真夜中のオアシス | Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ







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マリア・マルダー
MARIA MULAUR
『真夜中のオアシス / Midnight At The Oasis』



ここは真夜中のオアシス ラクダをベッドに送るから
私たちの顔は月影に彩られ
心にはロマンスの予感が

天は半月を抱え 私たちを照らす
今すぐ砂丘まで抜け出しましょう
砂塵を蹴散らして

サボテンは私たちの友
道案内をしてくれるから
さあ 夜が終わらない今のうちに

Midnight at the oasis
Send your camel to bed
Shadows paintin' our faces
Traces of romance in our heads

Heaven's holdin' a half-moon
Shinin' just for us
Let's slip off to a sand dune, real soon
And kick up a little dust

Come on, Cactus is our friend
He'll point out the way
Come on, 'til the evenin' ends
'Til the evenin' ends






ニューヨーク・グリニッチ・ヴィレッジ出身。現在も活躍中です。独特のノスタルジーと透明感を持った歌声。艶やかな特徴ある裏声。他に似たひとを探すのが困難な素晴らしいシンガーです。ジェフ&マリア・マルダーとして夫と一緒に活躍したのち、72年に離婚しソロのシンガーとしてデビュー。この 「真夜中のオアシス」 の大ヒットにより広く知られるようになり、70年代はボニー・レイット、リンダ・ロンシュタッドと共に "3人娘" として、アメリカではポピュラーな人気を持つ女性シンガーとなりました。


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BONNIE, MARIA & LINDA



デビュー・アルバムの 『オールド・タイム・レディ』 は名盤です。ジャズ、フォーク、カントリーといったアメリカのルーツ・ミュージックを洗練させた形で取り入れて絶妙にブレンドさせた音楽は、古き良きアメリカを感じさせながらも、どこにもないようなパラダイスを作り上げています。

その音世界を象徴するような名曲が 「真夜中のオアシス」 です。
それにしてもジャズ風味の効いたこんな洒落たポップ・ソング、1973年に他にあったかなぁと考えてしまいます。ちょっと思い浮かばないのですが・・・


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with JOHN SEBASTIAN



もうひとつこの曲を特徴づけているのが、アルバムではこの曲のみでギターを弾いているエイモス・ギャレットのギターです。
一聴してテクニック的に難しいようには聴こえませんが、よく聴くとフレーズは独特です。この曲、簡単にはコピーできません。指使いが複雑だし、何といってもあの不思議なニュアンスが出せないのです。ギターを弾く方は試してみてはいかがでしょうか。


マリア・マルダーの思い出
ここからは個人的な思い出。面倒な方は飛ばしてください。

1989年10月だったか、マリア・マルダーのライヴに行ったことがあります。場所は新宿区大久保のアールズ・コトーという小さな会場でした。

中学生の頃からマリア・マルダーのファンであったという、当時付き合っていた女性に誘われてのものでした。でも中学生の頃にマリア・マルダーを聴いていたなんて、随分と早熟な女の子だったなぁと思います。彼女からは当時、他にボニー・レイット、リヴィングストン・テイラー、ローラ・ニーロ、ウォーレン・ジヴォン、エリック・アンダーソン、ケイト&アンナ・マクギャリグル といった主にアメリカのシンガー・ソングライター系の音楽を、この時代に教えてもらいました。それまでほとんど聴かなかった音楽ばかりで、もう遠い昔のことですが感謝の気持ちをここに記しておきたいのです。


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ライヴ会場は年代的に、僕等ふたりより10歳ぐらい上の人たちが中心でした。この頃マリア・マルダーのアルバムはCD化されておらずレコードも廃盤。若い年代にとっては聴く機会さえほとんどなかった音楽でした。

しかし今思うと、呼び屋さんもあの状況でよくマリア・マルダー呼んだなぁと。プロモーションの意味合いはないから、当然レコード会社の協賛なんてないし、おまけにギャラの嵩むバンドを率いての来日だったわけだし。

ライヴは素晴らしいものでした。マリア・マルダーの声は90年代半ばになると変質しますが、あの時はレコードで聴いたあのままのスウィートな歌声でした。そして70年代のアルバムではあまり感じられなかったブルースの色合いも強く出たライヴでした。

席は全席自由であったため僕等は最前列で観たのですが、ライヴも半ば頃、マルダーさん僕等に向かって微笑んだのです(そんな気がした)。ライヴの帰り道、彼女が切り出してきました。「なぜ私たちを見て微笑んだんだろうね」 と。「やっぱりそう思った?」 なんて言いながら、何だか幸福な気持ちになったのを憶えています。







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