と言い出しながら、実際にはもう少し前。中学3年の頃だったか、お前はTHE SLUT BANKSと言うバンドに出会う。
同級生からZI:KILLを知り、TUSKさんの歌声にはまり、既に解散している事を知り、その歌声の今を聴けないのかと無念に思っていた。
その矢先、バンドや楽器に今日を持ち始め買うようになった音楽雑誌に『TUSK』の文字を見つける。ゾンビがと骸骨が並ぶジャケットと『死霊の悪知恵』のタイトル。
同一人物なのだろうか?早速地元のCDショップで探した。あった。期待と不安を胸にCDを再生する。
うるさい。
初めてTHE SLUT BANKSを聴いた時の本当に素直な感想だった。ビックリした。1曲目から突然の叫び声。ギターもベースもドラムも全部をどかっと一塊にして投げつけられたような衝撃だった。
特に音楽に詳しい訳でも、色々な音楽を聴けていたとは言えない当時の自分。それでも激しい曲、穏やかな曲、壮大な曲、そんなアーティスト、バンド、ミュージシャン、少しずつ触れながら自分の知る音楽があった。
その何もかもと違った。
曲が進む程に、トラックが進む程に、何度だって思った。
うるさい。
死霊の悪知恵の全6曲聴き終える頃、自分は未体験の感動の中にいた。
うるさいは、きもちいい。
うるさいは、かっこいい。
うるさいは、すごい。
音楽ってこんなにうるさくていいんだ。
こんなうるさいバンドで歌ってるんだTUSKさん。
うるさくて痛快でかっこよくて気持ちいい。そんなTHE SLUT BANKSの歌声は間違いなくZI:KILLで聴いていたTUSKさんの声だった。
嬉しかった。今の歌っている歌を聴けた。聴けるんだ。
THE SLUT BANKSにハマった。そしてうるさい音楽を求める阿呆が生まれた。もちろん
高校生になり、バンドを組み、バイトをして、ドラムを買うと決め、初めてメーカー物(当時の知識ではTAMA、Pearl、YAMAHAしか無いと思っていた)買ったのはYAMAHA。注文する時にセット内容を決められるのだが、もちろんタムタム無しでフロアタムだけでと伝え、店員に絶対にタムはあった方がいいと説得されタムも購入。
今思えばTHE SLUT BANKSにハマり憧れてと伝えていたのでSmokin'Starが誰で本来のセットがどんなものだったのかを知っていたのだろうなと。
このセットは今も家にある。
高校二年の頃だったか、待望の新譜『死霊光線 ~Evil Beam~』がリリース。もちろん購入。
CD再生して衝撃。いきなりビームを撃たれます笑
初っ端からド級にうるさいビームを浴びて、ああバンクス(少数派呼称)の新譜なんだなって喜んでいた。
ビームの後は『TOY』。速い。激しい。楽しい。このアルバムがどんなアルバムなのかを表しているのかのような1曲目(トラックとしては2だけども)後の石鹸屋『ってゐ!』の元になった曲である。
耳も体も心地良い。TUSKさんの歌詞って本当に不思議な心地良さがある。内容もさることながらこの言葉を使ってこう歌うのかと、歌詞書くようになってからはなおさらに感じる。
そう、こんな言葉をこう歌うのか。その衝撃の最たる次曲。『デビルモンキースパナ』
知らずに聴き始めた人なら泣き出してしまうんじゃないかって言うぐらい攻撃的なベースの音。リフ。
ドラムも入ってギターも入って。うるさい。最高にうるさい。とんでもない雰囲気だ。
そして歌い出すTUSKさん。
デビルモンキースパナ
凄い。うるさいを更にうるさい。人からこんな声が出るのか。
声帯が捻じ切れるのでないかと思う怒号のようなシャウト。いや、これはきっと怒号なのだろう。
ぶちこめ、突き刺せ、しめあげ、ねじあげ、くされドアタマかち割れ、R.I.P Drive
大変ガラの悪い言葉を何よりもガラ悪い怒号が響かせる。
こんなにガラの悪い音があるんだ。本当に衝撃だった。そして何度だって惚れる。凄いぜTHE SLUT BANKSって。
衝撃だったよな。本当に。
それが24年後。
まさかご本人達と共にステージに立ち
ドラムを叩き
あまつさえ
歌う
のだ。
THE SLUT BANKSの演奏で
歌うのだ
デビルモンキースパナを
先日、PIG SOAP SLUTと言う豚乙女、石鹸屋、そしてTHE SLUT BANKSの皆様との3マンライブだった。
あのバンクスと!? このイベントを立ててくれた豚乙女のコンプさんに話を聞いた時は「正気か!?」と思ったが同時に嬉しくもあった。
そして恐ろしかった。畏怖と言う表現が正しいだろうか、憧れの存在に対する感情としては至極真っ当な感情と言っていいだろう。同時に楽しみだった。憧れのミュージシャンと、同じステージを共に出来るのだ。こんな光栄な話は無い。
アンコールセッションの話はもちろん事前に聞いていた。最後にみんなでステージに立ってワイワイやろう。是非TOYがいいんじゃないか。そんな話だった。
当日。THE SLUT BANKSのリハが終わり、アンコールセッションの確認。一緒に歌う秀三やランコさんのマイクや進行の確認。それだけと思っていた。
ヘル、ドラム叩きなよ。
たしかTUSKさんだった。そう言ったのだ。言ってくれたのだ。
本当にびっくりした。そんな事あるのかと。もちろんガッチガチに緊張した。緊張したけど返事はもちろん『はい』だ。こんなに嬉しい事、絶対に『はい』だ。
そしてガッチガチに緊張したままリハで叩いた。
色々とツッコミを受けつつもアンコールセッションで叩かせてもらえることになった。
(メンバーの皆様本当に優しくしていただいた…思い返しても泣きそうだ)
デビルモンキースパナは、間奏あけでドラム代わろう。
あ、はい。えーと、自分は?
歌おうよ
……歌うの?? 俺が??? デビルモンキースパナを????
この事の行く末は、昨日のライブを観に来てくれた皆様の胸の内に。
ライブが終わり、片付けて、中打ちでご挨拶して、解散になり、
秀三とイノさんを乗せて帰路に着き、イノさんを途中で降ろし、秀三を送り、
ハイエースで一人。
バンクスを流す。
IT FOR LOVE
#0022
Please
「うるさい」と表現し続けているTHE SLUT BANKS。
うるさくも、優しく包み込むような楽曲達がある。
とりわけ、そんな中で自分が大好きな3曲を流していた。
ぽつんとひとりきりくわえ煙草けむりくゆらせて
ぽつんとひとりきり苦笑いをうかべてる
Pleaseの一節。
THE SLUT BANKSとステージを共にできたそんな夜。
煙草を辞めちゃった事を少しだけ残念に思いながら。
この一時だけはこの曲の中に居た。居られた。そう感じていた。
そんな夢だったんじゃないか今だって思う。
そんな夢のような一夜でした。