人生の夏休み中の夏休み

長旅は人生の夏休みといわれることがある。

本当にそうだろうか？

旅をし始めたばかりのころは、何もかもが新鮮で、
あらゆることに感動し、人生を謳歌しているような気分になる。

しかし、旅が長くなってくると
その感動が徐々に薄れ、義務的に観光するようになる。

学生にとって勉強が仕事なのと同じように
旅人にとって観光が仕事になってしまうのである。

観光しなければならないという義務感。
これは生真面目な日本人に特有の感覚かもしれない。

そして、旅を楽しめていない自分に気づき、
心をリフレッシュさせるための休暇が必要となる。

人生の夏休みのはずの旅の途中に
贅沢にも、さらに夏休みをとるということだ・・・。

毎日、移動もなく、観光するわけでもなく
宿で出会う旅人たちと、一緒に食べ語らう日々。

学生時代の夏の合宿のような楽しい毎日・・・。

現地の人の知り合いもどんどん増えてくる。

そのあまりの居心地の良さに、
「夏休み中の夏休み」はダラダラと延びていく・・・。

これを旅人は「沈没」と呼ぶ。

そのうち、自分がダメ人間のような気がしてくる。
「楽しさに溺れて、いつまでも沈没していてはダメだ！」と。

そうして、生真面目な日本人の旅人は、また旅に出るのである。

ああ、旅に対しても勤勉な愛すべき日本人。

夏休み中の夏休みである「沈没」こそが、
日本人にとっての本当の人生の夏休みかもしれない。

そんなことを、ふと思ったのである。

そんな夏休み中の夏休みに起こった、
ある日の馬鹿げた出来事を次の記事で書こうと思う。

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