昔むか~~し。
あるところにヤクザの車が事務所前に路駐してたとこがあったそうな。
近くに住む娘は、通学にそこの前を通るのが近道だったそうで、いつもの様に娘はチャリンコをこぎながら、よそ見をしとった。
すると気になる美容室がオープンしとる事に気付き、“オッ!”と思い、中の様子を伺っていたんじゃと。
フッと気付き前を見たところ、目と鼻の先にベンツが止まっておった!
娘は一瞬にして、“ひぃぃぃ!ぶつかって死ぬのか、ぶつかった責任を取らされて死ぬのか!?”と思ったそうな。
そしてそのまま“ドッカーン!!”と激突。と同時に娘吹っ飛ぶ!制服の為、転げ落ちた際、パンツ丸出し。二次災害もはなはだしい!
茫然とする娘に、あまりの衝撃音で組員一名、事務所から出てきたそうな。
“こ、殺される…”
へこんだベンツのトランクを見ながら、手の平から女子高生、ダラダラ血を流してたんじゃと…。
組員 「姉ちゃん大丈夫か!」
娘 「は、は、はい…。私は…私はいいんです(血、ダラダラ・パンツ全開)く、く、車が…車が…」
組員 「あ~こらしゃぁないわ!けどネェチャン血だらけやで!」
娘 「あの車が…車が・・・車がぁぁぁぁぁ!」
組員 「車はえぇから、その血をなんとかせな。バンドエイド持ってきたるわ。待っとき!」
…バンドエイドなんか取りに事務所戻って、実は仲間連れてきて、私を拉致・監禁・ベンツの修理代に風俗に売り飛ばす気ちゃうのーと娘は思っとったが、とにかく身動きがとれんかったそうな。
組員 「ほら。はよ貼り!自分で出来るか?やったろか?」
娘 「い、いえ大丈夫です。
でも…でも…車が…車がぁぁぁ(←しつこい)」
組員 「ほんまに車は大丈夫やから!オレがぶつけた事にしといたるから!はよ学校行き!(←めちゃいい人)」
娘 「そんなんダメです!ちゃんと弁償します!(親に殺されるかも。いづれにせよ“死あるのみ…”)」
組員 「ほんまにえぇから、はよ学校行き!もたもたしてたら、他のヤクザ出てきて大事なるで!」
娘 「(ひ、ひぃ!やっぱ殺される!)すいません!本当にすいません!バンドエイドありがとうございました!」
・・・と前カゴ、ブランブランの自転車乗って、よれよれで駅に向かったんじゃと。
その日の帰り、恐る恐るあの事務所前、通ってみたら、ベンツはなかったそうな。
その後も時々事務所前を通ったが、あのベンツも優しい兄さんにも会う事はなかったんじゃと。娘は今も元気に暮らしているんだとさ!めでたしめでたし!