策の一環として半自動機構も備わっており、ドア横には開閉ボタンが設置されています。しかし、東室蘭の発車待ちの際、ドアは自動扱いで開きっぱなしでした。寒いってマジで…。

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現在では車端部に当たる区画です。50系客車時代は寒気対策としてデッキが備わっていましたが、気動車化に際してそのほとんどが撤去されています。混雑対策とはこのことで、デッキの代わりに先述の半自動機構が備わったようです。

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妻面にはゴミ箱が置かれています。専用に窪みが設けられており、ピクトグラムも貼られています。

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「冷房車」の文字。今でも非冷房の車両がウロウロしてる北海道において一つの先を行くアイテムな感じがしますが、全国的に冷房付きが一般的になった今時代を感じさせるアイテムの一つとも言えます。ステッカーもくたびれてますね…。

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最前面です。ワンマン運転のための機器を搭載しており、運賃箱・整理券発行機等が備わります。そして運賃表示機はなんとLCDディスプレイとなっています。何気にJR北海道では初採用ですね。

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天井です。先程のステッカーの通り冷房化されており、中央にはダクトがドーンとぶら下がっております。照明はカバー無しの蛍光灯、荷棚の上には非常用のはしごが置かれています。

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窓です。北海道らしく窓は小型で二重窓となっています。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプで、同地区で共に走るキハ40と同様です。

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座席です。まずはボックスシートから。モケットはグレーになっており、同地区で走るキハ40のモケットが軒並み紺色ばかりなので一線を画しています。これが利用者が多い学園都市線を走った証でしょうか。

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モノ自体は国鉄型車両共通のボックスシートです。脚はキハ40と同様ですね。窓枠部分が微妙に広げられており、ペットボトル程度のものが置けるようになっているのも共通しています。冬季は二重窓が降ろされてあるので少々スリリングになりますが(^^;;  気動車ゆえ窓側の足元に配管が通っていますが、これは客車時代からこのまんまです。

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反対側の1人掛けです。こちらも学園都市線の混雑緩和策のひとつで、ちょうど2人掛けを半分にしたような形です。

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日中を中心に向かい側に人が来ることも少ないので、一人旅の方を中心に人気です。座り心地は安定の国鉄設計、腰部分の張り出しと座面の角度がマッチしていて安心できます。

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ロングシートです。3+3の6人掛けです。座席下はステンレスのメッシュカバーで覆われています。

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優先座席とセットになったロングシートです。ラベンダー色のモケットにして区別していますが、731系等に見られる踏み絵のごとし床の表示はありません。座り心地は座面は程よいバウンズ感ですが、背ズリは薄めです。

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車端部寄りのドア付近にある立ち席スペースです。やはり混雑を緩和するためのもので、どうしても撤去出来なかったであろう出っ張りを生かしたかったのでしょうか、角に当たる部分にクッションが取り付けられています。立ち席時に少しは楽にいられますよね。

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向かい側の立ち席スペースです。こちらには窓も備わり、結果として車椅子スペース的にも使用できるようになっています。まずはステップという関門を越えなければなりませんが…。

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その証拠か、様々な保安装置がここに集約されています。

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トイレです。中は和式となっています。

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懐かしさがこみ上げる温度計です。

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オリジナルの50系客車は今や観光用を除いて全滅、改造グループも廃車や海外へ旅立っていった車両も多くいます。少しでも長く頑張ってほしいですね。