我輩は蟻である | サムライTRADER ゲッツ

我輩は蟻である

名前はとっくにある

一昨年からIPOが連勝を続けた
その頃会社を辞めて色々忙しい我輩はあまり株の事など気にも留めてなかった

しかし買えばどうやらなんでも上がると巷で話題になっていたので少し調べると、日本ベリサインとオンコセラピーなる銘柄が暮れの大本命と色々な所で書かれているではないか
主幹事が野村と大和だった
よし両方とも口座がある、申し込むとするか

妻が日本橋の三越に用があるというので
一緒に行くついでに野村の本店に出向いた
なんですか、この物々しい雰囲気は
建物自体が偉そうだ
一歩入った瞬間に、我輩を見る目が冷めている事は妻も感じたらしい
その時、我輩はジーンズにスウェット、上にBARBOURを着ていた
確かに、小汚いかっこかもしれない
でも我輩は一応客だし、ただIPOを申し込みに来た通りすがりの者ですから
しばらく待たされて、案内されたテーブルにつく
ベリサインを申し込みに来た旨を伝えると
なにやらパソコンをカチャカチャやりだし私の口座情報を開いた

「目論見書をお持ちになり、お申し込み下さい」

はい?そんな事はわかってますよ目論見書なんてどうでもいいんです
上がるんだろ、一株よこせ

我輩「もうホームトレードで見てきましたんで、今日は申し込みに来たんです」
店員「それでは何口お申し込みになりますか」
我輩「何口でもいいんですが10ぐらいで」
店員「もし当選の場合、現在残高では足りませんので入金が必要に」
我輩「それは平気ですけど10株も当たる事ないでしょう、だって」
店員「はい」

てめえ、舐めてんのか?

我輩「一株もあたりませんかね」
店員「店頭での受付分に関しましては、お客様の今までの投資暦などを考慮いたしまして分配させて頂いております」
我輩「そうですか、じゃあ私には来ないですね」
店員「そうだ、ホームトレードからお申し込み下さい、あちらはコンピューターでの完全抽選ですので」
我輩「そうですか、申し込んでみます」
店員「よろしくお願いします。こちらのお申し込みはどうなされます?」
どうって聞くなよ、一応置いていくに決まってんでしょ
じゃあいいです、なんてかっこ悪いでしょ

三越まで行く途中妻に言われた

「なんか小馬鹿にされてたね」

本当は文句言おうと思ったんだがもしかしたら当たるかもと思ったんですよ
当たるわけないのに

野村よ確かにガリバーなのかもしれない
だが忘れるなよ、ガリバーも倒れることを
たとえ蟻でも、巨象を倒す事もあるのだ

我輩は蟻である、先週末で野村の全財産を銀行に移した