BRUNO SEIDLHOFER : Piano
http://www.youtube.com/watch?v=PFmpxAEXU4A&feature=related

ブルーノ・ザイドルホーファーの奥様はウイーン在住の田中節子姉妹である(クリスチャンなので姉妹と呼ばせて頂きます)

BRUNO SEIDLHOFER は伝説のバッハ弾きと呼ばれ、弟子には奥様の節子姉妹の他、アルゲリッチ、グルダ、コルゼンパ等等。
よって、私はアルゲリッチの甥弟子になるわけです。(ちょっと自慢(・∀・))

何曲か聴いて頂いたレッスンのなかで印象的だったのは「トロイメライ」
私「どのぐらいルバートをかけるか迷うんです」
師「ルバートって書いてありますか?」
私「クララの指定の方がテンポが遅い以外に、そういえば無いですね・・・」
師「2拍目の和音は小さくよ!最後のフェルマータは長く、もっと長く、そしてリタルダンドはあまりしない。主人は『あぁ、夢だったんだ』ってそっけなく終わるのがシューマンの意図だったと言ってました」

主人は・・・と言われると、まるでブルーノ・ザイドルホーファーにレッスンを受けているようだった。

夕食をご一緒しながら面白い話を聞いた。

 アルゲリッはショパンコンクールで優勝しすぐ、B・ザイドルホーファーに師事した。
ザイドルホーファーは「ゆっくり弾きなさい」ばかり言うので、アルゲリッチはいい加減、頭に来てミケランジェリに乗り換えた。アルゲリッチの父親は外交官にしてボクシング選手。遺伝的に「モーターのような手首」なので手癖で何でも速く弾きすぎるとザイドルホーファーは語っている。
 その後は有名な話。ミケランジェリはレッスンで何も語らなかった。ミケランジェリ曰く「あのアルゼンチンの娘には『沈黙』を教えてやったよ!!」

 B・ザイドルホーファーの愛弟子はフリードリヒ・グルダである。10歳で弟子入りしたとき「フリードリヒ君、ピアノにばかり向かっていてはダメだよ。○丁目から○丁目まで毎日ジョギングしなさい」と言ったらその通りにする純朴な子どもだったそうです。
 奇しくも、アルゲリチが「なにか習ったと言えばグルダかな~?」と言ったのが面白いですよね。

 しかもグルダは半分ジャズピアニストなので、僕のピアノ演奏を聴いて「グルダを彷彿とする」と言われるのは甥弟子として光栄です。

 ザイドルホーファー節子姉妹と演奏したバッハ作曲ブルーノ・ザイドルホーファー編曲(音楽の友社・絶版)「2台のピアノのためのフーガの技法」全曲は密かにDISCになっていますが、2台共エストニアのフルコンというレアものです。
 節子姉妹に「プラルトリラーは上からですよね?」と問うたら「そんなこと自由ですよ。主人はまず『音楽』ありきで、テクニックや装飾音のことなんかは自動的に身に付くと言っていましたから・・・」

この境地はいかばかりのものだろうか(°Д°;≡°Д°;)

ブライトコップから出ていたザイドルホーファー編曲連弾版もありますが、物足りないため2台ピアノに書き直したものがこの音友版だそうです。連弾版も絶版ですが、連弾の大家、古川デュオがなんといってもこのブライトコップの「フーガの技法」が弾いていて一番面白い曲だと語っていたことを思い出すと身震いします。