「せな」のまいにちと、これまでのこと。-100116_0342~01.jpg


わたしはビールを飲みませんが、わたしの部屋の冷蔵庫には、
いつもビールが数本入っています。

それは、あるひとがわたしの部屋にやって来た時のためです。

そのひとは、36歳でバツ2、
1月1日と2日以外は全部仕事で、酒飲みで女好き。
よく喋り豪快に笑うけれど、根は暗いトラウマだらけの作家です。

彼も、「惚れられて惚れたころには片思い」だったひとりです。
今では、腐れ縁というかなんというか…。



彼は、年に何回か、だいたい朝の4時ころに、「酔った」とひとこと、
メールか電話をしてきます。

なんだかんだ言いながら部屋に来て、
ビールを1本飲み、セブンスターを数本立て続けに吸うと、
部屋中に服を脱ぎ散らかしてからシャワーを浴びます。

ろくに濡れた体も拭かずにベッドに入って来て、
酒臭い息と乱暴な手でわたしを脱がせ、
必ず「嫌なのか?」と聞きます。
わたしは「うん、やだ」と言いながら彼の首に腕をまわすのです。

高いびきで昼近くまで眠り、仕事の電話で起こされ
慌てて部屋を飛び出すのを、テキトーに見送り、
彼が飲んだビールの蓋を枕元の小さな箱に入れ、
数時間前の行為の余韻に浸りながら眠るのです。

今年もまたアイツが来ることがあるのかしら。
ま、また酒に酔って思い出したら電話してくるでしょう。