1.ショッキングなグラフ
 
世界経済フォーラムのサイトで、こんな記事を見つけました。
 
 
 
記事の中には、こんなショッキングなグラフがあります。
 
 
 
なんだかギョッとするようなグラフですね。
 
 
2.調査の原典を探す
 
これだけだとどう解釈してよいのかわからないので、
OECDのSkills Shortagesの調査の原典を探してみました。
 
Manpwer GroupTALENT SHORTAGE SURVEYという調査です。
 
 
記事にある2014年版はネットでは既に見ることができませんでしたが
2015年版の報告書が見つかりました。
 
 
42の国と地域の41,700人の経営者に、その職に適した人材を確保するために困難があったかを質問したそうです。
 
その質問に日本の経営者の83%が「yes」と回答しており、世界で1番多かったとのこと。
 
なるほど。毎年の調査結果を見ると2009年を底に増加傾向にあり、有効求人倍率の推移と同じ動きをしています。
 
 
 
(Manpower Group 「TALENT SHORTAGE SURVEY」)
 
 
 
3.なぜ日本は1位なのか
 
報告書の冒頭、Jonas Prising CEOは、いくつかの要因を示しています。
・労働力人口の減少による人手不足
・かつてない技術革新のスピードが仕事に必要なスキルを変え、スキルの寿命を短くしている
・需要が高いスキルを持つ者と供給過剰のスキルを持つ者の間で労働力の二極化が見られる
 
 
日本で不足している人材は
 
1位 エンジニア
2位 営業
3位 IT人材
4位 経理
5位 運転手
 
だそうです。
 
 
こういう国際比較は生データでさえ、単純に比較が難しいものが多いですが、「経営者へのアンケート調査」ではなお比較が難しい面があると思います。
同じ質問をされても、日本人はやや悲観的に答える傾向もあるでしょう。
 
ただ、世界一かどうかは別にして、
 
日本が人手不足であること
労働力人口の減少等を考慮すると今後解決していかなければならない大きな課題
 
ということは間違いないですよね。
というくらいに受け取っておけばよいのかなと思います。
 
 
4. 日本が抱える課題
 
そこから、以下のような日本が抱える重要な課題が浮かび上がってきますね。
 
・高齢者、女性、若者の活躍
・AIなどの技術革新
・効率的な働き方による生産性向上
   (過剰サービスの縮減を含む)
・人材育成
・労働市場の流動化
・外国人労働者の問題
・少子化の克服
 
 などなど
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今日は、最近関わっている面白いプロジェクトについて紹介します。
 
厚生労働省ジョカツ部です。
 
 
1.大臣の若手特命チーム
 
 
これは、塩崎大臣が10月29日に立ち上げた若手の特命チームで、正式名称は「女性・イクメン活躍検討チーム」と言います。「ジョカツ部」は彼らが考えた愛称です。
 
女性の活躍推進策について、進め方も中身も自由に考えるのがミッションです。
 
 

 
僕自身は、既に若手と呼ばれなくない年齢になっており、メンバーではありませんが、兄貴分的な感じで彼らの活動をサポートしています。
 
彼らは、普段の役所の政策検討プロセスを大きく変えました。
 
 
2.新しい政策検討プロセス
 
〇 これまでの役所の政策検討プロセス
サービス提供者からの要望・意見を踏まえ、 既存の制度、予算、関係団体との関係から 「できること」を検討。
 
〇 ジョカツ部の政策検討プロセス
聴取した1417名の生活者の声を踏まえ、将来的検討事 項も含め、必ずしも、既存の制度、予算、関係団体との 関係にとらわれることなく、「すべきこと」を検討。
 
 
【詳しい対照表】※ジョカツ部提言より
厚労省の一般的な検討プロセス  ジョカツ部の検討プロセス 
1.検討の場所 省内で、統計データやグラフ等に基づいた検討が一般的  霞ヶ関を飛び出して、実際に生の声を聞き、双方向の議論を通じて、何 が課題なのかを感じ、どうあるべきかを考える 
2.ヒアリング対象 関係団体や有識者のヒアリングが中心  ①大学生、②子育て中の求職者、③企業の人事部、女性社員、④自治 体職員、子育て中の方、⑤この分野の若きカリスマ的存在の方など 様々な方からヒアリング <生の声ヒアリングを実施> メンバーがそれぞれ知人や友人に会って、課題やその解決策等を聴取 
3.情報発信 あまり開示 していない (国民の声はルーティン(パブコメ)での把握のみ)  検討プロセスを見える化SNS(Facebook)等を活用して 積極的に情報発信(そこでの国民の声を施策に反映) 
4.意思決定・連携 各局ごとの検討、 各局ごとに「できること」を企画・提案  大臣直轄の選出メンバーによるチームでの検討。 局の所掌と関係なく「すべきこと」を企画・提案 
 
 
 
3.提言の内容
 
12月27日
「ジョカツ部」は、こうした新たな検討プロセスで作り上げた提言を塩崎大臣に提出しました。
提言はこちら(↓)
 
 
提言内容は多岐にわたりますが、
彼らが生活者の声や若きカリスマの声を聴いてたどり着いた結論は。。。
 
 
〇 女性は仕事も家庭もがんばっている
 
☆ 第一子出産後に仕事を続ける人の割合は初めて5割を超え、53.1%に。
 
※ 第1子出産前後の妻の就業継続率はこれまで4割前後で推移してきたが、2010~14 年では 53.1%へ上昇。(厚労省「第 15 回出生動向基本調査」)
 
 
〇 女性の活躍のためには男性と企業が変わらないといけない
 
☆ 男性の育休取得率は2.65% (厚労省「平成 27 年度雇用均等基本調査」)
 
☆ 男性の家事時間は1日当たり1時間7分 (総務省「社会生活基本調査(平成23年)」)
※ 欧米は2時間30分~3時間30分程度。
 
☆ 依然として日本は長時間労働。
※ 年間労働時間1,719時間(2015年総務省「労働力調査」。フルタイム労働者に限ると年間2,000時間を超えている)は、欧州諸国よりかなり長い。
 
 
男性の家事・育児参加と長時間労働の文化が変わらないと、
「女性の活躍」と言っても、女性に無理ゲーを押し付けるだけになってしまいます。
 
 
 
 
あるいは、企業でコアとなる戦力が長時間労働を前提としていては、子育て中の女性は能力があっても活躍することができません
 
 
 
3.ジョカツ部自身が変えていく
 
ジョカツ部は、働き方に関する法律、育児休業制度、保育や子育て支援策などについて政策提言をするだけでなく、自分たちでも社会を変えるための活動を2つすることにしました。
 
①攻めの広報
 
厚労省のダサい広報を変えて、メッセージをちゃんと国民の皆さんに届けよう。
分かりやすく説明した動画の作成、フェイスブックの活用など新たな手法での広報にチャレンジしています。
 
厚労省のYoutubeチャンネルの広報動画は誰も見ていないので、とにかくたくさんの方に見てもらえるものを作ろうと息巻いています。
 
 
②子育てと仕事を両立しやすい厚労省モデルの横展開
 
厚生労働省は大臣ほかトップの声かけにより、男性の育児休業取得率を13%から27%に倍増しました。
 
この数値は、霞が関の人数の多い官庁ではトップですが、彼らは「自分たちができていないのに、(働き方を担当する役所として)企業にやってほしいとは言えないと思う。」と言い、まず厚労省からこれを100%に引き上げようとしています。
 
そして、その取組を他省庁、地方自治体、民間企業など社会全体に広げてもらおうとしています。
 
 
4.大臣と厚労省職員のイクボス宣言
 
その第一弾が、昨年12月27日の厚生労働大臣・副大臣・政務官と有志職員による「イクボス宣言」です。
 
当日、ほとんどのTV局でニュースとして取りあげていただいたので目にされた方もいらっしゃるかもしれません。
 
これは、厚生労働省イクボスの日と銘打って、「ジョカツ部」主催で行ったものです。
若手の自由な発想が巨大組織を動かした記念すべき日です。
 
僕らの最もコアな仕事は制度を立案することですが、日本では休暇や制度があってもなかなか使われません。
 
例えば、日本の有給消化率は約60%です。皆さんの中にも有給休暇をすべて消化している方は少ないのではないでしょうか。欧州では80~100%です。
個人の権利が確立していて、制度さえあればみんなが活用し、社会が動く欧州とは違うのです。
 
働き方を変えるには、制度を変えることはもちろんですが、意識や雰囲気を変えるのも大事なんですね。
 
このイクボス宣言は厚生労働省だけでなく、他省庁や地方自治体、民間企業に広がりを見せ始めています。
 
 
 
イクボスについて分かりやすく説明した若手の手作りの動画です。
僕も1:00くらいから出演しています。
 
 
 
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もう半年くらい経ちましたが、インドから厚生労働省に戻ってきました。
 
 
 
 
【今の仕事】
 
雇用均等・児童家庭局というところで、
 
・少子化対策
・子育て支援
・虐待を受けた子どもの保護
・ひとり親家庭の支援
・女性の活躍
・仕事と家庭の両立
 
などを幅広く担当しています。
 
僕が一番長く担当していた児童虐待防止や子育て支援の関係の部署です。
 
 
 
 
だいたい霞が関の役所の場合、
①各部局に仕事の全体像をコントロールしている総務課
②具体的な政策を担当している課(現課と呼ばれる)
がありますが、僕は今総務課にいます。
 
具体的な政策のスケジュール管理をしたり、戦略を練ったり、中身のアドバイスをしたり、出来上がった資料のチェックをして品質確保をしたり、幹部や国会とのコミュニケーションを管理したりしています。あとは若い人の人事管理もしています。
 
こういう役割を霞が関では一般的に総括補佐と言うようです。厚生労働省では政策調整委員と呼んでいます。管理職手前の職員がやりますので、管理職になる前に仕事や組織の全体管理の仕方を覚えよという意味合いもあるのかもしれません。
 
 
【帰国後のリハビリ】
 
帰国直後は、厚生労働省の仕事の仕方や日本の最近の動きなど、結構分からないことがありました。
 
「ありゃ?インドに行ったときと違って、元々いた役所に戻ったのだからすぐに自由に動けるつもりだったに。。。」
 
さすがに、1か月くらいのリハビリ期間で慣れましたが(笑)。
 
 
【ルーティン】
 
量として、一番重い仕事は国会答弁のチェックです。
 
担当分野の国会質問が当たると、どこの局が作成するかを調整したり、担当が作成したメモをチェックするのが僕の役割です。一番最後のものが出来上がるまで見てないといけません。
 
1日の流れはこんな感じです(↓)。
 
①だいたい夕方まで政策の中身や段取りを議論したり、幹部と相談しながら各方面に指示を出します。
夕方くらいから翌日の国会質問の通告(明日どんな質問が出るかという連絡が来る)が入ってきます。
③そこからは翌日の国会の準備に専念し、終わるのは深夜です。
 
②で、質問が自分の部署に関係ないと分かれば早く帰れたりしますが、子どもの政策も女性の活躍も毎日のように質問が出ます。
 
 
 
 
 
【今の仕事で感じていること】
 
リハビリ期間を終え、ようやく慣れてきたかなという辺りで秋の臨時国会に突入し、上に書いたルーティンのような生活になりました。
 
〇×をつけるとこんな感じ。
 
 
仲間がたくさんいる
 
インドは新規ポストだったこともあり、自分の仕事を相談できる人がおらず、全部自分で考えて動かないといけない環境でした。
自分以外誰も自分の仕事を分かっていない状態だったので、正直帰宅してからもいつも仕事のことを考えていました。日本との連絡も何時だろうととっていました。
 
今は、とっても大事な政策を扱っているので気は抜けませんが、上にも下にも横にも仲間がたくさんいるので、基本的に困ることはありません。
 
誰かに作業をお願いすることができますし、方針に迷っても経験豊かな上司たちに相談ができます。
 
極端な話、僕が倒れても誰かがカバーするはずなので仕事は止まりません。なので、ほとんど精神的ストレスがありません。
 
 
みんなのモチベーションが高い
 
幹部から新人まで、ものすごくモチベーションが高いです。
やはりそういう中で仕事をするのはとても充実した気持ちになります。
 
 
担当分野が面白い
 
僕は日本が直面している最大の問題は人口減少だと思っています。
 
それと密接にかかわる政策である「働き方改革」と「子育て支援」の両方に関われる部署は中々ありません。
 
広い視点で社会はどこに向かっていったらいいのかという思索をするのは僕にとっても幸せな時間です。
 
 
若手がめっちゃ優秀
 
インドから戻ってきて、急に20代の若手や学生と接する機会が増えました。
 
正直、今の若い人がどんな感じか少々不安でしたが、間違いなく自分が若かった頃より優秀でちゃんとしています。ちょっと指摘するとレスポンスも早いですし、成長も早いです。
 
裏返しでちょっとみんな焦って成長しようとしているかなという気はしますが。ある種のジェネレーションギャップかもしれませんが。
 
 
自分の1の力が1以上になる
 
自分の経験やら情報力やらを活かして、ちょっとアドバイスすると皆レスポンスがよいです。
 
なので、1人のプレイヤーとしての自分ができること以上に色々できることがあるので、とてもやりがいがあります。
 
うまくやれば、一つの作業で同じ結果を出すのに20分×8人くらいの仕事を減らすこともできます。
 
 
×自分の時間を持ちづらい
 
上記のように自分の仕事の時間は常に国会に左右されるので他律的になります。
だいたいメドがついたら終電で帰るようにしていますが、体力的には結構大変です
(注:全員がここまで国会に左右されているわけではありませんが僕のポジションは完全に左右されます)
 
それと、平日の夜の予定を自分で決められないので、外部の人と会ったりする予定は平日には入れられません。
 
僕の場合は外部の人と会ったり、現場を見に行くことで、仕事の発想を培ってきたので、これは少々ストレスです。
 
12月後半と1月前半の国会閉会中は、たくさんの人と会えて、色んな政策のヒントや元気をもらえたり新しいつながりもいくつかいただきました。
 
また、霞が関も女性職員が大分増えていますが、政策調整委員をやる年頃の女性職員が子育て中だったりすると、深夜まで働くのは難しいですね。
 
上記のように政策調整委員には貴重な経験が詰まっていますが、今の働き方を前提とすれば子育て中の女性職員はこれを経験できないというのがデフォルトになってしまいます。
 
この状況は、自力で変えられないことも多いのですが何とか変えていきたいと思います。試しにテレワークとかやってみようかな。
 
 
【結び】
 
ということで総じて楽しくやっております。
 
平日は中々時間がとれませんが、土日限定で外の人ともつながっていけたらと思います。
 
半年すぎて、少し余裕もできてきたので、またぼちぼち発信もしていきますので、よろしくお願いします。
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