「はてな」京都に帰る シリコンバレー目指す | 人気ボクサーブリーフ店

「はてな」京都に帰る シリコンバレー目指す

「はてな」京都に帰る シリコンバレー目指す


 ユニークなインターネットサービスで注目される京都発ベンチャー「はてな」が4月、本社を東京から京都市中京区に移す。ブログソフトの「ドリコム」やメルマガ配信の「まぐまぐ」など、京都で育った有力ITベンチャーの東京移転が相次ぐ中でのUターンだ。はてなの事例を通してベンチャー企業が京都に立地する利点を探った。


 はてなは京都大出身の近藤淳也社長が2001年に京都市で創業。04年に人材獲得や広告収入の拡大のため、東京に移転した。自社サービスの会員は70万人を超え、自社サイトの月間訪問者は1000万人に達する。業績も増収増益を続け、ミクシィなどと並びネット業界を代表する新興企業として注目されている。


 06年には、近藤社長がIT産業のメッカである米国シリコンバレーに乗り込み、子会社を立ち上げた。だが、米国での事業立ち上げには時間がかかるうえ、本社社員の退職で組織建て直しが急務となり、帰国と本社の京都移転を決断した。


 京都移転は東京でのサービス開発に限界を感じたため。近藤社長は「東京は情報が多すぎて考える余裕がない。米国でヒットしたサービスを早く取り入れるにはいいが、世界に通じる新サービスの開発には向かない。社員の力を引き出すには京都で開発に専念すべきだと考えた」と説明する。


 はてなの選択は、京都発の有力ITベンチャーの中では特異だ。国内初の検索エンジンを開発したイー・エージェンシーは10年前に東京へ移転。ドリコムも東証マザーズに上場した06年に東京へ。東京進出後も京都に本社を置いていたまぐまぐは2月、はてなと入れ替わるように本社を東京に移すことを決めた。


 東京移転の背景には、顧客となる企業の多さや最新情報の集まりやすさなどがある。まぐまぐ広報室は「ネット広告が収益の柱になるにつれ、事業活動の中心が京都から東京へと移っていった」と説明する。


 一方、「営業拠点は東京に残すので心配していない」と語る近藤社長は京都の魅力を「シリコンバレーの中核にスタンフォード大があるように、大学が集積していて人材が豊富。関西に住み続けたいという技術者もおり、人材確保の面では東京より有利ではないか」とみている。


 首都圏の企業にも京都の利点に着目する動きが見られる。ゲームソフト製造販売のコーエーは4月、下京区に事業所を開設する。ソフト開発にたけた人材を確保する狙いだ。はてなも京都移転を発表後、「面接を受けたいという連絡が関西一円から来る」という。


 近藤社長は、自社のサービス開発に注力する一方、ネット技術をテーマに会合を開いて技術者と交流したいと考えている。「自社が結果を出すのが大前提だが、はてなが中核になって京都を日本のシリコンバレーにできればいい」


■はてな


 資本金5600万円。従業員24人。知りたい情報があるホームページなどを他者に質問して教えてもらう「人力検索」、日記風ホームページの「ダイアリー」などのサービスを展開。「ウェブ進化論」などの著書があるコンサルタント会社社長の梅田望夫氏が非常勤取締役を務めることでも知られる。


出典:京都新聞