村上春樹 「アフターダーク」 | 七転び八転び!? 15分で1冊 

七転び八転び!? 15分で1冊 

人生、いいことの方が少ない。

「薬害エイズ訴訟」の体験とそれまでの過程、読書の感想と要約をを綴ります。

・読み終わった日:2013年12月2日


・人物


「私たち」(語り手、肉体を離れ実体をあとに残し質量を持たない観念的な視点)、

高橋(大学生、浅井エリの元同級生)、

浅井マリ(大学生、エリの妹)、浅井エリ(マリの姉、高橋の元同級生)、

「顔のない男」(深く眠るエリをテレビ画面から見つめる正体不明の人物)、

カオル(ラブホテルのマネージャー、元女子プロレスラー)、

コオロギ(ラブホテルの従業員)、コムギ「ラブホテルの従業員」

「中国人の女の子」(19歳、売春婦)、「バイクの男」、白川(会社員)



・ストーリー


「私たち」は都会の上空をみる。

そして夜中の12時にファミレスの様子を見る。

そこに浅井マリが1人で本を読んでいた。

そこへ若い男が一人ではいってきて強引に相席を求める。

二人は知り合いで男は高橋と言う大学生で同級生に浅井エリがいてその妹が浅井マリだった。

男はバンドをしてトローンボーンを弾き今練習中だと言い高橋が大体話しその場を去る。


その後今度は大柄の女性がマリの前に来て高橋から中国語が喋れると聞いたと言ってくる。

女はカオルと名乗り元女子プロレスラーで現在はラブホテルの用心棒兼マネジャーをしておりマリをそのラブホテルに連れて行く。

行ってみると暴力を受けた中国人の女の子が裸で泣きじゃくっていた。

マリが通訳をすると観光ビザで入国し言われるがままに客の相手をしたがキレられたと言いカオルはよくあることだと言う。

防犯カメラにより加害者の男を割り出し捜索する。


マリをはじめみんなが分けありの人生を背負っていた。

マリは世間では問題ないが姉を「白雪姫」、自分を「山羊飼いの娘」に例えるほどコンプレックスを持っている。

姉エリは子どもの頃から雑誌のモデルやお稽古事などで忙しく、マリとは疎遠になっている。

しかし2ヶ月前から深い眠りについて起きていない特殊状態にある。

そのためもありエリは家にいたくないため夜中にファミレスにいる。

高橋はバンド活動をしているが近々止め司法試験を目指すことにしている。

そして右の頬の上に、子どもの頃に負ったという深い傷跡がある。

カオルは不遇な家族環境と規格外の体型から女子プロレスラーになったが肉体労働だけに長く続かず今の仕事に流れ着く。

コオロギは元OLだったが訳があり今の地に流れ着いたが身分を隠すにはラブホテルで働くのは丁度いいと言う。

中国人に危害を加えた男白川はコンピューター会社勤務で妻子持ちだがストレスゆえ極度の精神の異常をきたし夜な夜なわざと残業し買春をしていた。



・感想


あんまりよく分からない。

読んでいてつまらないし溜息が出る。


今までとは違った文章で実験というかチャレンジしているのは分かる。

みんな誰もが悩みや孤独を抱え苦しみ喘ぎながら何とか生きているんだなあと分かるが。


「私たち」や「顔のない男」は何なのかよく分からない。

寝ている女の所にいって何がしたかったのか?

特にマリの部屋の描写はカメラアイの感覚で表現しているのだろうが、よく言えば横光利一の「機械」のようとも言えるが小生には2、3行で終わるところをダラダラと言葉遊びしているとしか思えない。

こんなに細かく描写できるし語彙が豊富だろう!みたいな感じで。


プロレス業界の裏側とかよく調べたのだと思う。

プロレスラーは9時5時の仕事ができない、組織に馴染めない、抑制の効かない、はっきり言えば責任感に乏しい、そんな人が多い。

プロレス会が発展せず社会から認知されず、それどころか蔑まされ続けるのは上記のような人間そのものの問題だと思っている。

もっと知性と責任感のある人が集まればいいのだが。。。


姉妹のコンプレックスもよくあることなのだろう。

優秀ならば優越感に浸れるかと思えばそうでもないようだ。

本人はそのプレッシャーが苦痛で重荷でしかないらしい。


ファミレスで1人で夜遅く日本を読むというのは共感できる。

客が少なければコーヒー一杯でいつまででもいられるしそこそこ人がいて孤独感を感じないで済むし邪魔もされないし最適な環境だ。


都会は孤独だし特に夜はそう感じさせる。

だからこそ仲間・親友・家族を作らないと淋しい人生になってしまう、と言いたいのか。


だが登場人物が手段はどうあれ何はともあれ前に進もうとしているのが救いか。