浅田次郎『壬生義士伝』 | キムチの備忘録♪

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おひさの最近読んだ本の紹介です本




壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)/浅田 次郎

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壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)/浅田 次郎

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小雪舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がたどり着いた。
貧しさから南部藩を脱藩し、壬生浪と呼ばれた新選組に入隊した吉村貫一郎であった。
〝人斬り貫一〟と恐れられ、妻子への仕送りのため守銭奴と蔑まれても、飢えた者には握り飯を施す男。元新選組隊士や教え子が語る非業の隊士の生涯。(文庫上巻裏表紙より)





私が読んだ浅田次郎さんの本はこれで二作目です。他にも気になる作品がたくさんあるのでこれから開拓したい作家さんです(^∇^)
『壬生義士伝』は映画化もされている名作なのでご存じの方も多いかと思います。




内容は上に書いた通りで、新選組隊士吉村貫一郎がいかに生き、そして死んだのかを描いています。
吉村貫一郎は実在の新選組隊士だそうです。しかし現存の資料が少ないために実像はよく分からないようです。

しかし小説としては素晴らしかったと思います!

新選組といえば近藤勇、土方歳三、沖田総司などが有名ですね。吉村貫一郎という名前はこの作品で知られるようになりましたが、それ以前はほとんど知られていなかったのではないでしょうか。


吉村貫一郎は足軽ながら文武に秀でた人物で、脱藩前は藩校で学問の講義と剣術の指導をしていました。しかし妻と3人の子どもを養う十分な俸禄ももらえず、さらに長く続く飢饉のため止むに止まれず脱藩します。
そして家族を守るために新選組でお金を稼いではそのほとんどを国に送り続けます。




そんな彼の生きざまを、彼に関わった人々から語らせる、という手法で物語は進んでいきます。
結局吉村貫一郎は新選組から離れ南部藩蔵屋敷で切腹となるんですが、さまざまな人々の語りの途中、途中に吉村貫一郎が切腹を命じられてから亡くなるまでの心境が吐露されていきます。



吉村貫一郎はただ家族を生かすために人を斬るんです。本当はとても心優しくて穏やかで、そんなこととは無縁の人物に思えます。金を得るためにはどこまでも貪欲、でも守銭奴ではありません。すべては愛する家族のため。「義」とは何か?人が歩むべき道とは?
人として大切なことを教えてくれる作品だと思います。