あたしの母親は継母で育ちました。
ですから母親の愛情を知らずに大人になったそうです。

そんな母親でも自分なりの愛情をあたしに注いでくれました。

あたしは長男として生まれました。
姉がいますが嫁いで行ったので、あたしが家を継いで行く事になります。

母親はあたしの子供、つまり実の孫を望んでいました。
あたしも母親の幼い頃からの苦労を聞かされていたので、親子孫の三世代家族を夢見ていました。
あたしが将来年老いたときに血の繋がった子供に看取られたいという気持ちも強くありました。

しかしながら、あたしは男の身体なので妊娠・出産はできません。

あたしは自分を抑え、男性として生きる道を選ぶ事にして、パートナーと結婚して長女・次女が生まれました。

しかし、やっぱり男性として生きる事に苦しみを感じ、それが日を増すごとに増大していくのです。

転勤で大阪の実家を離れ東京に引越した機会に、あたしはこっそりホルモン投与を始めました。
少しずつ肌のキメが細かくなり丸み帯びた体つきに変化を始める身体に嬉しさを感じました。

ある程度体つきが変化してくると家族に隠せなくなります。
思い切ってカミングアウトしました。

多少紆余曲折はありましたが家族には理解をしてもらえました。
パートナーもあたしを女性として接してくれ、お洋服も一緒に買いに行きます。

子供がいるので子供たちの為に、ダブルママ・ファミリーという家族形態を実現させました。

あたしは下半身にあるモノに嫌悪感を増していきましたので家族の同意を得て、性別適合手術を受けました。

いまではフルタイムに女性として、ダブルママファミリーとしての道を選んでいます。

将来、子供が成人したら、戸籍性別変更の申し立てをするつもりでいます。

あたしの選んだ道を後悔のないように歩んで生きたいと思っています。