珍説15・非武装中立を唱える共産党は侵略される可能性も考えないお花畑だ | 誰かの妄想

珍説15・非武装中立を唱える共産党は侵略される可能性も考えないお花畑だ

これも反戦運動嫌いの軍ウヨ(軍オタウヨクの略)がすきそうな話。


【珍説】

元はQandAの形式をとっているが、質問者は特に答えを求めているのではなく非武装中立を唱える共産党を揶揄する書き込みを呼びかけているだけに感じますね。


(Sea-Breeze氏の質問要約)
テレビで日本共産党の小池晃議員が相変わらずの「憲法第9条は1項、2項とも堅持、自衛隊は解散」という非武装中立論を展開していたが、では、「自衛隊を解散した後、もし外国勢力から武力による侵略を日本国が受けた場合、どうやって自国民の生命、財産を守るつもりか?」という質問には答えていない。
どうせ、日本とアメリカだけが軍隊を解散すれば一挙にアジア、ひいては世界平和に直結する。とか考えているんだろう。
「他国が日本を侵略するなんて絶対にあり得ない話であって、自衛隊は時期をおいて最終的には解散すべきである」というお花畑平和論を展開しているようだが、具体的な可能性があるとか関係なく、祖国防衛のための実力組織を維持するのは国家としての当然の義務だし、一度自衛隊を解散してしまうと再度編成を組むには数年から10年以上かかることを考えてるのか?
(以下、質問最後の部分のみ引用)
もし共産党が政権与党 (あり得ないとの反論はお許し下さい) となって自衛隊を解散した後、もし隣国から何らかの武力による圧力を受けた場合は、政府としてどういう手段を取って、日本国民の生命と財産の保全を維持するのか、お教え下さい。


(yuhkoh氏の回答要約)
(略)
「非武装」というのは与党への攻撃のための手段であって、目的ではないでしょう。あるいは前述のように、自由主義・立憲君主制である「日本国」政府が武装することに反対するのであって、「人民」が武装することには反対しないでしょう。当然、その人民の代表とは共産党です(笑)
(略)
 どうも憲法で戦争放棄が掲げられているのはさほど珍しいことではないようです。ただここでいう戦争は侵略であって、当然に自衛は含まれません。ですから日本国憲法をことさら「平和憲法」と持ち上げるのもおかしな話ですね。もっとも、「日本国」に意図のある集団や国は、自衛戦争も放棄してもらいたいでしょうね。
 
 あとマルクス経済学者の森嶋通夫氏に、通称「白旗赤旗論」というのがありました。もしソ連が攻めてきたら白旗を出し、そして赤旗を掲げれば日本は助かるという考えだそうです。なんのための「非武装」であるかが、よく理解できますね。
(略)



【事実】

意図したものかどうかはともかく、Sea-Breeze氏とyuhkoh氏の合作による共産党誹謗プロパガンダになってますね。あるいは反戦平和運動揶揄かな。いずれにせよ、共産党や反戦平和運動に対する嫌悪感先にありきで構築した”お花畑サヨク”という藁人形叩きでしかありません。
そもそも共産党の主張に対し疑問があるならまず共産党のサイトを見ればいいのですが、なぜそうしないのでしょうか。


探せばすぐ見つかりますが、非武装中立についての共産党の考えは以下の通りです。


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http://www.jcp.or.jp/seisaku/004_0607/kenpou_jieitai_22taikai_.html
憲法を生かした民主日本の建設を(2000/11/24)


それでは、憲法九条と自衛隊の現実との矛盾をどう解決するか。わが党は、改憲派がとなえるような自衛隊の現実にあわせて九条をとりはらうという方向での「解決」ではなく、世界史的にも先駆的意義をもつ九条の完全実施にむけて、憲法違反の現実を改革していくことこそ、政治の責任であると考える。


 この矛盾を解消することは、一足飛びにはできない。憲法九条の完全実施への接近を、国民の合意を尊重しながら、段階的にすすめることが必要である。


――第一段階は、日米安保条約廃棄前の段階である。ここでは、戦争法の発動や海外派兵の拡大など、九条のこれ以上の蹂躙を許さないことが、熱い焦点である。また世界でも軍縮の流れが当たり前になっている時代に、軍拡に終止符をうって軍縮に転じることも急務となっている。


――第二段階は、日米安保条約が廃棄され、日本が日米軍事同盟からぬけだした段階である。安保廃棄についての国民的合意が達成されることと、自衛隊解消の国民的合意とはおのずから別個の問題であり、自衛隊解消の国民的合意の成熟は、民主的政権のもとでの国民の体験をつうじて、形成されていくというのが、わが党の展望である。この段階では、自衛隊の民主的改革――米軍との従属的な関係の解消、公務員としての政治的中立性の徹底、大幅軍縮などが課題になる。


――第三段階は、国民の合意で、憲法九条の完全実施――自衛隊解消にとりくむ段階である。独立・中立の日本は、非同盟・中立の流れに参加し、世界やアジアの国々と、対等・平等・互恵の友好関係をきずき、日本の中立の地位の国際的な保障の確立に努力する。また憲法の平和原則にたった道理ある平和外交で、世界とアジアに貢献する。この努力ともあいまって、アジアの平和的安定の情勢が成熟すること、それを背景にして憲法九条の完全実施についての国民的合意が成熟することを見定めながら、自衛隊解消にむかっての本格的な措置にとりくむ。


 独立・中立を宣言した日本が、諸外国とほんとうの友好関係をむすび、道理ある外交によって世界平和に貢献するならば、わが国が常備軍によらず安全を確保することが、二十一世紀には可能になるというのが、わが党の展望であり、目標である。

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上を読めば分かると思うが、「自衛隊を解散した後、もし外国勢力から武力による侵略を日本国が受けた場合、どうやって自国民の生命、財産を守るつもりか?」という質問自体がそもそも意味のない質問である。
第三段階」に書かれているように、世界やアジアの国々と対等・平等・互恵の友好関係を築き、日本の中立の地位の国際的な保障を確立し、平和的安定の情勢が成熟することを条件として、自衛隊解消にむかっての本格的な措置にとりくむわけだ。
言い換えれば、外国勢力から武力による侵略を日本国が受ける恐れがある間は、自衛隊を解散しないってこと

軍ウヨの作る藁人形の”共産党”の主張とは随分違う。


そういうと、「共産党は自衛隊は違憲だって言ってるだろ!」とわめくバカが出てきそうだが、そういうバカに向けてもちゃんと丁寧に答えている。

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(上記引用からの続き)
自衛隊問題の段階的解決というこの方針は、憲法九条の完全実施への接近の過程では、自衛隊が憲法違反の存在であるという認識には変わりがないが、これが一定の期間存在することはさけられないという立場にたつことである。これは一定の期間、憲法と自衛隊との矛盾がつづくということだが、この矛盾は、われわれに責任があるのではなく、先行する政権から引き継ぐ、さけがたい矛盾である。憲法と自衛隊との矛盾を引き継ぎながら、それを憲法九条の完全実施の方向で解消することをめざすのが、民主連合政府に参加するわが党の立場である。
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要約すると、違憲状態解消に向けての努力するがその過程で違憲状態が続くのはやむを得ない。これまでの(主として自民党)政権が違憲状態のまま放置してきたツケだし。て感じか。


さらに「世界やアジアの国々と対等・平等・互恵の友好関係を築く以前に侵略されたら、どうするんだ!」という質問に対してもやはりちゃんと丁寧に答えている。

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(上記引用からの続き)
 そうした過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する。国民の生活と生存、基本的人権、国の主権と独立など、憲法が立脚している原理を守るために、可能なあらゆる手段を用いることは、政治の当然の責務である。
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要約すると、そりゃ平和的安定状態になる前に侵略されたら自衛隊使うよ、当たり前じゃん。それが何か?大体、侵略されるかも知れないから武力もっとこうぜ、でおしまいって単なる現状追認主義だろ、それよりも武力なくても良い世界をつくる努力する方が前向きじゃね。てな感じ。

要約になってないような気もするが。


とにかく、軍ウヨ脳内の”共産党”とは比べ物にならないほど現実的ですねぇ。


次に珍説回答者を見てみましょう。


「「非武装」というのは与党への攻撃のための手段であって、目的ではないでしょう。」てのは、根拠のない決め付けですね。
「「人民」が武装することには反対しないでしょう。当然、その人民の代表とは共産党です(笑)」てのも、同じく。ま、彼らの脳内共産党はそういう団体なのかもしれませんが。


どうも憲法で戦争放棄が掲げられているのはさほど珍しいことではないようです。ただここでいう戦争は侵略であって、当然に自衛は含まれません。ですから日本国憲法をことさら「平和憲法」と持ち上げるのもおかしな話ですね。」の部分。

えーと、日本の場合は戦争放棄は軍隊放棄とセットになってますな。


ちなみにこのyuhkoh氏は、憲法で戦争放棄を掲げている例として、アメリカ合衆国を挙げていますが(http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1185676 )、そこで引用している合衆国憲法第1条第10節「(三)各州は、連邦議会の同意なしに、トン税を賦課し、平時において軍隊または軍艦を備え、他州あるいは外国と協約あるいは協定を結び、または現実に侵略を受けた場合、あるいは猶予しがたい急迫の危険がある場合でない限り、戦争行為をしてはならない。」は、州政府には戦争をする権限がない、と言っているだけの条文なので、yuhkoh氏の発言は全く的外れです。


実際には、第1条第8節に連邦議会の権限として「(十一)戦争を宣言し、敵国船傘捕免許状を付与し、陸上および海上における捕獲に関する規則を設けること。」と書いてありますから、戦争放棄の憲法ではありません。デマ言っちゃいけませんね。


参照:アメリカ合衆国憲法
http://tokyo.usembassy.gov/j/amc/tamcj-071.html


「もっとも、「日本国」に意図のある集団や国は、自衛戦争も放棄してもらいたいでしょうね。」
この手の含みのある言い回しは軍ウヨが得意とするところです。まず間違いなく、中国やロシア、北朝鮮、国内的には共産党や朝鮮総連などを指して、日本に”悪意”のある集団や国、と考えているのでしょう。もちろん明言していないので言い逃れは可能ですけどね。


「あとマルクス経済学者の森嶋通夫氏に、通称「白旗赤旗論」というのがありました。もしソ連が攻めてきたら白旗を出し、そして赤旗を掲げれば日本は助かるという考えだそうです。なんのための「非武装」であるかが、よく理解できますね。」
これも含みのある言い方です。まあ、サヨクはソ連が攻めてもらってその時すぐ降伏して社会主義国家になれるように「非武装」を主張している、と示唆しているつもりなんでしょう。印象操作の典型です。


ちなみに、森嶋氏の「白旗赤旗論」というのは、1979年3月9日の北海道新聞に載った内容らしい。内容はネット上で拾える部分だけだが以下のようなもの。

不幸にして最悪の事態が起きれば、白旗と赤旗をもって、平静にソ連軍を迎えるより他ない。34年前に米軍を迎えたようにである。そしてソ連の支配下でも、私たちさえしっかりしていれば、日本に適合した社会主義経済を建設することは可能である。」


この内容直前の発言がどうだったかが気になるが、この部分だけでも大体わかるだろう。
要約すると、ソ連に侵略されるという”最悪の事態”が起こったとしてもソ連占領下で日本人に適した社会主義経済を建設すればいいし、それはできるでしょ。だって実際34年前(1945年)に俺らはアメリカに対してそうしたやん。結局、俺ら日本人がしっかりしていれば日本が滅んだりはしねーよ。て感じかな。


わざわざ「不幸にして最悪の事態」と言っているのに「なんのための「非武装」であるかが、よく理解できますね。」などと言えるのは、やはり軍ウヨって印象操作が得意なんですねぇ。


scopedog