セシル家にはビィちゃんという、ヨーキーの男の子がいました。
割と殺伐としたセシル家でしたが、ビィがいる事で会話が増えたのは事実。
ナゼか今日、すごくビィの事を思い出した。
きっと今いるゴンちゃんが昨日、姉と一緒の枕に頭をチョコンと乗せて寝ているのを見て、なんとも愛おしいやら、可愛いやらで、そういえば昔、ビィもよくあごの乗せられるとこには所狭しと乗せていたなぁ・・・っていうのを思い出したからかも。
ビィは本当に穏やかな子で、とにかく控えめ。いっつも笑ってた。
サラサラの髪の毛をいつもなびかせて、ニコニコニコニコしているので、散歩に出かけるとすぐにスカウト(他のわんこの飼い主に声を掛けられる)されてた。
ビィも答えるタイプなので、他のワンコなどを見かけると、ゆっくり尻尾をフリフリ。もちろん笑ってる
ちょっと距離を置きながら、でも確実に笑いながら近づいて行く。
‘こんにちは~!僕、近づこうかと思います。どうですか~?’って言ってる。
‘今まで他のワンコはどんな子も一切ダメだったのに、なんかビィちゃんは大丈夫みたい~
’っていう飼い主さん続出で、そりゃもうモッテモテ。男子に。
女子にはあまり縁がなかったビィだけど、10歳の時にシーズーのタァちゃんという、可愛い年下の彼女ができ、毎朝散歩に誘いに来てくれるという、素敵なデートを重ねておりました。
人間界でもビィは大人気で、姉の知人達は犬心に火がついて、ヨーキーを飼ってる方4名ほどいらっしゃる。
ヨーキーではないけど、影響されて犬を飼い始めた方、近所に3名ほどいらっしゃる。
それほどビィは人にも犬にも優しい、エコロジーなワンコでした。
私は父とはものすごく肌が合わなくて、横柄で暴力的な父が大嫌いで、しょっちゅう家出をしてました。でもビィがいるのと母が心配で、やっぱりすぐ戻ってくるんだけど、母が入院することになって、二度と自宅には戻ってこれない事を知った私は、ビィを連れて雨の降る夜中に車で姉の家に向かい、そのまま居候する事に。
まさか嫁いだ姉も私とビィとで一緒に暮らすことになろうとは夢にも思わなかっただろうに。
姉の旦那さんにはいまだに感謝しとります。
元々ビィは姉が買ってきた子犬。
姉も可愛がってたけど、それ以上に母がはまってしまって、いっつも二個一で行動してた。
そんじょそこらの女子中高生らなんかより、ずーーっと一緒にいてた。
嫁に行く姉は泣く泣く連れていくのを諦めた訳だったけど、またこうして一緒に暮らせるのが、うれしいやら、悲しいやら。
それに母と離れ離れになったビィが、違う家で過ごせるのか?ストレスは溜まらないのか?
・・・等の心配はよそにその日の夜から爆睡してたビィ。
ビィには本当によく慰められたし、旅行に行っても‘ホームシック’じゃなく、‘ビィシック’になるほどビィの虜だった私。
その後に今のゴンが来て、始めはビィが嫌がって逃げ回ってたのが、いつの間にか適度な距離を置きながらも、一緒の部屋でおしりがくっつきそうな程、近くで二人が寝てるのを見た時は、親の気持ちがよぅ分かるっていうか、嬉しかったなぁ・・・。
そんなビィはやっぱり姉との絆が深かったのか、姉の誕生日の日に、お星様になりました。
16歳と3ヶ月でした。
今は大好きなお母さんと一緒にいるのかな?
虹の橋を読んでるとそんなような事を書いてあったから、きっと大好きなお母さんと一緒に、虹の橋を渡ったんだろうな・・・。
後を振り返ると、ゴンちゃんがスヤスヤ眠っている。
この子は今年7歳。
いつか必ずやってくるその別れの日は、私にとっては恐怖以外の何者でもないんだけど、それ以上にやっぱたくさん幸せをくれてるから、悲しむ事はないんだと言い聞かせてる。
おーい!ビィ?聞いてる?
ビィの事を忘れるなんてないからねー!
きっと私だったら、自分の存在を忘れ去られる事が、死ぬことより寂しく辛い事だと思うから、ビィの事も忘れへんよー!
本当はもっとビィの事、書きたいけど長すぎるからもう止めようっと・・・。
ありがとうね、ビィ!!