57.2度目の告白 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

57.2度目の告白

徐々にテーブルには、オーダーされた料理が並べられてゆく。

久しぶりだねという昔話から、会話は早くも今をみる。


「お前さ、彼氏と何かあったか?」

「ん?」

躊躇った。

何故か私にストップをかけるものがある。

「俺に連絡してきたのは、何かあったんやろ?」

「う・・・ん・・・」

「彼氏のこと好きか?」

「わかんない」

「そんな奴と何でつきあってるん?」

「はぁ、何かお見通しって感じ・・・」

「そうじゃないよ。言わなきゃわからんやろ」

「セックス・・・したい?」

「俺?お前と?!」

「うぅん、セックスってしなきゃいけない?」

「ん~あぁ・・・・なんや?セックスしたくないんか?」

「乱暴だから・・・」

「そか・・・彼氏にはいうたんか?」

私は首を横にふった。

「そか・・・言えんわな・・・」


彼は黙ってしまった私に話を続けた。

私を励ます為なのか、彼の恋愛論だったのか、それはよく解からない。

だけど、セックスしなくてもいいんだなんて思える話だった。

「セックスなくなったら、付き合い続けたいんか?」

「別れたい、好きじゃない」

「曖昧やな・・・」

「本当だもん。私ずっとあなたのこと好きだったんよ」

彼と話をしていて、心がかたまった。

素直になってく自分が心地いい。

「俺も好きやで」

「冗談じゃなくて」

「冗談じゃないよ、俺、お前に告白したことあったやん」

「覚えてる。でも、それは違う好きやもん」

「はっきりせんかった、俺が悪いよな。でもホンマに好きやで、ずっと好きやで。なんせ初めて一目惚れした女性やからな」

「一目惚れ?」

「あぁ、出会った時からずっと見てたよ。お前こそ本気なんか?」

「あなたよりはずっと好きだよ」

「何で言わんかった?」

「言うたもん」

「あぁ、そやったな。ごめん」

「忘れられるかなと思って付き合った」

「そか・・・お前は俺の事忘れたいの?」

「彼女おるもん」

「とりあえず、彼氏と別れたいんやったらちゃんと話しろ!な!!」

「話?」

「そう、付き合えませんってちゃんと言えよ」

彼が彼女の事を流したことが、妙に気になった。


彼氏の話をしていたせいか、彼が私に対して言っている事の理解ができなかった。

頭の中は彼氏と別れようという意識で充満していた。

彼に好きだと言われることよりも、もっと身を軽くしたいという思いでいっぱいだった。

彼は私の事どう思っているんだろう。


「そろそろ出ようか。カラオケでもいかんか?」

気付けばもう日付が変わっていた。

車に乗り込み、カラオケ店へと向かう。

口数はお互い少なかった。

お互いに気持ちの整理をしているのだろうか。

私はずっと考えていた。

彼の言った事、どういう意味なんだろうか。

彼の顔もそんな風に見えた。

困らせるようなこと言ってしまったかな・・・。

また、流れゆく告白なのだろうか。



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