つらつらと独り言 | yumizuki 解離性同一性障害の娘を見守って来て

yumizuki 解離性同一性障害の娘を見守って来て

もう完治して、一人息子と奮闘している元解離性同一性障害の娘を持つ母親です。

娘や孫との日々の中で感じ事なんかを語っていきたいなと思います。



解離性同一性障害は色々と誤解や勘違いをされる事が多い病気です。

娘の病気の話をした時に、多重人格状態を多面性と捉えられて、誰でもそうじゃない?なんて言われて、違いを力説したけれど、人格交代した娘に会っていない人にはその違いを理解してはもらえなかった。

多面性を多重人格と言う言葉に置き換えて話す方いますから余計かもですが。

日常生活がある程度安定して人格交代が少なくなっただけで、病気が良くなったと思われたり。

大怪我をして痛み止めで痛みが軽減しただけの状態と一緒で、痛みを生み出している怪我は良くなっていないんですって説明しても、心の傷は目には見えないからふーんって流される。

うつ状態が重いとか、酷いフラッシュバックでパニック状態になっている時以外は人格さんが出ていてもごく普通の人にしか見えないですものね。

子ども人格が出ていたって、知らない人には発達障害の子?くらいにしか見えないですし。


我が家では、娘の睡眠障害ではあまり悩みませんでした。

対人恐怖が強く出て仕事が出来なくなったので、眠くなったら眠り、眠れないなら眠れないで眠くなるまで起きていれば良いって感じで過ごさせたからです。

夜になったら寝て、朝になったら起きて、なんてのに拘る必要はないかなって思ったので。

それだって、多少薬に頼ってでもちゃんと朝起きて夜寝る生活にさせた方が良いと言われた事もあります。

薬なんて毒と紙一重。

飲まなくて済むなら飲まない方が良いって言っても胡散臭い顔をされました。

寝続けるのも、眠れずに起き続けるのも、本人には心身共にかなりきつい。

それでもあえて飲まなかったし、飲ませなかった。

睡眠薬は依存性があるから飲み続ける事で止められなくなる方が怖かったから。

それと同じ理由で、うつ状態の薬も出来るだけ少なくと考えました。

娘はうつ状態が強くなって来た時に医者に薬を処方してもらう時にも一種類だけにして下さいとお願いしました。

最初は二種類と胃腸薬を進められたんですが、一種類だけで良いとそこは譲りませんでした。

その一種類でもカウンセラーさんは医者の出し方にもう少し慎重に出して欲しいと溜息しました。

薬によっては希死念慮を刺激するって言うのかな、強めてしまう事があるのでDIDを患う人には特に慎重にしないとなんだそうです。


ここでブログを始めてから、奥様をうつ病で亡くされた方の、薬の飲み合わせでも希死念慮を増幅してうつ状態を悪化させると言う記事を読んで、医者の勧めるままに飲ませなくて良かったとゾッとしたものです。


摂食障害だって、中々判ってはもらえません。

痩せたい願望が強過ぎて行き過ぎたダイエットしてしまう人たち。

テレビとかではそんな表面的なところしか触れないから、単なる痩せたい病としか見られなかったりする。

痩せたいなんて上っ面だけのものです。

緩やかな自殺と言われるくらいに、PTSDと深く結び付いた希死念慮を見据えないとならない障害なんです。

自分と言う存在を無意識が否定している、その否定するものが摂食障害を呼び寄せていて、表面的には痩せたい願望しか本人も認識しない事がほとんどだけど、無意識が死を望む程の心の傷を持っているって事なんですよ。



ブログを始めて間も無い頃に、幼児期の家庭には何の問題もなく、成人してからのストレスでこの病気になったと言う方からコメントをいただいた事がある。

退行催眠をかけて調べても何も出なかったのだとか、だから幼児期だけに要因を限定は出来ないのでは、と。

人間の自我がしっかり形成されるのは十二、三才くらいなんだそうで、それ以前は自我形成期で、この自我形成期に死の恐怖にも直結する様な体験(様々な虐待等)を受ける事でこの病気は発症するので、その方の意見には未だに首を傾げています。

明らかな虐待がなくとも親子関係のコミュニケーション不足や子どもの自我を圧迫する子育てなんかでも解離性同一性障害になると言う意見もある。

日本での解離性同一性障害患者の背景はそういった方が多いとか。

正直、私はそれはまたなんか違うんじゃないかなぁと思っている。

温床はしっかり作りますけれどね。

家庭で温床が作られ、幼少期に引き金を引く出来事がなければ、解離性同一性障害までには至らないんじゃないかなぁと思うんですよね。

だってね、この病気を抱える方達の過去ってどなたも半端じゃなく過酷ですよ。

自我を押し殺さなければならない状況も過酷ではあるけれど、それだけで生命の存続に危機を覚える程の恐怖だとは思えないんです。



娘の場合は発症原因の記憶は娘からは切り離されて人格さんが持っていました。

カウンセリングが進む中で人格さん達がそうした過去をカウンセラーさんに話していました。

過去の傷を生傷のまま人格さん達は守ると言う言い方は変だけど、その傷をちゃんと治療が出来るまで、治療の辛さに耐えられる力が付くまで、守って来たんだと私は思っています。

本人に力がついて来ても、間違った治療をされたら意味が無い。

間違っていなくても、耐えられる限界を超えても駄目なんだよね。

間違うのは問題外として、限界の見極めとかその辺のさじ加減がとっても難しいのがこの病気です。

PTSDやトラウマを理解している治療者はそこにとても神経を使う。

解離性同一性障害はPTSDと深く関わりのある病気だけど、そこをちゃんと判っている治療者って少ないのよね。

PTSDと言う言葉は知っていても、そこに踏み込めないから。







さてと、解離性同一性障害は何もなくとも勘違いされやすい要素の多い病気な訳です。

そして、それを助長してくれる存在があります。

ネット上に溢れる間違った知識から自分もこの病気かもと思い込む人達、多重人格と言う言葉に惹かれてなりたがる人達。

こうした人達の存在が解離性同一性障害では無視出来ない。

病気を発症した初期にはネット上の情報に翻弄され、そうした情報を鵜呑みにする医者にも出会い危うく薬漬けにされる所でした。

自分の症状と彼らの言葉の間にある隔たりに混乱し不安感を募らせる。

片時も目を離せないくらい荒れました。


娘にとって本当に幸いだったのは、PTSDやトラウマについてしっかり学び、新しい知識を得る努力を惜しまないカウンセラーさんに出会えた事。

それと、我が家が病気になる温床ではあったけれど、直接的な原因ではなかったから、色々紆余曲折はあっても娘の治療に家族の協力が得られた事。

それでも、過去の私が娘を苦しめ家にいる事が苦痛だった事もある。





この病気を抱える方々は家族の理解や協力が得られない事が多い。

家庭が温床であり引き金だから。

回復の為には離れる事が望ましくても、様々な事情から離れられなかったり、離れてもなお苦しんだり。


病に苦しみ、世に蔓延る偏見に苦しめられる。

二重苦三重苦なんだ。



我が家の様に無自覚な機能不全家庭は世の中に蔓延している。

機能不全家庭はPTSDを生み出す温床。

娘の病気に限らず心の病気は増える一方になるだろうなって思う。

薬を出すしか脳のない医者ばかりだからね。