20.彼の誕生日を祝いたい2 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

20.彼の誕生日を祝いたい2

早いもので、彼と出会ってから2度目の彼の誕生日がやってきた。

彼と過ごす2年間、私はいったい何をしてきたというのだろう。

終わりが近いという、漠然的な予感が私の脳裏に渦巻いている。

終わりが来る・・・そうじゃない、私が多分、終わりにしようとしている。

なんだか、やり残したことをやるための毎日に思えてならない。

私は焦っていた。

その焦りが、そんな風に思わせたのかもしれない。


「今日、用事ある?バーに行きたいんやけど」

久しぶりに親友を誘ってバーへ行くことにした。

「今日、バーテンダー君誕生日って知ってた?」

「そうなんや・・・でも、何も用意してなかったな」

「うん、ウチも何も持ってない」

「ちょっと、コンビニで・・・」

「ぷっ、それってちょっと可哀想くない?」

「いぃやん!気持ち、気持ち」

バーへ行く前に、隣のコンビニへ寄り、彼へのプレゼントを選ぶことにした。

「DVD?」

「うーん、スキンとかいいんじゃない?」

「ちょっと!このボディータオルすごいフワフワ。欲しいな」

「ってか、あいつの趣味って解からんよな」

「あ、プーさんでいいじゃん」

「うんうん、これでいい」

結局、意味のないものばかりを購入してウキウキ気分でバーの戸を開けた。


「お誕生日おめでとう。はぃ、これプレゼント」

「ありがとう。覚えててくれたんや。・・・で、このガラクタたちは何?」

「ガラクタじゃないよー。ちゃんと選んだんやから」

「そうそう、そのボディータオル気持ちいいねんで」

「ほんまや!めっちゃ気持ちいい」

「プーもいるで」

「ありがとう。嬉しいよ」


やっと、彼を祝う事ができた。

お誕生日おめでとう。

不思議と、誕生日というものは関係の深さを刻む記念日に思える。

誕生日が来るたびに1年2年と、関係を数える。

西暦じゃなく誕生日。

今日の日を彼が思い出したとき、私はそこに居るだろうか。

これからもずっとカウントしていきたい日。

だけど、彼の記憶に私を刻めた今日の日だけで私は満足だった。

何も望まない、何も期待しない。

軽く食事を済ませ、私たちはバーを出た。



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