カルデロンさん一家が特例で日本国内に留まることとなった場合、何か不都合があったのでしょうか?
為政者が偽造パスポート問題を取り上げて、カルデロンさん一家に強制退去を命じる理由は理解できなくもありません。
しかし、庶民の側に強制退去にならなければ困る理由が見つかりません。
それほど、17年という時間は長く重いものだと思うのです。


隣人の外国人が不法滞在かどうかということを普段の生活で私たちはは気にしていません。
たとえ、不法滞在であったとしても長くその地域で生活し、地域に溶け込んでいれば、不法滞在かどうかということは、その地域に一緒に暮らす人たちにとってあまり大きな問題ではなくなるはずです。

カルデロンさん一家は、税金を払いそしてお嬢さんは区立の学校に通ってきました。
(この部分に事実誤認があったらゴメンナサイ)
つまり、入口は偽造旅券での入国でしたが、地域に溶け込んでいたと十分に推測されます。

繰り返しますが、政府がそれを引き裂くのは理解できなくもありません。
法的には何ら不都合はありませんし、悪しき前例を作りたくないという官僚の保身的な発想からも理解できます。
しかし、それに合わせるように庶民の側が強制退去!と主張する理由が分からないのです。

この例を取り上げて不法入国がやったもの勝ちになるというのが、その主な論拠だと思うのですが、カルデロンさん一家のケースは極めてレアケースであり、17年という時間の長さや重さをまるで考慮に入れてない主張に映ります。

政府はこの決定によって、国際的に閉ざされた国というレッテルを貼られます。
それは、人権擁護意識の薄い国というレッテルと同じ意味を持つのです。
その意味では、特例を認めたほうが国益にかなう判断だったのでしょう。

しかし、それに庶民が合わせた判断を行う必要は無いように思えてなりません。

カルデロンさん一家の不法滞在は、17年という時間を考えれば小悪です。
寄ってたかって棒で叩くような悪ではありません。
それよりも、もっと大きなそして組織的な悪が数多くあります。
カルデロンさん一家を叩く人々は、これらの組織的な巨悪には寛容な印象すら受けます。

話は飛びますが、江戸時代の身分制度は士農工商に属さない身分を作ることで庶民の意識を上にではなく下に向けさせていたという側面がありました。
今回のカルデロンさん一家への反発のようなものは、その構図に似ているように思えてなりません。
そして、その危うさのようなものを感じずにはいられないのです。

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滞在を続けて困る人はいたのでしょうか?

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「娘1人で残留」=フィリピン一家、入管に回答-強制退去問題 (時事ドットコム)
 不法滞在で強制退去を命じられたフィリピン人中学生カルデロン・ノリコさん(13)は13日、母親と東京入国管理局へ出頭し、親類宅に身を寄せて1人で日本に残る意向を伝えた。両親は来月13日に自主的に帰国する予定。同入管はこれを受け、収容していた父親のアランさん(36)を仮放免した。
 同入管は、13日までに3人で出国するか、長女ノリコさん1人で残留するかを回答しなければ、17日に3人を強制送還すると通告していた。
 ノリコさんと母親はこの日、収容中のアランさんと面会して今後の対応を相談。両親が帰国し、1人で残留することを決断した。ノリコさんは現在住む家で、母親の妹家族と生活することになるという。