2005-05-28

23.捨てられた?!子供達

テーマ:彼女じゃない恋愛

< 元気ですか、お母さんは元気です。会えませんか? by せのり >


母親から偶にこうしてメールがくる。

いつもメールアドレスは違っていて、毎月毎月電話番号も変わっていた。

始めのうちは、こちらからも連絡を取っていたのだけれど、しばらくして繋がらない携帯に呆れた。

私は母と同じ名前ではない。

どうやら母は離婚してから、名前を偽っているようだ。

借金まみれの母が私の名を語っている。

とても怖くて真実など聞けなかった。

母は、メール本文に署名が入っているという事を忘れているのだろう。

私に迷惑がかからないのなら、何も言うことはない。


私は銀行へ行って5万をおろしてから、出勤した。

いつもは降りない駅で途中下車する。

母に会うためだ。

改札に向かうと、母は手を振って迎えてくれる。

「元気にしてた?お母さん、今この近くに住んでるの」

「そう。お母さん、化粧アレルギーじゃなかったっけ?」

「口紅くらいよ」

母は、会うたび小奇麗になっていた。

家にいるときにはTシャツかトレーナーくらいしか着なかったのに、今ではジャケットなんてものを着るようになっている。

口紅くらいだと言い張るが、しっかりメイクされている顔には、男の香りがした。

「そ、家賃とか払えるわけ?」

「あ、それは出してくれる人ができたから」

「そ、弟には連絡してるん?」

「なかなかしづらくてね。よろしく言っといて」

「判った。それじゃぁ」

「あ、せのりちゃん!言いにくいんだけど・・・」

私は母におろしたばかりの5万円を手渡し、1本遅れの電車に乗り込んだ。


考えたくはないが、母は子供を愛してはいないだろう。

会いたがるのは仕事をしている私と一つ下の弟だけだ。

まだ高校生の一番下の弟には、メール1つ送らなかった。

だから、私と一つ下の弟だけの秘密だ。

一つ下の弟は、「泡銭だ!」と言いながら母に50万ほど渡している。

確かにスロットで儲けた金だけど・・・。

一つ下の弟はそれ以来母と会うことはなくなった。

言葉がでない。

私は・・・いったいどのくらい渡したのかなんて数える気にもなれない。

こんな母でも母、そんな風に言い退けられる強さがあれば、どれ程楽だろうかなどと考える。

自分の親を軽蔑する程、辛いものはない。


母から連絡が来ると、どうも調子が狂う。

働く意欲がなくなり、ため息の数が増える。

考え事をしているようで、実は何も考えていない。

あぁ、何か肌寒い。

お腹すいた、おにぎりでも作ろうかな。

何かあの雲変な形だな。

私を心配しても損をする。

頭の中では、詰まらないことだらけなのだから。

人は1秒間にどれくらい考えるのだったかな。

驚いたことだけは覚えている。

手を動かすとかそんな考えは、無意識という部類に入る考え事らしいが、私は無意識に母の事を考えたり、色んな事を考えていたのかな。


バーテンダーの彼はとてもタイミングが良いと思う。

もしかしたら、心を視る以外に透視まで出来ちゃうんじゃないかと思うくらいに。

こんな時、彼はいつも私の携帯を鳴らした。


「もしもし」

「はい」

「・・・・・・」

「あ、もしもし?」

「どうした?元気ないな?いじめられてんのか?」

「イジメにあうほど、仲良くしてません」

「そうか、お前らしいな」

「ごめんな、なかなか連絡できなくて」

「えぇよ、忙しいんやろ」

「ん?どうしたん?」

「いや、別にこれといって、用はないけど、話したいことないか?」

「話したいこと・・・・お金がね・・・・」

「お前最近、金の事ばっかやな」

「ドンドンなくなってくの」

「そりゃ、使ったらなくなってくよ」

「何に使ってるんやろう?」

「お前、自分で覚えてないくらい使ってんの?少しくらい分けてくれよ」

「ほんまに、どうやったらあんなに沢山使えるんやろうね」

「金なんて、あったらあっただけ使うやろ」

「そんなもん?」

「いや、俺には経験のないことやけど」


彼とチグハグな会話は、妙に噛みあい進んでいった。

そう思わせた彼の話術だったのだけ、私は誘導尋問にまんまとはまったわけ。


「で、お前いくらお母さんに渡したの?」

「え!?」

「え!?じゃないやろ!」

「・・・・・」

「お前さ、親でも憎んで良いと思うよ」

「そういうんじゃないよ」

「俺は、父親に会う気はないよ。母親の苦しさ見て育ってるからね」

「お父さん、憎んでるん?」

「そうやな、そういうんじゃないかもしれんな。もう一切関わりたくないしね」

「何か寂しいね」

「そうか?もう、お前、普通の仕事しろよ」

「そのうち・・・」

「もうお前が働くことないんやろ?」

「なーんでも、知ってるんやね。言われなくったって、自分で考える」


初めて彼に意見を押し付けられるようなことをされた。

彼の一番深い心の傷だ。

彼はいつも家族の話になると黙った。

此処まで話したのは初めてかもしれない。

だけど、話したくない気持ちよく判る。

自分でもそう思いこもうとしていて、戦ってる。

そうに違いない、コレが正しいんだって・・・。

彼も離婚した両親に苦しんでいる。

何とかしないといけないよね・・・お互い。


私はそれでもキャバクラを続けた。

理由は多分沢山あるけれど、今強く思う事は、彼を否定してやりたいと思った。

何が正しいのかなんて判らないけれど、憎むなんて感情は絶対にこれだけは間違いだと思うから。

それだけが理由じゃない。

だけど、彼の言われたとおりに辞めるなんて事はできない。

認めたくなかった。

決して、自分が正しいとも思わないけれど。



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コメント

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10 ■> ammoniteさん

父が言った言葉は私たちの理解を得るものだと考えています。だからこそ私は素直に受け入れました。そうですね、そう父が言えるまでの間は辛く長く悩んだ日々だったと思います。離婚という選択をするまでにも色んな感情が沸き起こったことでしょう。私たちにはそれを知る余地もありません。ただ打ち明けられた言葉を受け入れるのみです。
未成年だった弟がいるのですが、その子の理解を得るには本当に時間が掛かりました。「だから何?」といった、そう、親のエゴを責めるものだった。「離婚しました、こうする事が正しかった」そう伝えたとしても彼には響かなかった。彼は長い間悩んだと思います。母に会いに言ったり、お金を稼ごうとしたり色々と試していました。親が避けて欲しいと願ったことまでやらなきゃ解からなかった。ammoniteさんが娘さんに対してそうなるであろうことがやっぱり本当に起こったんですよね。どんなに願っても願い届かずその通りになった。どんなに言い聞かせても駄目だった。でも、大丈夫です。いつか親の言うことを理解する時がきます。自分が離婚と言う答えを出すまで悩んだ分子供もきっと答えが出るまで悩むと思うんですよ。同じ様に悩むと思うんです。とても辛く長い日々です。でもきっと親と同じ様な答えをいつか出すと思います。えっと…今後の記事で余計不安にさせるような記事に出会うと思います。弟がしでかす親への最大の反抗は、必ずしも起こることではないと言うことだけ伝えておきます。弟は今元気にやっているし、私も幸せだと思えます。うーん、大丈夫です。いっぱいいっぱい愛してあげてください。

9 ■ご丁寧なお返事ありがとうございます

それでもお母様を「愛している」と言えるお父様はすごいと思います。また、せのりさんたちお子様にとっても、片方に恨まれている両親の間にできた子供だという、なんともいえない虚無感を感じることがなかったのではないかと思います。私自身は愛など欠片もなくなってからできた子供だと母から知らされました。自らの、そして家庭の安泰を図るためには伴侶という立場の男性の性欲を受け入れなくてはならなかった、その結果なのだなと。分からなくもありませんが、同じ女としては分かるだけに情けなく感じますし、子供としては出生自体に何とも言えない心もとなさを感じます。私が離婚を選択したのは偽装夫婦に対する嫌悪が強かったからかもしれません。
元旦那との結婚は間違いだったと思っています。ただ私自身はそこから得たものが確かにありますし、なによりも娘という宝物を授かったわけで、この子を得るためだったのなら私自身の苦労など取るに足らないものだったと心から思っています。娘にもそれだけは幼い時から話して聞かせています。
私が今も心の底では彼を恨んでいるであろうと思うのは、子供に対しての無責任さと、そして都合のいいときだけ彼女を思い出し感傷に浸っているという身勝手さに対してだと思います。それだけは今も考えると胸の奥から押し上げるような怒りを感じます。
私の元で育つ彼女はおそらく私の影響を強く受け、私の価値観を少なからず受け継ぐと思います。ということは、彼が頼ってきたときに、身包み剥がされた上、これ以上は無理と感じるまで負債を負わされるまで彼を切れない人間になる可能性が高いということです。
それを考えると、私は彼女から父親を遠ざける努力をし続けるでしょうし、自分に万が一のことがあったときのために、法的な後見人を作っておかないといけないとさえ思っています。
でも、私の態度が余りに強固だと、彼女が大人になったとき、元旦那が私に隠れて彼女に無心してきても、私に相談できなくなるかもしれませんね。
「子供のために」偽装夫婦を続けた母、その結果産まれた私は「子供のためにも」偽装夫婦を拒んだ。母も自分が正義だと信じていますし、私もしかりです。不完全な人間がする子育てというものはそういうものでしかありえないのかもしれませんね。それを受け入れるしかない子供から見たら、子育ては常に親のエゴなのかもしれません。

8 ■> ammoniteさん

彼を見ていて「親だから」と一貫した感情などないに等しいなと感じています。当たり前なのだけど…。どうするべきなのかは解かりません。私も彼もこれから先ずっと答えのない正義を信じてゆくのだと思います。色んな人に出会っていろん影響を受けてそれは変わってゆきます。その内の一つの正義として今でも側に居る親の影響力は強い。確かにエゴだと言われればそうだと思います。だけど、守りたいという気持ちがあるのならそれを正義にして欲しいと思うのです。私はです。因みに彼は違いました。ですが彼もまた側で見てきた親の影響を受けています。ぶっちゃけ出て行った母に会い「やっぱり親だから」と思うのは一瞬であり正義を信じる逃げ道に過ぎません。
因みに私が母を恨む対象にしないのは、父がそれでも母を愛していると言ったからです。冗談交じりに「お母さんにフラれた」と話しました。当然子供ではないので冗談だけで済む話でもなく、子供を愛せなかった母の話も父はしましたし、すべて打ち明けました。それでも愛しているという父を見て、借金の肩代わりをする父を見て、愛って無償だと思ったのです。捨てられても愛すべき人なのだと思ったのです。ammoniteさんに恨む気持ちがあるのならば、もしかしたら彼の母親よりなのかもしれませんね。彼のことはよく解からないので参考できるお話を提供できないのですが、私は出て行った母親に対しこんな風に思っています。
私はね、親は好き勝手に育てればいいと思っています。それは私が思う子から見た親の価値観であって、自分が親になると考えたときそんな簡単には片付かないものだとも思っていますが、親には正義であって欲しい。自信を持っていて欲しいんですよね。ただその正義が大きければ大きいほど依存します。難しいですよね、子を育てるというのは…。今は無責任な言動かもしれない。だけど「ごめんなさい、私の育て方が悪かったです、離婚した所為で…」そう言われたら、私はこれからやってけないかな…。一貫しない「親だから」は親が創りあげるものだと思うし、それが「親でも」に変わることもある。
もしもammoniteさんが私の親だったら、もしかしたら親でも追い返す強さを身につけて育ったかもしれません。

7 ■どうしたらいいのでしょう

お母さんの話を最初に読んだときに『まるで元旦那みたいだ』とおかしな感想を持ちましたが、それがおかしくなかったのだとここへ来て分かりました。
ある限りのお金を使い、借りれるところからはどこからでも借り、催促されても本当に困る(身の危険を感じる)まで返さない、そういう人でした。自分の親はもちろん、妹、私の生保、私の親、娘の貯金、身内は危険じゃないから最も美味しいカモだと思っているように見えました。私名義の多額の借金を抱えたまま離婚しました。
彼に対しての恨みはもうありません。ある意味お嬢様だった私にいい勉強をさせてくれたと思っています。私が今心配するのは娘のことです。せのりさんのように、私の知らないところで私と同じように彼に食いものにされるなんて我慢できそうもありません。元旦那が娘にせのりさんのような目に遭わせたら、「勉強」などと言って蓋をした恨みも重なって、私は元旦那を殺してしまうのではないかと思います。
でも、娘にとっては父親なんですよね。今は娘がまだ小さいのでそんな心配は無用でしょうけれど、この記事を読んで激しく困惑しました。守りたいという私の気持ちなど、単なる親のエゴなのでしょうか?

6 ■> uraprdさん

こんばんわ。
恋愛話に家族を書くのはどうかと思い、あっさり流していこうかと思ってたんですが、いざ、書き始めるとやっぱり感情的になって言葉が止まらなくなってしまいました。
これ書かないと話し進まないんですよね・・・。
家族の絆って切りたくても切れないほど深いですよね。
ま、それが絆なんでしょうけど。
思うところは違っても、思う心は同じですね。
家族愛と恋愛が複雑に絡み合ってます。

5 ■こんばんわ

一気に生々しくなっててびっくりしたけど
またがっつり読ませてもらいました。
私の両親は離婚しているわけじゃないけど
私の母もお金回すのへたくそで
たまにお金頼られます。
私の家計が苦しい時とか
どうしようもなく憎くなることもある
縁切りたいって衝動に駆られることもある
愛憎だなって思う。
やっぱり子供やし親に期待してしまう
しっかりしてよ、って。
でもやっぱり支えてあげたい気持ちもある。
せのりさんとは金額も状況も違うけど
バーテンダーさんとは状況も違うけど
わかったような気でいます。
少し、親のこと思い出しました。

4 ■> wankochanさん

読みに来てくれたんですか。
ありがとう。
嬉しいです。
いえいえ、そんな読んでもらって何か感じてもらえたら、もうそれだけで嬉しいですよ。
そう・・・本当楽だろうなって考えるよね。
でも、本当に直ぐ縁の切れる繋がりだったなら、もっと傷ついてるのかななんて事も考えたりね。
結構長文だし、疲れるっしょ。
ま、もう直ぐ現実に追いつきそうだし、更新もゆっくりになりそうかな。
今は早く書き終えたい気分でいっぱいですよ。
あぁ、すごい自己満に浸りきったこのブログ。
すごい気持ちいいっす。

3 ■> 山口薫さん

読んでくださってありがとうございます。
もっと、細かく切って1記事を短くしようとは考えはしてるんですが、どうもしめられなくて・・・。
どっぷり疲れるブログなのではと、思っています。
体力のある時はまた読んでくださいね。
感謝します。

2 ■( ̄へ ̄) ウム

ずっと読んできたよ。

 でも なかなかコメントできなくてごめんね。

親とか兄弟とか 縁が切れたら どんなに楽なんだろうかと思った。

しっかり読んでるから がんばって書いてね。

1 ■読んでますよ。

なかなか読み応えがありますね。

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