地下鉄上飯田線開業に合わせて小牧線に導入されたのが300系です。この系列といえば、名鉄で初めてステンレス車体を採用し、1961年のパノラマカー登場以来40年間ずっと続いてきたスカーレット塗装、「赤い電車」を否定した形となります。基本的に小牧線内限定で全ての運用に就いており、一駅間だけの地下鉄、上飯田線に乗り入れています。
車内です。犬山まで乗車すればまとまった時間になる一方で、ラッシュ時の混雑にも耐えうるよう、一部ドア間をクロスシート、その他をロングシートとしたセミクロス配置となっています。一駅だけながら、地下鉄区間に乗り入れる希少なクロスシート車となっています。しかし、「天井から直接ぶら下がるつり革」など、これまでの名鉄らしい要素が一切感じられないのが少しさびしいです。
ロングシート側から。着色ガラスの影響で緑がかった色合いになっています。車内の配色が寒色系中心になったのも大きいかと思われます。ちなみに、地下鉄直通仕様のため、20m級4扉の構成になっています。
ドアです。これまでドアレール付のドアで製造され続けてきた名鉄の一般車ですが、この系列からドアレールが廃止されています。この辺りは他社の一般的な現在の水準に追いついたと見た方がいいでしょうか。LED表示機は千鳥配置で、二段式表示となっています。上段で種別と行き先を表示し、下段で各種案内を流しています。そして、この系列にはこれまでの赤い電車にはあったとあるものが消えています。それは「鏡」。かつて名鉄のみならず名古屋市営地下鉄にもあった鏡ですが、そんなもの一切付いていません。あっても気付かないようなさりげないアイテムでしたが、やっぱり無くなると少し寂しいなぁ。
最前面です。非常扉が右側に寄せられていること、また地下鉄直通仕様の為、運転台直後に座席は有りません。仕切り窓は地味に着色ガラスになっていますね。
窓です。クロスシート部分は固定窓、一部を除くロングシート上は下降窓となっています。この系列から日除けが廃止され、着色ガラスで済ませています。以降導入された系列も日除けが設置されることはありませんでした。ロングシート部分ならまだしも、外の方向を向く上に日射に晒される可能性があるクロスシートにおいて、この着色ガラスというのはほぼ役に立たないといってもいいでしょう。省メンテナンスもここまで来れば手落ち感が漂うというものです。
座席、まずはロングシートから。赤い電車では一部の例外はありつつも基本的に焦げ茶色のモケットで来ていたのですが、いきなり片持ち式で紫のモケットとなったバケットシートで登場しています。ドア間は2+3+2の7人掛け、その間を区切るようにポールが入っています。このポール、登場当初はピンクで塗られており視認性向上を図っていたのですが、塗装剥げが激しかったのか現在は金属地のままとなっています。袖仕切りは最近の京成や京王でよく見かける日車標準となった感があるものです。いわば板状のものなのですが、JR209系で初登場した標準車両のそれよりも小ぶりなものとなっています。ただでさえ従来の肘掛としての機能なんぞ望めるわけも無いのに、もたれかかるにしても大きさが中途半端、立ち席の方との仕切りとしても不安が残るものというのは一体何を狙ってこのデザインになったのでしょうね?
先頭車両に存在する車椅子スペースです。付帯設備は握り棒に固定用具、非常通話装置となっています。となりには3人掛けの座席が備わりますが、その袖仕切りがもはや衝立レベルになっています(^^;; 混雑時には多少なりとも邪魔になりそうですね・・。
続いてクロスシートです。ドア間2人掛けの転換クロスシートを3列配置しており、ドア横に衝立を設置しています。座り心地ですがこちらもロングシート同様硬め。従来の1000系パノラマスーパー以前の転換クロスシートに慣れていると、その硬さと安っぽさに閉口してしまうかもしれません。
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