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タバコが肌に与える悪影響とは?

5月31日は世界禁煙デー。吸わない人にも及ぶタバコの弊害。

【取材協力】 中村正和氏

大阪府立健康科学センター健康生活推進部長

軽いタバコの落とし穴

最近、若い女性にニコチンやタールの少ないタバコが人気をよんでいるそうです。そし「ニコチンの含有量が少ない軽めのタバコなら、健康への害が少ない」と思っている人がいるようです。

しかし、常習的にタバコを吸う人の場合、1日に一定量のニコチンを体が必要とするようになります。そのため、軽いタバコに変えると、つい本数が増えたり、深く吸い込んだりしがちです。

その結果、体内に取り込まれるニコチンやタールの量は、期待したほど減らないのです。それどころか、逆に一酸化炭素をたくさん取り込んでしまうので、強いタバコを吸うよりも、危険が増すとも考えられます。

「軽いタバコ=害が少ない」と思っていたら、大間違いです。そもそもタバコは、麻薬と同じくらい依存性の高い危険な薬物です。たとえ軽いタバコであっても、喫煙習慣の本質はニコチン依存症=中毒であることをくれぐれもお忘れなく!

タバコはお肌の大敵!

タバコに含まれる有害物質が、妊娠や出産に悪影響を及ぼすことは、どなたでもご存じですね。しかし、タバコの害はそれだけではありません。喫煙習慣のある女性は、骨の老化が促進されるため、骨粗しょう症にもなりやすいのです。

さらに女性にとって気になるのは、タバコが肌の老化を促進させるということです。ヘビースモーカーは、非喫煙者の約5倍もシワができやすいという研究報告もあります。

タバコを吸うと、血管が収縮して血液の流れが悪くなり、多量のビタミンCが失われて、肌があれてきます。ちなみに、タバコを1本吸うことで失われるビタミンCの量は、レモン1個分(20mg)よりも多い25mgといわれています。

また喫煙は、肌の慢性的な酸素不足の状態を引きおこし、コラーゲンなどの肌の結合組織を傷つけます。それだけではなく、タバコの煙が皮膚に触れると皮膚 が乾燥しやすくなったり、化学的な刺激を受けて傷みます。その結果、肌の老化が進み、ハリを失い、シミやシワができやすくなるのです。

お肌の大敵は、紫外線とタバコです。美肌を保ちたいのならば、紫外線対策だけではなく、受動喫煙も含めたタバコの害にくれぐれも用心しましょう。

タバコにさよならして、いつまでもきれいな肌を保とう

5月31日は、世界保健機関(WHO)が定める世界禁煙デーです。毎年、スローガンが掲げられ、今年は、“Tobacco : Deadly in any form or disguise. (たばこ:どんな形や装いでも命取り)”となっています。軽い、優しい、といった新しいタイプのタバコが登場しても、やはり体に害を及ぼす危険な存在であることには、かわりはないのです。

日本では厚生労働省が、このイベントを普及させる意味で、5月31日から6月6日までの1週間を禁煙週間としています。これを機会にあなたも、美しさの天敵タバコにさよならをして、いつまでもきれいな肌でいましょう。

(「なるほどタバコ学」中村正和監修、法研より)

【取材協力】中村正和氏、大阪府立健康科学センター健康生活推進部長

1980年自治医科大学卒業後、大阪府立病院や大阪府立成人病センターで臨床および疫学を研修。84年大阪府門真保健所保健予防課長、87年(財)大阪がん予防検診センター調査課長、99年同調査部長を経て、2001年より現職。