丸善書店がジュンク堂書店を吸収合併するということで、「えー」などというツイートが散見されますが、こんなん、何も驚くことではないですわ。というより、何にも変わりません。見かけだけのことです。そもそも、ジュンク堂は2年前に丸善書店の子会社になっています。


丸善から店舗事業を分離させてできた丸善書店のトップはジュンク堂のトップですし、これに象徴されるように実態としては見かけとは逆で、ジュンク堂の方がすでに丸善書店を吸収済みであった、と言ってもよい。両者の名前を取って以前から展開されている「丸善ジュンク堂書店」の店内を見るだけでもその点は明らかで、什器とかも何も、丸善ではなくジュンク堂のものですがな。それに両者の店頭在庫を確認できるウェブサイトは、いったいどちらの方が運営しとるんでしょうか。


そもそも、丸善書店もジュンク堂書店も同じ「丸善CHIホールディングス」という共同持株会社という括りの中にある、というよりともに大日本印刷(DNP)の傘下にあるわけなので、丸善とジュンクのどちらが優位であるかということは問題にもなりません。キツイことを言えば、少なからざる人が「ジュンク堂を吸収した」と思っている丸善は、DNPの軍門に下った時に「終わっており」、今回のことはそのDNP傘下というコップの中の動きというか調整に過ぎません。


ジュンク堂が赤字という話ですが、そら企業活動していたら、経費も出ますし場合によっては赤字も出ますわな。まして舞台となっている業界は「空前の出版不況」なのですから、赤字云々はまだ活動している・できている証拠で、丸善書店は動きたくても動けないから赤字なども出ようがない。こう解釈することはさほど無茶でもないでしょう。


先の共同持株会社の名前がもともとの「CHI」から「丸善CHI」に変更されたように、要は「丸善」というブランド名を使いたいわけで、京都・河原町に将来復活するという丸善書店も、同地で閉店したジュンク堂が再出店するのが実際で、これも「丸善」という屋号を使いたいだけのこと。確かに一般の方々が今回「えー」と仰るのは無理からぬことですが、実情を踏まえて伝えるべきなのにうわべだけの報道をしているメディアには付ける薬が…(笑)。昔は名古屋以西に一定数あった店舗が軒並み壊滅している丸善書店が、リアルに活動しているジュンク堂を素直に吸収できると思っているんでしょうかな。もうちょっと取材しようや(笑)。