・読み終わった日:2010年10月8日
・人物:「私」(田村)
・ストーリー:
私は一等兵としてレイテ島に11月下旬に上陸したが軽い喀血をして野戦病院にいた。
病人は既に沢山いるので私が行くと邪魔扱いされる。
しこし回復したあと部隊に戻ったがとても前線で戦える体調ではなく悩んだ挙げくまた野戦病院に戻る。
それと戻るもう一つの理由は私のように当ての無い人をもう一度見たかったからだ。
病院に向かっている途中に木々や花を見るたびに快感を感じたがそれは自分が死に近づいているからだと思った。
病院に戻るがもちろん断られた。
中隊に戻るとぶん殴られ「病院へ帰れ。入れてくれなかったら死ね。それがお前のたった一つの奉公だ」と言われ私は受け入れらなかったら自決すると宣言する。
歩いていると煙が見えた。
敵か味方か分からなかったで遠回りする。
するとフィリピン人男性が1人立っていた。
会話を試みるがかみ合わなかった。しかし私は男に誰もいない民家に連れて行かれ男は芋をもってきてくれた。
私は食べなかったら違う食べ物を持ってくると言う。
しばらくしても帰ってこなかったので仲間を呼びに行ったのだと思い追いかけたが追いつけなかった。
私は病院に着くと沢山の兵隊がいて「また帰ってきたか」と安田という馴染みの兵士が声をかける。
食料を持っていないかと聞くがみんな腹をすかしていた。
あるとき22歳の兵隊が私に声をかけ身の上話を始める。
彼は女中の子で出征前に母親に会いに行ったら何故来たと怒られ失望したと言う。
今度は私が身の上話をし学生のときに子供を生ませたが父に別れさせられ、あとでその子は兄が面倒をみていることを知り、子供は出来がよかったので少年航空兵となりフィリピンで飛んでいるはずだと彼に言った。
夜中に砲声で目が覚める。
弾丸は近づいているように感じた。
私はみんなといっしょに逃げようとしたが逃げようとしなかったものは既に死んでいたとそのとき分かった。
動けない兵士は残していって逃げ出したが途中戻って助けようと思う。
しかしなぜか私は笑ってしまったがそれは逃げ惑う仲間を見て可笑しくなってしまったのだ。
一人残された私は何日も立つと死を意識する。
あるとき目の前の川を見て自分が死んだら地球の物質の一部になると感じた。
何日か過ぎ私は死ぬときが来たと感じた。
しかし死ぬことを止めるが、それは私は死んでいるから「生」に憧れるのであって、死ぬことに当たらないと感じた。
ある夜私は夢を見たがある村に入ると沢山の人が踊っていたがそれが葬式と分かり棺桶を見ると私の名前が書いてあった。
目が覚め遠くに見えた十字架のある建物を目指すことに決めた。
夜中に出発し険しい道を通ったが朝方になると後悔しはじめる。
いろいろなことを思い巡らせながら何とか到着したが誰もいなかった。
犬が2匹唸りながら近づき一匹が襲ってきたので剣で刺し殺す。
そしてこの村は無人だということに気づき水道の水を飲んだら海水であることがわかり塩が欲しくなった。
その後異臭がしたので経験上それは遺体臭だと分かった。
しかしそれは原形を留めていなかったが日本兵だとわかり凝視することができなかった。
それは巻き割りの跡があったから分かったのであった。
私は誰もいない略奪された荒れた教会に入る。
そして日本で教えられた聖書の一節を思い出す。
しばらく寝るがしばらくすると二人の若い男女が小さな船に乗り陸に上がり私のいる家に来た。
二人は私に気付いていないようだったが、どうやら密会のために来たようで二人はにこやかだった。
そして私は彼らの前に立ちマッチをくれと言うと二人は驚く。
それに反応した私は思わず銃を抜きとても驚いた女性を撃ち死んでしまう。
男は女を残し逃げ私は追いかけるが逃げられる。
そしてまた元のところに戻る。すると塩の入った袋を見つける。
私はそれを持ってその場を立ち去るが女性が叫んだとはいえ何故撃ったのか歩きながら考え続ける。
そして銃を川に捨てるがすぐに後悔する。
歩きながら自分は誰かに操られているように感じ始める。
歩いていると3人の日本兵に会い私は思わず涙を流してしまう。
お互いの状況を説明し私が塩を持っているというと大変喜ばれ少し分ける。
そしてみんなで移動中沢山の日本兵の死体を見る。
そして上官が死体から取ったという銃を私にくれる。
また途中で病院で知り合った安田と松永が負傷により横たわっているところに出くわす。
お互い久々の再会を喜んだが私は移動の途中であり二人を置いて移動する。
私は安田と松永と話をしていたため移動仲間より遅れてしまったが何とか追いつく。
その仲間の1人が私が塩を分けたあと、あの班長を信用するな、と忠告を受ける。
私はその人にパパニューギニアで人肉を本当に食べたのかと聞くが明確には答えなかった。
私は移動中、泥にはまってしまい身動きが取れなくなってしまいそのときこのまま死ぬのかと思った。
しかし何とか抜け出したあたが、その後、敵の銃弾が飛んできて伍長が負傷してしまう。
私は移動しているグループから遅れてしまい一人で歩くがしばらくすると赤十字マークをつけた車が近づいてきた。
私は隠れてその車を遠くから見ていると道に横たわっていた日本兵を車に乗せていた。
私は降伏すれば負傷兵としてあの車に乗ることができ生き延びることができるのではと考える。
一方で日本兵に見つからなければいいとも考えた。
ずっと赤十字車が来るのを待っていたが来なかった。
しかし一台の車が止まりそこには米兵と現地の女性がいた。
その女性が私が撃った女性に似ていると思っていたところ遠くから「降参」という日本兵の声が聞こえ日本兵は二人に近づいて行ったが女性がその日本兵を撃ち殺してしまう。
私は私が殺された気持ちになってしまう。
私は移動中沢山の日本兵の死体を見る。
私は生きているのに生きているという実感が無かった。
移動中わたしは死体から靴を剥ぐ。
また移動すると火が見え、私はそれを見て恐れると同時に怒りもこみ上げてきた。
移動中の私は生きるためにあらゆるものを食べた。
そしてあるとき日本兵の死体には尻がなくなっていることに気付く。