村上春樹 「風の歌を聴け」 | 七転び八転び!? 15分で1冊 

七転び八転び!? 15分で1冊 

人生、いいことの方が少ない。

「薬害エイズ訴訟」の体験とそれまでの過程、読書の感想と要約をを綴ります。

・読み終わった日:2013年6月14日


・人物:「僕」(生物学選考の大学生)、「彼女」、鼠(「僕」の友達)、ジェイ(バーテンダー)


・ストーリー


1、僕が大学生のときに知り合った作家が「完璧な文章は存在しない」と言った。

そして書こうとすると書けなくなるジレンマが8年間続いた。

しかし今語ることにした。
僕は文章についてデレク・ハートフィールドから学んだ。彼の作品は文章、ストーリー、テーマとダメ尽くしだが文章を武器として戦える数少ない作家だった。

8年と2ヶ月、彼は闘って1938年エンパイヤーステートビルから飛び降りて死んだ。

僕がハートフィールドを読んだのは中3の夏休みで本をくれた叔父は3年後に大腸がんでボロボロになって死んだ。

僕は3人の叔父がいるが1人は上海で死んだがそれは自分の埋めた地雷を踏んでしまったということだった。

もう1人の叔父は手品師になり全国の温泉地を回っている。
ハートフィールドは良い文章について「自分と事物の距離で確認すると必要なものは感性ではなくものさしだ」と言っている。

死んだ祖母は「暗い心は暗い夢しか見ない、もっと暗い心は夢さえも見ない」といつも言っていた。
もう一度文章について書くが僕にとって文章を書くのは苦痛な作業だ。

でも楽しい作業でもある。

それは生きることの困難さに比べて楽だからだ。

しかしそれが落とし穴だと気付くいたのはずっと後だったことは不幸なことだった。
もしあなたが芸術や文学を求めているのならギリシャ人の書いたものを読めば言い。

夜中の3時に冷蔵を漁る奴はその程度の文章しか書けないがそれは僕でもある。

2、この話は1979年8月8日に始まり8月26日に終わる。

3、鼠は「金持ちはクソ食らえだ」とカウンターでも僕に言った。

僕とバーでビールを飲んでいた。

夏休みは僕と鼠は「ジェイズ・バー」で連日飲みまくるほど退屈しまくっていた。

金持ちが嫌いだと言う鼠は金持ちだった。鼠は金持ちは何も考えないから嫌いだと言い、いろいろ考えながら50年生きるより何も考えずに5000年生きる方が辛いと言う。

4、僕と鼠が知り合ったのは3年前の春で大学に入った年だったが細かい記憶はない。

二人とも酔っ払っており気付いたら朝の4時に鼠の外車に乗っていた。

80キロのスピードを出し石柱にぶつけたが幸い怪我をせずに住んだのは運が良かった。

5、僕は本を読むが鼠は全然読まなかった。

最近読んだのは去年の夏で全然面白くなかったそうだ。

しかし自分が小説を書くとしたら、と言ってストーリーを語り始める。

6、鼠の小説で優れているのはセックスシーンが無く1人も人が死なないことだ。

7、僕は少年頃無口だった。

両親は心配して僕を精神科に連れて行った。1年ほど通ったがいつもオレンジジュースややっぷるぱいをくれるので歯医者にも通うことになってしまった。

14歳の春になるとせきを切ったように喋りだした。

3ヶ月間も喋り40度の熱を出し3日間学校を休み治ると平凡な少年になった。

8、僕は他人の家で朝6時前に起きた。

煙草を吸いながら隣で寝ている女性の名前を思い出せない。

彼女の左手の指は4本しかなかった。

9、彼女がおきたのは3巻後だった。

彼女はあなたは誰、と聞く。

僕は昨日は暇だったので「ジェイズ・バー」行けば友達に会えると思ってビールを飲んで待っていたら来なかった。

仕方なく帰ろうとするとトイレで君が倒れていてカウンターまで担ぎこの人を知らないかと客に聞くが誰も知らなかった。

そこでジェイと看板の中にある葉書から住所を確認しここに来たと言う。

彼女は今9時だと知ると仕事に行かなきゃと言い出す。

そして僕が彼女を車に乗せるがその途中で彼女は酔った女に手を出すのは最低だと言う。

僕は彼女に何もしなかったと言ったが信用してもらえなかった。


10、酷く暑い夜に僕は1人で「ジェイズ・バー」に行きビールを飲みながら鼠を待った。


11、家に帰り外国のラジオDJ番組を聴く。


12、7時15分に電話がかかってきたが相手は今聞いていたらラジオDJからだった。

実は僕に局をリクエストした女性がいたと言うことだが思い当たらなかった。

曲がビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」だと聞かされると修学旅行で失くしたコンタクトを探してくれたお礼として借りたレコードを思い出した。


13、「カリフォルニア・ガールズ」の歌詞を思い出す。


14、DJ番組からプレゼントのTシャツが送られる。

15、翌日僕はたまたま目に付いたレコード店に行く。

するとそこに先週あった彼女がいた。

なぜここで働いているのが分かったのか、と彼女は驚く。

僕は「カリフォルニア・ガールズ」以外の2枚のレコードを買う。

そして彼女を食事い誘ったが断られる。


16、僕が「ジェイズ・バー」に行くと鼠が本を読んでいた。

僕は来月の鼠の誕生日にここにはいないということで早めの誕生日プレゼントとしてレコードをあげる。


17、3日間僕は学生時代にレコードを貸してくれた女性を探しまくった。

しかしたどり着かなかった。

家でビールを飲みながら「カリフォルニア・ガールズ」を聴く。


18、レコード店勤務の彼女から突然電話が来た。

この前無礼なことを言ったことを謝りたかったから「ジェイズ・バー」連絡先を聞いたという。

8時に「ジェイズ・バー」で会う約束をする。


19、僕は21歳で今までに3人の女性と寝た。

最初は17歳で高校のクラスメイトだった。

高校卒業後突然別れを切り出されたが理由は思い出せないくらいだからたいことはなかった。

2人目は地下鉄の新宿駅で知り合ったヒッピーで16歳だった。

一文無しで寝るところも無いしデモが激しかったので声をかけた。

1週間は僕のアパートに滞在したが彼女は無口で時々気のなさそうにセックスをした。

あるとき買い物から帰るとモノ家の殻でノートの切れ端に「嫌な奴」と書いてあった。

3人目は大学の図書館で知り合った仏文科の学生だったが翌年雑木林で首を吊った。

発見されるのに2週間かかった。


20、僕は彼女との待ち合わせに遅れたがその理由はいつものように親父の靴磨きをしていたからだと説明した。

彼女は初めはプライバシーを語りたがらなかったがチは5年前に脳溢血で死んだと言う。

その治療費に財産を使い果たし家族は疲れ空中分解したという。

お母さんはどこかで生きており双子の妹は遥か遠くにいるという。

そして彼女が8歳のとき清掃機のモーターに指を挟んで小指が飛んだという。

僕は東京の生物学専攻の大学生だというと彼女は僕のことを変わっていると言う。


21、3人目の彼女が死んだときミシュレの「魔女」を読んでいたがその一節を気に入っている。

22、彼女から電話がありビーフシチューを作ったので食べに来ないかと言う。

彼女の家でレコードをかけ話をして食事をする。

一通りの話が終わると彼女はこの前私の何もしなかったことを信じてもいいと言う。

そして明日から1週間旅行して帰ったら連絡すると言う。

帰り道僕は人生で初めてデートしたことを思い出した。そのときは「退屈じゃなかった?」と何度も聞いていた。


23、僕が3番目に寝た女の子は僕のペニスを「あなたのレーゾン・ディトゥル(存在理由)」と言った。

24、その夜鼠はビールを飲まずジム・ビームのロックを5杯飲んだ。

そして鼠が僕に明日の2次に女にあって欲しいと言われ会う約束をする。

25、鼠の好物はホットケーキを4等分にしてコーラをかけることだった。

理由は飲み物と食べ物が一体化していることだった。


26、3番目に寝た女は美人ではなかった。

彼女が大学に入ったのは天啓示を受けるためと言っていたが僕には分からなかった。

それは朝の4時前二人は裸でベットにいた。

僕は彼女の自殺理由は彼女自身も分からないと思っている。

27、2年前兄は部屋一杯の本と1人のガールフレンドを残してアメリカへ行ってしまった。

彼女とは時々会うが僕と兄は全部似ていると言う。

僕が約束通り「ジェイズ・バー」に行くが鼠がガールフレンドといて「止めた」と言う。

僕が鼠にどこに行くかと聞くと動物園と答えた。


28、僕の生まれた街は海、山、港街がある。

鼠は3階建ての家に住んでいる。

鼠の父親は詳しくは知らないが戦前貧乏だったが戦中、戦後とまがいもの薬品を売り金持ちになったらしい。

僕は大学のためこの街を離れるときホッとしたし夏休みと冬休みに戻りビールを飲んで過ごす。

29、1週間ほど鼠は体調が悪かった。

ジェイは何か知っているようだったが僕にそのうちはなすだろうと言う。


30、かつて誰もがクールに生きたいと考える時代があった。

この文章を書いている間に眠くなるとビールと煙草で蹴散らす。

そして考える。

「終わったことじゃないか」と自分に言う。


31、翌日僕は鼠をプールに誘って泳ぐ。

泳いだあと鼠は僕に大学を辞めたという。

ウンザリしたから、みんなと違って自分は戻る場所が無いからだと言う。

これからは小説家になり蝉のことを書こうかと思うと言う。

夕方になり小さなホテルバーに入り鼠の女の子のことを聞く。

鼠は世の中いろいろなことが起きるし強い人間はいないしその振りをするだけだと言う。

僕がそうだというと鼠はそうではない、と言ってくれ、と言い出す。

その後僕は1人で「ジェイズ・バー」に行って鼠から話を聞けたことを話すとそれは良かったという。


32、ハートフィールドは「ジャン・クリフト」を気に入っていた。


33、彼女から電話が来たので会う。僕が旅行は楽しかったかと聞くと実は旅行に行っていなかったという。


34、去年の夏、僕はガールフレンドと裸でベットにいた。

彼女が愛しているか、結婚したいか、子供は何人欲しいか、と質問してきたので子供は女二人と男1人だと答えると「嘘つき!」と言った。

しかし僕は一つしかウソをついていなかった。


35、僕と彼女は食事をした。

彼女は去年牛の解剖をしたことそしてなぜ人は死ぬのかと聞く。

外に出ると彼女は僕にいつ帰るのかと聞くので来週と答える。

そしてしばらく外を眺めていたら彼女は「みんな大嫌い」と言う。

1人でじっとしているといろいろな人が話し掛けてきて大抵は嫌なことばかりだと言う。

そしてこんな話をしたのは初めてだし本当はウソをつきたくなかったと言って泣き出す。

僕は彼女の肩を抱いた。


36、僕は彼女をアパートまで送ったが彼女は一人で居たくないというので泊った。

彼女はベットで震えていて何もかもが怖いと言いセックスしたいかと聞く。

僕は頷くが彼女は手術したばかりなので今日はダメだと言う。

彼女は相手のことを覚えていないが一瞬だけ好きになれそうな時があったと言う。

彼女はお父さんが亡くなる2,3年前から関係が上手くいかずいろいろ頑張ったがダメだったと言う。

いつの間にか彼女は眠っていたが「お母さん」と呟いていた。


37、ラジオのDJが手紙を紹介する。

17歳の女性で3年間入院しており脊髄の病気でベットから起き上がれないだという。

姉が仕事を辞め一日中そばにいるという。

その後DJが「僕は・君たちが・好きだ」と言う。


38、東京に帰る前閉店の「ジェイズ・バー」に行く。

ジェイは鼠も淋しがると言う。

ジェイは東京オリンピック以降この街を出ていないと言い1度中国に帰りたいという。

僕は夜行バスに乗る。


39、僕は29歳になり鼠は30歳になった。

僕は結婚して東京で暮らしている。

幸せかと聞かれたらそうだと答えるしかない。

鼠はまだ小説を書き続けている。彼は毎年クリスマスに原稿のコピーを送ってきて一枚目には「ハッピーバースデイそしてホワイトクリスマス」と書かれているがそれは僕の誕生日が12月24日だからだ。

左手が4本指の彼女は二度と会えなかった。

冬に返ったとレコード店に行ったが辞めておりアパートも引き払っていた。

「カリフォルニア・ガールズ」のレコードを夏になると何度も聴いた。


40、ハートフィールドは小さい頃から無口で友達も無く卒業後郵便局で働くが長続きしなかった。

この頃から小説しかないと考え5作目の短編が売れた。

彼がこのんだのは銃と母親の焼いたクッキーだった。

母親が死んだとき実家のオハイオからNYのエンパイヤーステートビルまで行き自殺した。

僕はハートフィールドに会わなければ作家にならなかった。

何年か後に僕はハートフィールドの墓地に行った。