一本の樹木にもよく見れば小さなクモやアリ、ヤドリギ、コケ、菌類が無数に宿っており、そこに蝶がかすめ飛び、鳥が休み、時には都会でもタヌキなどが木の実を食べに訪れる。

つまり一本の樹木はひとつの森なのだ。

ことに古い樹木ならなおさら、命の重なりは深い。

したがってひとつの樹木を伐ることは、ひとつの森を一挙に滅ぼすことだ。

 

十本の樹木なら十の森、百本なら百の森、千本なら千の森を我々は潰してしまう。

 

(私たちは古くから森に神社を造り、樹木から仏像を彫り出し、暮らしの原点である里山を木々のもとにこしらえてきた。)

ゆえに一部の人々の経済的利益のために森を破壊することは、文化の自滅である。

樹木にかわって強く願う

どうか木々を救っていただきますよう、また私たち自身で救えますよう。

 

樹木が風に揺れるとき

無数の生き物が揺れているのだから

多くの森がうごめき、歌っているのだから

 

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同じように

ひとつの私は私たちである

 

私たちの肌の上にも、腸の中にも多くの微生物がいる

1グラムの土に一億個

手のひらにすくったその土に、地球上の人類の数をはるかに越えた生き物がいる

 

それどころか、わたしたちを通った数千年前のウィルスの記憶さえ人類は忘れない

いまだ体内には無数の他者の痕跡がある 

 

したがって、ひとつの私はわたしたちである

ひとりの私を殺すことは 多くの他者を含んだ「わたしという森」を滅ぼすことだ

 

あなたが踊っているとき

無数の他者が揺れている

無数の他者がうごめき、歌っている

 

ひとりのあなたは数千数万のあなた

ひとりのわたしは数千数万数十万のわたし

多くの他者とともに踊る わたし

 

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開く国家 十九世紀    開く一家 二十世紀 

開く個が二十一世紀   LOVE ONE PIECE ボク ヘイキ

 

MA ナンバーナンバーナンバー   LOVE ONE PIECE

ボクはたくさんの  FIBER EASY PIECES

 

MA ワンダーワンダーワンダー  LOVE ONE PIECE

ぼくはたくさんの誰か 生命維持エッセンス

 

ON MA ジャンバージャンバージャンバー

ロゴ LOVE ONE PIECE

ボクはIのこまぎれの 何キログラム?

 

(これじゃマンガマンガマンガ  タイトル LOVE ONE PIECE

ボクはあいまいSELF  まるでホログラム)

 

OPEN THE SESAME  開けゴマ YOU&ME

開く自我 びっくり   開いたら どうでもいい

 

体はデータバンク   カンナンシンクの進化のランク

歴史の知識を積んだタンク

BUT THE THINKING TANK IS THE TANK IS SINKING

 

無意識技術者 おニューのサイコ・メディア

おツムにつなげりゃ  ボクここにいないや

 

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OPEN THE SESAME   開けゴマ セラヴィ

地球ごと しゃっくり   バラケちゃって一人

 

世界はデータバンク

残高もうすぐマイナス パンク

歴史の知識を積んだタンク

THE BIGGEST TANK WANTS NO MORE  BIG GUEST

 

わがまま消費者 大量のミニメディア

住み分けるエリア 狭くなる視野

 

やさしげファシスト つけこむ淋しさ

結局ナルシスト コトバにやましさ

必死のファシスト Iの名のもと

なれあいのシフト ボク カヤの外

 

きよし この聖夜  人類の無礼講フェア

意識のリペア なんにもないスペア

 

IはIS YOUはYOUS

HEはHES SHEはSHES

EYES USE HIS SEEDS

かいま見る 種のシリーズ

 

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あなたが踊っているとき

無数の他者が揺れている

無数の他者がうごめき、歌っている

 

樹木が風に揺れるとき

無数の生き物が揺れている

多くの森がうごめき、歌っている

 

わたしは多様な命の重なり

わたしたちは森

多くの他者とともに踊る体

 

その森を勝手に倒すな

ひとつの小宇宙を滅ぼすな

そのわたしの命を勝手に倒すな

わたしはわたしではないというのに

 

 

 

 いとうせいこうと申します。

 

 この七年ほど、ヨーロッパ、アフリカ、中東などで『国境なき医師団』の活動を取材し、難民及びそれに準じる立場の方々の話をつぶさに聞いてまいりました。

 

 まずひとつ言えることは、もちろん彼らは自ら国を出たかったわけではない。出ざるを得ない状況に突然見舞われて、想像を超える苦難の中で命を安らげる場所を必死に探しているのです。

 

 そしてもうひとつ重要なのは、私たち日本に住む者も残らず彼らと同じ境遇になる可能性を持っているということです。原因は大変な異常気象かもしれない。あるいは広範囲に及ぶ巨大地震がやまないとか、原子力事故による放射能被害に襲われて体ひとつでなるべく遠くへ逃げ延びねばならないとか、他国との摩擦がいきなり暴力に発展する、あるいは代々の生活の中でごく穏便に保っていた習慣が突如間違った宗教として国中から追い回されるといった事態は、決して夢まぼろしではありません。その時、私たちは国外に逃れる以外なくなるかもしれない。

 

 したがって今回のような『入管法改正』、私は改悪だと思いますが、それは人類社会に普遍であるべき人間の権利を毀損するばかりか、私たち日本に住む者の安全保障までをひどく脅かすものだと思います。

 

 私たち自身が「国を出ざるを得ない状況に見舞われて、想像を超える苦難の中で命を安らげる場所を必死に探す」かもしれない時、私たちは周囲の国に助けを求めるでしょう。そうであるならもちろん、私たちには追い返されない権利が必要なのです。その大切な権利への要求を、今回改正される『入管法』はこれまで以上に自ら放棄するものです。なぜなら他国の人々に対して、「私たちは追い返す」と言うのだから。

 

 私たちは現在途方もない苦難の下にいる方々に手を差し伸べるために、そして同時に明日の自分たちを救うために、よりよい『入管法』があることを願います。

 

  いとうせいこう(作家・クリエーター)

『一本の樹木は森である』

 

 一本の樹木にもよく見れば小さなクモやアリ、あるいはもっと小さなコケや菌類などがたくさん宿っており、そこに蝶がかすめ飛び、鳥が休み、時にはタヌキなどが木の実を食べに訪れます。つまり一本の樹木はひとつの森のような存在なのです。

 したがってひとつの樹木を伐ることは、ひとつの森を滅ぼすことです。

 十本の樹木なら十の森、百本なら百の森、三千本ならば三千の森を私たちは潰してしまうのです。

「鎮守の森」というように、私たちは森に神社を造り、長い寿命を持つ樹木から仏像を彫り出し、暮らしの原点である里山を樹木のもとにこしらえてきました。

 ゆえに一部の限られた人々の経済的利益のために多くの森を破壊することは、日本文化の自滅です。

 どうか木々を救っていただきますよう、私たち自身で救えますよう、強く願っています。

 

                                                                    

                いとうせいこう

 

 

 

 

今夜は心がうそ寒い

ちょいと誉めちゃあくれないか

言葉羽織って袖通し

はい 恩に着るよ

 

恋だけが流行(はやり)の病だった頃

人に隠れて会えたというに

今じゃほんとに命とり

 有権者は、票を入れた候補が勝利しても、敗北しても自分だけは常に勝利している。

 選挙出来ていることが、そのまま「民主主義の勝利」だからである。

 選挙のない国のことを考えてみればいい。

 ゆえに選挙の日、私たちはもっと浮かれていいと思う。

 朝から家族で笑いあったり、道行く人とハイタッチなんかもいい(ただし、手はすぐ消毒ね)。

 偉大な記念日なんだから、愉快で巨大なパレードなどしてもいいのだ(距離を取って、えんえんと長くね)。

 繰り返す。

 投票日は私たち国民の勝利の日である。

 街に出て陽気に羽ばたこう。

『このあとは』

 

今も気になるあの人と

小唄の会の糸の音も

響く心や過ぎぬ秋

やがておひらき さてこのあとは

 

 

(十年も前に書いたものを、浅草の紫沙ちゃんに曲にしてもらううち、

細かい直しも入ることになった決定版です

メロディは下に。

いきなりのお稽古ビデオになってますので、僕の節はあやふや)

 

 

 

 

ダブ 存在しなくなってからそれは繰り返し広がる

 

ダブ 音楽の歴史のなかで20世紀最後の発明は、ヒップホップとダブ

時にそれは同時に採用された

ダブ 存在しなくなってからそれは繰り返し広がる

 

演奏者は演奏がミュートされるのを楽しみ

一切演奏しないエンジニアが頂点に立つ

 

ダブ 存在しなくなってからそれは繰り返し広がる

 

ダブ 低音と高音以外要らない

でかいスピーカーから出現する振動で

体を細胞ひとつずつに解放するためだ

 

ダブ 隙間だらけの音楽

人を風通しよく隙間だらけにする音楽

所有出来ない その場限りの 音のアクション

今日の奇跡 たどる消えゆく軌跡 

 

ダブ 存在しなくなってからそれは繰り返し広がる

DUB IS

DUB WAS

DUB WILL BE

YOU

 

ヒト 存在しなくなってからそれは繰り返し広がる

 

この音楽には 聴いている私が参加している

そうしなければ この音は生まれない

この音楽には 聴いているあなたが参加している

そうしなければ、この音は生まれない

 

私は何度も音楽に救われてきた

どんなクスリも効かない私の心に

それは躍動し、沈潜し、複数の価値の層をなして

私を励起した 

そのとき私は 

私に参加していたのだ

 

あなたが聴くすべての音楽の あなたは演奏者である

あなたが聴くすべての音楽の あなたは指揮者である

あなたが聴くすべての音楽の あなたは伴奏者である

あなたが聴くすべての音楽のあなたは破壊者であり 

時にあなたは耳をふさぐ

いずれにせよ 音楽はあなたを変える

 

Listening is Playing

Listening is 

TIME IS 

TIME IS

TIME IS BE ABLE TO GO BACK

TIME GOES BACK,NOW

 

時は逆走し得る

音楽よ、君たちは行きたまえ

私はさかのぼる

こうして 

今 過去へと

 

観念は逆送する

宇宙の法則を超える

 

時は逆走し得る

悲しみはどうだ

喜びは

理解出来ない記憶は

甘い追憶は

 

音楽よ、君たちは行きたまえ

私はさかのぼっている

十秒前 十分前 十年前 生まれる前へと

 

TIME IS GOIN' BACK & TOWARD, NOW!