真田信繁と大河ドラマ｢真田丸｣
真田幸村とは…… ､その実像は？
真田信繁(真田幸村)は
真田昌幸の次男である｡
戦国時代には多くの武将が
後世に名を残しているが､
その多くは｢嫡男(長男)｣である｡
理由は簡単だ｡
家督を継ぐのは世襲制であり､
よっぽどな事が無い限りは
長男に継承権があった為だが､
勿論､その長男が討死､病死するなどして､
次男や三男が家督を継いだケースも
ある｡
実際､真田幸村の父･真田昌幸は､
真田幸隆の3男で､
武藤家の養子に出されていたが､
2人の兄･真田信綱と真田昌輝が
長篠ノ戦いで揃って討死した為､
武田勝頼から真田本家を継ぐように
命じられたのだ｡
歴史に｢もしも(if)｣は禁句ではあるが､
兄2人が存命であったならば､
真田家も武田勝頼と共に
滅亡していたかも知れず､
真田昌幸の優れた軍略も
発揮することなく､
埋もれた武将になったかも知れない｡
最も､
このあたりは｢運命｣であり､
私も含めて皆が､
明日はどうなるか分からないのと
同じである｡
そんな､
三男坊･真田昌幸の長男でもなく､
次男であった真田信繁(幸村)の名が､
世の中に知れ渡る可能性は､
もともと低かったのだ｡
その反面､
長篠ノ戦いで討死した
長男の子･真田信興は､
本来であれば真田家を継ぐ立場で
あったが､
長篠ノ戦いで父を失った後の動向は
全く不明である｡
結果的に､
真田家の家督を継いだ父･真田昌幸は
能力を発揮し､
上田合戦に於て2度に渡り､
何倍もの徳川の大軍を撃退する事に
成功し､
その智略は日の本に轟いた｡
勿論､
真田信繁(真田幸村)や兄･真田信之､
真田家臣の死に物狂いの尽力も
あった事だろうが､
総指揮官は真田昌幸である為､
真田昌幸の成果として
知れ渡る事となる｡
でも逆の捉え方をすると､
真田信之と真田幸村は
ただ父の命に従っただけで､
何もしていないと言う方も存在する｡
実際､大阪ノ陣が発生せず､
真田丸を築いて
徳川勢相手に活躍する事が無ければ､
真田信繁の名は
単なる真田昌幸の次男で
生涯を終えた事だろう｡
⬛【徳川家康も最初は安心していた】
大阪 冬ノ陣が始まるまで､
真田信繁は
実績はないと言っても
過言ではない武将であった為､
真田が大阪城に入ったと聞いた
徳川家康も
真田昌幸は既に亡くなっていると
知ると､
開戦前は心配していなかった｡
45歳の時に
父･真田昌幸が亡くなると､
それまで
九度山で従っていた真田家臣も
多くは上田に帰っていた｡
要するに､
真田丸で活躍し
その名が知られたのは､
既に体力も落ち
歯も抜けて出家した､
50歳近くのいい年である
真田信繁に､
思いがけず一矢報いる機会が
与えられた訳で､
そういう意味では
淀殿や豊臣秀頼に感謝しなくては
ならず､
人生､何があるかは本当に分からない｡
日本人は､
強い力には叶わないと
分かっていても､
命を掛けて対抗する人物に
憧れる節があるように感じる｡
特に､
徳川家康が築いた平和な江戸時代には､
そのような英雄話も少なく､
結果的に源義経の伝説や､
山本勘助の軍略と言った話が
｢物語｣となり､
浄瑠璃や歌舞伎の演目にもなり､
絵草子としても庶民を楽しませた｡
前田慶次もそうである｡
かつて書物や演劇だった
英雄物語が､
現在の世の中では
テレビドラマ､映画だけでなく､
ゲームなどにも転化され､
若者を中心に
戦国BASARAなどで戦うまでに
至ったが､
これも英雄への憧れが
多少なりともあるのは間違いない｡
この様な中で､大阪 夏ノ陣で
徳川家康を怖がらせたと言う
真田信繁の話も大きくなり､
｢真田十勇士｣という創作本が出版され
｢英雄化｣されるに至ったのである｡
最後になるが､
現存する真田信繁が出した書状には､
｢幸村｣の名を1度も記載してしない｡
大阪ノ陣で大阪城に入ってからも､
幸村の名は使っておらず
一貫して本名の｢真田信繁｣を
名乗っている｡
幼名は弁丸で､
後に源次郎を名乗り､
元服して｢信繁｣になったのは､
優秀な武将であった武田信玄の弟､
武田信繁を武人として尊敬したいた
父･真田昌幸が
｢兄を良く補佐するように｣
と名づけたとされている｡
江戸時代に書かれた
寛文12年(1672年)の軍記物
｢難波戦記｣に､
初めて真田幸村の名が登場しており､
作者である万年頼方､二階堂行憲が
産みの親だと言う事になる｡
則ち､江戸時代には､
真田信繁は｢真田幸村｣として
知れ渡り､
その活躍が英雄的であった事から､
後に真田十勇士と言う物語を
更に産み､
すっかり“架空の人物･真田幸村”像が
出来てしまったと言えよう｡
その為､
NHK大河ドラマ｢真田丸｣でも､
史実とおりの真田信繁という名が
採用されている｡
と言う事で､
三谷幸喜さんが手がけ､
堺 雅人さんが主演する｢真田丸｣は
これから非常に楽しみだが､
出来る限り
史実に沿った内容となり､
架空の人物を極力登場させないで
欲しいと願う｡
今のところは大丈夫だが､
面白く描く事に秀でた
三谷幸喜さんの事だから､
無理かな～？