JR西日本115系3000番台 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

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本州の直流電化区間の至るところで見ることが出来た115系、その中でも割と特異な存在なのが、山口地区を中心に活躍する3000番台です。227系が導入されるまでは、30年以上に渡って広島地区に導入された唯一の「新車」でした。新幹線開業以前の国鉄在来線は大阪と東京近辺を除いて優等列車・貨物列車優先のダイヤで、普通列車は1時間に1~2本の長編成列車が走るというダイヤでした。新幹線開業以降は在来線優等列車が軒並み廃止されたことから各地で普通列車の短編成化・高頻度化が行われました。このグループは、そんな事情から増加する運用数に対応する為に増備されました。

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登場当初はクリームに青い帯が入った瀬戸内色と呼ばれた塗装でしたが、広島空港開業によるアクセス列車としてイメージアップを図る為にホワイトに灰色・水色・青色・赤色の帯を配した「広島快速色」に塗装変更、体質改善工事施工に伴いJR西日本更新色に再度塗装変更、さらに使用塗料数の削減によるコストカットを目指して導入された地域単色化計画に基づき、現在は濃黄色の通称「末期色」と呼ばれる塗装となっています。

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他の115系と異なりドアは片側2箇所とされており、雰囲気としては同時期に京阪神地区に導入されていた117系に近いものがあります。広島地区・山口地区を中心に活躍し、乗り入れの関係で岡山地区にも顔を出していましたが、2016年3月のダイヤ改正で広島地区の車両を全て3扉車に統一されたため、現在は山口地区に全車が集結しています。

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車内です。今では227系も含めて転換クロスシートが大半を占めるようになりましたが、かつてはほぼ全ての車両がボックスシートで、この3000番台が唯一の転換クロスシート装備車でした。一度体質改善30N工事が行われていますが、元より転換クロスシートで登場していたため化粧板や座席モケットの変更などに留まっています。

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ドアです。化粧板は貼られていない国鉄らしいデザインです。ドア上のエンジンカバーの張り出しも気になりますね。

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半自動ボタンです。後の改造で設置されたもので、外側は開けるボタン、内側は開閉両方のボタンが備わります。どうしようもなかったのか、内側は後付け感満載ですね。

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車端部です。広島地区の115系は車端部をボックスシートとしているのですが、3000番台は2ドア転換クロスシートという詰め込みの利かなさを考慮してか、JR東日本エリアで導入された115系と同じくロングシートとなっています。

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優先座席を有する車端部です。本来優先座席は一部座席のみを充てることが多いのですが、全席が優先座席に指定されています。アーバンネットワークの通勤電車でも同じ傾向が見られるので不思議ではありませんが、やはり壮観です。

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トイレを有する車端部です。何やら、色んな系列と色んな時代をミックスし過ぎたカオスな空間となっています。

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最前面です。やはり国鉄クオリティなのでしょうか、高運転台であるために仕切り窓がかなり高い位置にあるのはお馴染みです。

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天井です。国鉄型車両のポリシーとして、「クロスシート上には吊革を設置しない」というものがあるのですが、この思想はもちろん3000番台にも受け継がれています。立ち客が溢れるほどの混雑もない路線ならまだ分かりますが、広島シティネットワーク形成による乗客増加で、捕まる所が座席の持ち手のみというのはかなり酷です。そうそう、照明は相変わらずカバー無しの蛍光灯です。

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窓です。117系0番台を思わせる田の字窓が並びます。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。

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座席へと参りましょう。まずはクロスシートから。

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転換クロスシートです。やはり同時期に登場した117系と同じものが設置されています。体質改善工事でモケットが変更されています。このモケットは、後に転換クロスシートに改座された車両を除いた国鉄型車両に多く見ることが出来ます。背ズリがとても薄いのが時代を反映しており、座り心地もスカスカな印象です。それでもあまり悪い気がしないのは国鉄マジックなのですが、ヘッドレストカバーがありません。この手の転換クロスシートにはビニールタイプのカバーが欲しくなってしまいますね。岡山地区のクロスシートを装備する電車は転換クロスシート・ボックスシート問わず全車両が装備しているだけに物足りなさを感じます。

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固定クロスシートです。肘掛けが転換クロスシートと違って壁に張り付く形となっていますね。

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こちらも117系同様、ヘッドレスト部分が切り立った形となっており、自然な体勢が取れるために居住性は転換クロスシートよりも一枚上手です。そうそう、117系は窓の下辺を広げてテーブル代わりとしていましたが、この車両はそれがありません。細やかな格差構造でしょうか。

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ドア横のロングシートです。2人掛けで、袖仕切りは201系のような肘掛けを兼ねた板状となっています。


車端部の7人掛けです。3+4で区切る形としています。座り心地は国鉄近郊型ロングシートの典型、背ズリに角度が付けられており、ある程度の距離であれば耐えうる仕様にしています。とはいえ座面のバウンズ感は良好ながら、背ズリは硬め基調となっています。

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優先座席です。西日本管内共通のピクトグラムを散りばめたものとなっています。

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最前面の3人掛けと4人掛けです。元々高運転台であり仕切り窓も高いので、前面展望に配慮したものではありません。

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そしてこちらにも優先座席バージョンが存在します。

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トイレ横のセミクロス配置部分です。全区画が優先座席に指定されています。

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固定クロスシートです。優先座席のため、ヘッドレストカバーが掛けられています。トイレの中が直接見えないようにするためにこのような配置となっていますが、「基本はロングシート」という考えのためにやむを得ず設置しているためかなり中途半端な存在です。

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トイレです。化粧板は一時期のJR西日本が好んで使用していたベージュ色のものとなっていますが、中はやはり115系、(悪い意味で)期待を裏切らない和式となっています。

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トイレとドアとの間には車椅子スペースがあります。元々はロングシートがあったと思われますが、体質改善工事の際に座席を撤去して新設したのでしょうね。

~おまけ~


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広島地区といえば、前面表示幕を白幕にするのが国鉄型車両のアイデンティティ(?)みたいなところがありますが、この列車、側面にも何やら異変が・・。

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・・えー、どうやら幕が故障しているようで、限界まで巻いてしまっているようです。かつては唯一の新製車両だったこのグループも、かなり疲れが出てきているようです。

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