スコットランド独立の是非を問う
運命の住民投票まであと1日・・・!

というわけで本日は基本の基本、
「なぜスコットランドは独立したいのか」
について考えたいと思います。

「詳しい事情はよくわかりませんけど、
英国から独立したいとスコットランド人が
そこまで望むということは
きっとスコットランドの皆様は
英国の他の地域の人からものすごい
差別を受けているんでしょうね」
みたいな納得の仕方を
なさってしまっている方も一部には
いらっしゃるのではないでしょうか。

ではここで素朴な疑問です。

『ものすごい差別』とはこの場合
どのような状況を指すのか。

皆様ご存知の通り私は
友人の数も限られるひきこもり生活者、
それゆえ仲よくしてくださる方々は
人格の優れた方が多い、という背景もございます、
が、正直、渡英して以来こっち、
スコットランド人のことを
悪く言うイングランド人に
私はまず会ったことがございません。

しかし私は所詮異邦人、もしかすると
私たち異国人の目には届かないところで
実は凄まじい出自差別があるのかもしれない、
たとえばスコットランド出身者は
社会的に抑圧され出世できないとか!

・・・英国の元首相である
ブレア氏(任期1997年ー2007年)と
ブラウン氏(任期2007-2010年)は
スコットランドのご出身です。

他地域に比べスコットランドには
重税が課され住民が搾取されているとか?

独立賛成派サモンド氏
(スコットランド国民党党首)と
反対派ダーリング氏
(英国元財務大臣)のテレビ討論会
「住民一人頭で計算するとスコットランドは
他地域より多く税金を納めている」
とサモンド氏はご主張なさいました。

が、これは算出方法によって
数字が変わる面もありまして
(北海油田の利益をどう反映させるか)、
それに対してダーリング氏は
「でも過去22年間スコットランドは
税金による歳入額を歳出額が
上回っていましたよね」と主張。

つまりスコットランドの行政サービスは
他地域の税収で補われている、という、
でもまあこれも算出方法で
数字の細かい点は変わります。

で、最近の世論を見ておりますと、
独立賛成派の方はサモンド氏の意見を
反対派の方はダーリング氏の意見を
それぞれ錦の御旗として掲げている、
というのが私の受ける印象です。

となるとこれはもう、言葉は悪いのですが
『誤差の範囲』の議論ではないのか。

個人の収入に対する課税率が
イングランドとスコットランドで異なる、
とかそういうことは基本的にない。

ではあれか、スコットランドは
他地域に比べ医療費や教育費が高く、
病人は病院に行けず子供は学校に通えず
人々の生活水準が押し下げられているのか、
というとそんなこともない。

失業率が他地域に比べ異常に高いかというと
そんなこともない(むしろ平均よりも低い)。

ただ確かに
富者と貧者の社会格差はあります、
未来に希望を持てない人々もいます、
現状に不満を抱く層は存在します。

でもそれはスコットランドに
限った話ではないのです。

鉄の女サッチャー元首相が
スコットランドの炭鉱をがんがん閉鎖し
人々から生活の糧と誇りを奪い去った、
ということを指摘する方もいます、
しかし当時はイングランドでも
同じことが起きていました。

もういい、そんな細かい話はもうたくさんだ、
我々はとにかくスコットランドという
名前の国家を手にしたいのだ!
これは理ではなく心の問題だ!
という主張、私もこれは理解できます。

独立、自立、民族自治、これらは
第2次大戦以降の国際政治における
魅惑のキーワードのひとつ。

これを出されてしまうと世間は弱い。
だってまず響きがいいですしね。

ただ、本当に繰り返しになりますが、
独立・自立には義務が伴う。

スコットランドが英国から離れ
1つの国家として
国際政治の荒波に立ち向かう場合、
たとえば国防はどうなるのか。

よその国が攻めてきたとき
それを迎え撃つ軍隊はどこにあるのか。

英国軍は原子力潜水艦を保有しており
現在その基地はスコットランドに存在します。

スコットランド独立の暁には
この基地から
件の潜水艦は追い出される予定

なるほど、で、スコットランドの周囲の海は
これから誰が見回りをしてくれるのか。

今は本当に楽なんです、
だって何か問題が生じれば
すべてをウエストミンスターの
責任とすることができるんですもの。

独立達成後、スコットランドは
欧州連合に参加したい意向です。

が、この参加は
拒否される可能性があります。

その理由は後述するとして、
そうなった場合、スコットランドは
地域共同体から
見事に孤立する事態に陥ります。

その時スコットランドはどうなるのか。
どうするのか。

欧州連合を非難するのか。

それともまた
ウエストミンスターを非難するのか。
しかしその非難はもはや
国内の政治不満の吐露という
とらえ方はされない。
それは隣国非難になってしまう。

事あるたびに隣のことを非難する国、
そんな国にスコットランドは
本当になりたいのか。

そしてそんな国において
人々は本当に幸福になれるのか。

私の素朴な疑問です。

長くなったので独立後のスコットランドが
欧州連合に参加できないかもしれない
理由についてはまた明日。

で、この問題が
日本にどう影響するのか、
についてもまた明日。

だってもう本当に長すぎるんですもの
最近の当ブログの記事ったら!

どうかよろしくお願いします。


コメントをくださる皆様、
いつもありがとうございます

スコットランド独立についての話題は
日本とは直接関係がない政治ネタなので
(間接的な関係はものすごくあると
私は思っているのですが、それは明日に)
理詰めで話を進めていけるかと
当初予想していたのですが、
思いのほかエモーショナルな反応を
一部の方からいただきまして

やはり「独立」は
人の心を揺さぶるキーワードなのだな、
とあらためて感じ入りつつ、
一つお願いがございます

自分と意見の異なる人に対し
「私の意見は違います」
と申し述べることはノープロブレム

ただ自分には自分の意見があるように
他の人には他の人の意見があります

「自分の意見に反対する人は愚か、
そして愚か者には何を言ってもいい」
という態度は周囲の人も不快にします

意見の異なる者同士
顔の見えないネット上であるからこそ
持てる『対話』を実現したい

それが不可能ならばせめて
最低限の敬意はお互いに払いたい

その基本をご理解いただいたうえで
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こんなことを書くともしかすると
今日の記事に対するコメント数はゼロだな
と変な笑いを浮かべる私に
独立賛成派の貴方も反対派の貴方も
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