私の着物の仕事 | 秋葉生白 ブログ 『おかげさま』

私の着物の仕事





昨年から着物の仕事が順調である

写真は日本橋のきものサローネで発表された私のデザインした帯地である

私は小学生のころから母の縫ったウールのアンサンブルをよく着ていた

夏に着物を着ていると暑いですかと聞かれるが涼しいものである

袂から風は入るし冷房大好き日本の建築には最高によくできた衣装なのである

アメリカやの風土に合った服 アフリカの原住民のための服 気候を重んじているわけで

日本の風土に合った着物は歴史的に見ても裁断のしかた縫いの工夫がすばらしいのである

着物のデザインは意匠という点で秀でている

小津安二郎が山本富士子に着せた紅型のきもの

田中絹代に着せた絣のきもの

小津のセンスがいかに良かったが解る

宇野千代やは晩年軽い着物を好んだと聞く

女史が龍村の帯に 絣の袖なし羽織にアケビのつるで編んだ買い物かごを持っている写真が好きだ

宇野千代が私を幼少育ててくれた叔母に面影が似ていることもあって ひいき目かもしれないが今あんなセンスの人はいないだろう


花火の季節である

千代田線の改札は昔の猿回しのようなちんけな浴衣の若者であふれている

あれが今の流行だとすれば着物の行く末は悲しい

伝統を踏まえた上での革新が着物の世界でも大切だ

そして一番大切なのはその人の清らかな粋さと品格であることを忘れてはならない