栗城さんからのメッセージ | 山彦が吠える《冒険登山家 栗城 史多氏の自称追っかけ親父》

山彦が吠える《冒険登山家 栗城 史多氏の自称追っかけ親父》

[登山家]ならぬ [父さん家?]の駄ジャレ親父 どうぞ笑ってやって下さい。

チームクリキの皆様へ

ナマステ。栗城史多です。
いつも応援、有り難うございます。

 帰国後に早速、講演行脚の日々が続いています。日本に帰国後は寝ていても突然起きたり、ベースキャンプの自分のテントの中にいるような感じがしたり、エベレストにいる自分がまだ残っているような感じが続いていました。それだけエベレストへの想いが強く、7800m地点での下山、同行していたカメラマンとの突然の別れ、など複雑な想いがあったのだなと思います。カメラマンの木野さんが高山病でもなく、滑落したわけでもなく、いきなり倒れて亡くなりました。司法解剖の結果は、「突発性くも膜下出血」でした。

 その後はヒマラヤで地震が起き、ルートが崩れたりと流れが悪くなっていくのを感じてました。自分の中では、なんとか流れを変えたいと思い、秋の雪深い中を突き進み、6400mのキャンプ2から標高の7000mのキャンプ3を越えて、1日で7800mまで上がったりもしました。徐々に天候も良くなり、咳はするものの体調も今までにない程に良く、「行ける」と確信していました。

 しかし、最後は7800mに埋めていた食料と燃料が、高所に生息するキバシカラスに荷物ごと荒らされ、そして落とされてしまいました。

 下山後も食料と燃料を補給して再びアタックすることも考えましたが、山岳気象予報士の先生から既に冬型の気圧配置になっていると言われ、時間切れとなりました。もともと、「秋のエベレストは1000人やって一人できるかできないかの世界だ」と聞いてました。しかし、今回の挑戦で得たことは、天候が安定していれば登れるという確信を得たことです。

 無酸素で6400m地点から7800mまでの標高差1400mを一気に登ると高度障害が出てくる可能性が高いですが、咳は出ても頭痛も吐き気もなく、無酸素で登るために身体が進化しているのがわかりました。「エベレストに登るためにはどうしたらいいのか」試行錯誤でやってきた経験とトレーニンングの成果が出たのです。

 もう一つの大きな成果は、5800m地点からの生中継を8000人以上の方が見てくれたことです。全国43カ所でパブリックビューイングを行って頂き、沢山の人達と「冒険の共有」を行うことができました。

 皆様から頂いたチームクリキ隊員費を、経費を除いて全てこの衛星通信費と機材費に使わせて頂いております。冒険の共有を支えて頂き、本当にありがとうございました。

 最後の中継で僕は「チャレンジし続ける限り、失敗ではなく、チャレンジの道なんだ」と言いました。今、僕はまだ登っている途中です。そして、「冒険の共有」もまだまだ知られていません。

 「冒険の共有」の目的は、見えない山を登っている全ての人達に勇気を伝えることです。エベレストだけが山ではないです。人それぞれのエベレストに多くの人が気づき、そして、一歩を踏み出す勇気を伝えたいのです。

 3度挑戦し、登れなかったということが大きな試練になりますが、でも3度ではなく4度目でも成功すれば、それまでの苦しみも喜びに変えることができます。それを伝えられるのもこれまでの3度の挑戦があるからだと思います。

 来年は、4月にシシャパンマ南西壁8027mと秋のエベレストに再び挑戦します。
 僕一人の登山ではなく、皆さんと一緒に登って行きます。まだこの険しい道は登っている途中です。登り続けます。

 いつも応援有り難うございます。

栗城 史多

写真1 http://p.tl/RHHJ
ベースキャンプのタルチョ(祈りの旗)は、登山の安全祈願を行う縁起ものです。エベレストのベースキャンプで使用したこのタルチョの一部を、皆様にプレゼントしたいと思います。遅れて大変申し訳ございませんが、もうすぐ発送されますので楽しみにして下さい。

写真2 http://p.tl/SPO2
チームクリキの夢カード。7800m地点にて。このカードをテントの中で一つ一つ読んでいました。皆さんの夢が叶いますように。

写真は、上記のURLをクリックして表示・ダウンロードしてください。


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