世界をかける少女 第23話 Aパート
第23話「世界分断作戦―ファーストミッション 結界を破壊せよ!―」
これまでのお話
夢の世界から脱出し、すべての世界が融合してしまった世界にやってきた翔子。
そこで、出会ってきた乙女達と合流し、拠点として使われている、天空寺家に帰宅した。
しかし、待ち構えていたのは、Kの罠。だが、控えていた、ベルと響子達の活躍により、罠から脱出した。仲間の無事を確認した翔子は、その場に倒れ込み、仲間達は、ヴァルキュリアウイングのカードを見てしまった。
夢から目を覚ました翔子は、エクステリアから、以前の世界の話を聞かされ、自分は天より遣わされた戦乙女だという事実を言い渡された。
すべてが、最初から決まっていたこと…。それに、翔子は愕然とするが、ユグドラシルを止めるため、乙女達と共に戦うことを決意するのだった。
翔子がユグドラシルと対応する軍、「世界解放軍」を立ち上げてから、3日後…
「というわけで、力を貸してほしいんだけど…」
「わたしの力がそんなに必要か?」
翔子は、まだどちらにも所属していないキャラ達を探しだし、共に戦う仲間を作っていた。
「うん。あなたの実力を見込んでだよ。炎髪の討ち手、フレイムヘイズのシャナ」
「…ふんっ、そこまでいうなら、力になってもいいわよ。ただし…」
「メロンパンなら、たくさん用意してるから」
「わかってるじゃない」
「あなたの好みは把握済みよ」
翔子はペットを手なずけるように、シャナの力を借りることに成功した。
「ところで、まだお前の名前を聞いてなかったな」
「あたしは天空寺翔子。またの名を“通りすがりのヴァルキュリア”よ」
その頃、街の真ん中にそびえ立つ巨大なタワー。
「K、やつらの動きは?」
「はい。最近、仲間を勧誘して、戦力を増幅しているようです。シルバーポーン部隊も、何小隊か殲滅させられました」
ある部屋では、Kが誰かと話をしていた。相手は、黒いマントを羽織った男性だった。
「その割りには、余裕な顔をしているな、K」
「いえ。こう見えても、殲滅する方法を模索しています」
「ならば、早く実行に移さないか」
「仰せのままに」
「…ところで、K」
「何でしょうか?」
「お前………何か企んでないか?」
男性は単刀直入で、Kに質問した。その質問にKは、
「それは考えすぎですよ、ガノン様」
「…ならいい。下がれ」
「はっ」
天空寺家―――
「というわけで、新たな仲間、シャナちゃんで~す」
「よ、よろしく」
シャナを連れて戻ってきた翔子。仲間達は2人を出迎えた。
「炎髪の討ち手、だっけ?」
「綾乃とキャラ被ってるね」
「どういう意味よ!?」
「女子高生で」
「剣使うし」
「炎出すじゃん?」
「おまけに、赤い髪で長いし」
「…いくつ共通点を持っているんだ?お前」
「わたしに聞かないでよ!」
「でもまぁ…体は、綾乃の勝ちね」
「体はって、どういう意味よ!?」
「言葉の通りだよ」
「あのねぇ…」
「それより、他のメンバーはどうなった?」
「みんな説得に応じてくれたわ。翔子が言ったアドバイスもあって、すんなり了承してくれたわ」
優姫の話しによれば、仲間集めは順調に進んでいるらしい。
「なのはから連絡はあった?」
「さっき来たわよ。東北に陣を引いている、“三国の乙女達”の説得に成功したって」
「それはありがたいわね」
「お嬢様、三国の乙女達っていうのは…」
「かなり大規模の軍隊よ。なんせ、あの有名な三国志の軍隊で、代表的な3つの軍の力を借りることができたからね」
「三国志の代表的な軍といえば…」
「彼女達はいつ来るの?」
「作戦には間に合わせるだって」
「そう」
三国志の代表的な軍の力を借りることができたことを聞いたとき、天空寺家に、鈴香が帰還してきた。
「ただいま戻りました」
「お帰り。そっちの首尾は?」
「はい。死武専との交渉は終わりました」
「結果は?」
「全面協力、です。あちらの死神様は、お話が分かる人でした」
「だろうね。死武専もOKか…」
「翔子さん!ただいま~!」
鈴香の報告を終えると同時に、のぞみが帰還してきた。
「お帰り。どうだった?」
「わたし達を含めた、全17人のプリキュア、全員参加けって~い、です!」
「17人…」
「プリキュアって、そんなにもいたんですね」
「わたしもびっくりだよ」
「まっ、17人もいれば、百人力ね。なんせ、伝説の戦士だからね」
「だいぶ、戦力が整ってきましたね」
「エステル、帝国は力を貸してくれるって?」
「はい。フレンもギルドに協力を要請してくれました。ギルドも力を貸してくれるそうです」
「大規模な組織の力を借りれると、心強いわね」
「ユグドラシルって、どれだけの戦力を持っているんだろうね?」
「わからないわ。だけど、こっちだって、これだけ戦力があるんだから…五分五分、対等に戦えるはずよ」
ユグドラシルの戦力は未知数。だけど、それに対抗できるだけの力は持っているはず。翔子はそう確信していた。
自室に戻った翔子は、今の戦力がどれだけあるのか、整理していた。
「ベルのデュエルメイド達は5人、綾乃の神凪一族も皆OK。優姫のとこのヴァンパイアもOKね。なのはの時空管理局と、のぞみ率いるプリキュアも全員参加。薫のバベルに、鈴香のチーム、エステルと帝国+ギルドに、響子たち守護神…三国の乙女達、それから…」
「仕事熱心だな」
「エクステリア」
「あまり張り積めていると、疲れるぞ?」
「大丈夫よ。みんながついているから」
「…まったく、お前は」
「心配してくれてありがと」
「こっちの戦力はどうだ?」
「こんな感じ」
翔子はエクステリアに、今の戦力を記した紙を見せた。
「…なるほど、かなり集まったな」
「ええ。だけど、これだけ集まるなんて…どれだけの世界を融合させたのよ」
「わからないな。だが、それだけ、敵もいるということだ」
「…そうね。そういえば、偵察隊はどう?」
「夜には戻るようだ」
「それ次第ね。どう動くかは」
偵察隊が夜に戻ってくる。次の行動は、それ次第。翔子は作戦を練り始めた。
その日の夜、偵察隊が戻ってきた。
「ただいま戻りました」
「よく戻ってきてくれたわね。神風怪盗ジャンヌ」
「さっそくですが、ご報告を」
「お願い」
偵察隊のジャンヌは、一息ついて、報告を始めた。
「ユグドラシル側も、かなりの戦力を整えております。大半が、シルバーポーンですが、中には、向こうがスカウトした人達もいます」
「あらま」
「向こうも本気だな」
「それと、翔子さんが倒してきた敵が、ほとんど復活しています」
「うそ~ん」
「倒してきた敵…」
ベルは翔子が倒してきた敵のことを振り替える。
「ベルネリッタ・シャドウ、尾上八代、タイガ、プレリー・デマンド、リュウガ、アスラ、ザギ…」
「また戦うことになるかもね。他には?」
「拠点は、街の真ん中にそびえ立つ巨大なタワー、というのは、ご存じですよね?」
「明らかに、怪しい建物だからね」
「あの周辺には、強力な結界が張り巡らされてます」
「結界?」
Bパートへ続く