51.再会の約束 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

51.再会の約束

目を覚ますと、真っ暗だった。

朝眠ったので、どうやら1日中寝ていたようだ。

男も形一つ変えず眠っている。

「安心したのかな」とふと思い浮かんだ言葉の意味を考える。


とりあえず、帰りたい。


「ちょっと、起きて」

男は一向に目覚めない。

死んでんじゃないのか?

お腹がなる。

私は男に送ってもらわないと帰れない。

思い通りにならない今に腹が立った。

冷蔵庫を明けても、飲み物一つないこの部屋。

殺すきか?


初めて男の家の近所を歩いた。

セックスした後に外を歩き回るのは好きじゃない。

別に何が変わるわけでもないが、自分が汚れているよな気になった。

目立っているように思えた。

感覚が蘇る。

目に映る異性とそんな感覚がシンクロする。

あたかも、すれ違った男たちにおかされているような・・・。


コンビニを見つけて、冷麺とウーロン茶と煙草を買った。

それをもって歩いてきた道を帰る。

しまった。

迷子だ。

私は男の家をどんなだったか覚えていなかった。

何も考えず、毎週毎週言われるがままに男の後を追ってきた。

確か、4部屋繋がった白い小さなアパートだったはず・・・。

誰かの家の前で犬に吠えられ寂しくなった。


やっと男の表札を見つけ中へ入った。

見慣れた間取りにほっとした。

男はまだ眠っている。

冷麺を食べて、テレビをみた。

月9ドラマに週が始ってそんな1日ももう直ぐ終わるのだと再確認。


もうこんな生活は嫌だ。

何が嫌なのか私にもよく解からない。

もう完全に私は彼女になったのに。

自分の非を認めないとやっぱり事は前へは進まない。

私はこの男を好きではなかった。


やっと目覚めたようで男は私に抱きついてきた。

「何食ってるん?ひとりだけ」

「帰る」

「え!?仕事水曜からやろ?」

「だから?」

「いや、もう少し泊まってけばいいのに」

「帰る」

「怒ってるん?ごめん、俺、ずっと寝てたから?」

「早く準備してよ、帰るって言ってるやろ」

私は、家を出た。

男の車の前で待つ。

好きではなかった。

男に言えない、何故だろう。

嫌な女だ。

私が怒っていればフル理由になると・・・・思った。


男は焦って小走りにかけよってくる。

私の機嫌を直そうと必死だ。

シカトする私の所為で、車内は重い空気を作り出してた。

このままじゃ別れられないよな・・・。

男ってどうやって振るんだろう。

私はいつも「彼女にバレたから」なんてふられてきてたかな。

私に男でもいればいいのだろうか。

そしたら、男はすんなり身を引いてくれるだろうか。

女と別れさすんじゃなかったな・・・。

こいつにもう一人くらい女がいればいいのに。

私はずっと私だけを願って今までいたのに、今は女がいればと矛盾する。


「機嫌なおしてね、またメールする」

そんな男の声に見送られ、無言で自宅へ戻った。

男の振り方を教えてください。


<毎日なんか辛いよ。癒されたい>

私はバーテンダーの彼にメールを打った。

<俺も息が詰まりそう。お前は彼氏に癒されてるんじゃないの?ま、飯でも食うか?26日帰るから>

私は彼の誘いに飛び乗った。

会いたい。

早く会いたい。

男で埋め尽くされていた週末に、彼の予定が入る。

あと、2週間。

彼の顔が思い出せない。

彼ってどんな顔をしていたんだろう。

彼の言葉だけで私は幸せだった。



← 50 ]  [ 52 →