前回のラストで「採用ページだけでは、企業のプラスの側面しか見られない」と言いました。
ではできるだけ客観的な情報を得るためにはどこを見たらいいのでしょうか。
誇張のない情報の在処
(3) IR情報
IRとは"Investor Relations"の略で、すなわち株主・投資家向け情報を意味します。
投資家のように企業をドライな目線で、すなわち客観的にみるためにも、IR情報のチェックは欠かせないでしょう。
四半期ごとの状況や詳細を知るために、
有価証券報告書や決算短信が最も有効です。
文字だらけで読む気が失せる…という人は多分開発職に向かないと思いますが、IR情報の中でも視覚的に理解しやすい資料はあります。
それがアニュアルレポートと説明会資料です。
これらを活用して以下のことを見ておきましょう
▶ 業績とキャッシュフロー
▶ 地域別の売上高
▶ グローバル展開の現状
▶ 次期の見通し
▶ 対処すべき課題
▶ 研究開発状況
今期は何があったか、前期との比較とその変動要因、今後の課題、来期の見通しが記載されています。
▶ 事業等のリスク
どの企業も同じようなことを書いていますが、一応目を通しておきましょう。
研究開発, 知的財産権, 販売, 薬事行政, 環境問題, 副作用/安全性, 為替レートについて触れていることが多いです。
▶ 経営上の重要な契約
主力製品が完全な自社製品でない場合、相手とのライセンス契約によって次期売上高に大きく影響することがあります。
技術導入出の契約だけでなく、販売/販促契約についても記しています。
▶ 特定投資株式
医薬品事業の関係維持/強化のために株式を保有し合っています。
つまり他社の経営状況も重要になってくるのです。
そのほか、
▶ 事業所ごとの従業員数
▶ 平均年齢
▶ 平均勤続年数
なども掲載されています。
4) 開発パイプライン情報
開発品目の充実度は、企業にとっても、開発職にとっても生命線だと思います。
企業選択の一つの軸にもなるでしょう。
▶ 疾患領域別にバランスはとれているか
▶ 現在の主力製品の後続品はあるか
▶ PhaseⅢにどれだけの候補薬があるか
などに注目しましょう。
開発情報はアニュアルレポートでもある程度把握できますが、up-to-dateの新薬開発状況は企業HPで随時更新されます。
また、外資系企業の多くは自社で開発状況を掲載していません。
そういった場合は、製薬協HPで開発状況を閲覧するとよいです。
◆ 製薬協HP「新薬・治験情報」
→→(Click here)
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【まとめ】
少なくともこれら4つの情報を調べない限りは、製薬メーカーの企業研究とは言えません。
企業研究は、書類選考や面接で熱意を伝えるための最低限の準備であり、会社側に失礼がないように行う準備です。
情報収集が書類や面接でのアピールに結び付いたとき、はじめて「企業研究をやった」と胸を張っていえるようになります。
企業研究を一通りしたら、プレスリリースで最新情報を常にアップデートしてくださいね。
【次回予告】
企業研究がスムーズに進むようなリンク集をまとめて記事にします。
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