頭の悪い話・相関と因果 | 誰かの妄想

頭の悪い話・相関と因果


日教組の強いところは成績が悪い、という馬鹿げた妄言を信じ込んで論証したつもりの痛いブログ
http://iwaiwa.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_e934.html


既に法華狼さんが指摘済みですが・・・
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20080930/1222747184

数字が小さいほうが順位が高いわけですが、先のブログ主はそれに気づかなかったようだ


で、元データだがこうなっているらしい(実際どうだか知らんので引用)。

・北海道(組織率5割超)  小学校46位  中学校44位
・岩手県(同   4割超)  同   10位  同   39位
・秋田県(同   5割超)  同    1位  同    3位
・神奈川県(同  6割超)  同   27位  同   34位
・新潟県(同  7割近く)  同   17位  同   22位
・山梨県(同   8割超)  同   29位  同   20位
・静岡県(同   6割超)  同   14位  同    7位
・愛知県(同   約6割)  同   22位  同    9位
・三重県(同   約8割)  同   42位  同   29位
・大阪府(同   3割弱)  同   45位  同   45位
・兵庫県(同  6割近く)  同    23位  同   27位
・岡山県(同   約6割)  同   39位  同   38位
・福岡県(同   約3割)  同   38位  同   40位
・大分県(同  約65%)  同   44位  同   32位
・沖縄県(同  約35%)  同   47位  同   47位
 

まあ、相関係数を出して、定量的に調べるのも重要とは思うけど、まずは大体の傾向を目で見てみることですよ。


そういうわけで、組織率順に並べ替えてみると・・・


・山梨県(同   8割超)  同   29位  同   20位
・三重県(同   約8割)  同   42位  同   29位
・新潟県(同  7割近く)  同   17位  同   22位
・大分県(同  約65%)  同   44位  同   32位
・神奈川県(同  6割超)  同   27位  同   34位
・静岡県(同   6割超)  同   14位  同    7位
・愛知県(同   約6割)  同   22位  同    9位
・岡山県(同   約6割)  同   39位  同   38位
・兵庫県(同  6割近く)  同    23位  同   27位
・北海道(組織率5割超)  小学校46位  中学校44位
・秋田県(同   5割超)  同    1位  同    3位
・岩手県(同   4割超)  同   10位  同   39位
・沖縄県(同  約35%)  同   47位  同   47位
・福岡県(同   約3割)  同   38位  同   40位
・大阪府(同   3割弱)  同   45位  同   45位


小学校の順位は、とくに傾向が見受けられないけど、中学校の順位については、組織率が高い方が順位が高いこと(つまり順位を示す数値は小さい)がわかりますね。


このデータから判るのは、日教組の組織率と中学校の順位の間には、正の相関がある、ということです。


で、どの程度の相関か、を定量的に知りたいなら、相関係数を求めればよいわけです。


計算結果は、件のブログから引用しますけど、0.49らしいですね。件のブログでは-0.49として、負の相関とか言ってますけど、順位を示す数字が小さいほうが成績がいい訳なので、調査の目的からすれば、これは正の相関と表現するのが自然。

あと、細かいけど気になるのは、単に「相関」としか言ってないから、多分、ピアソンの積率相関係数を使っていると思うんだけど、この場合は、スピアマンの順位相関係数を使うべきだと思う。いや、ホントに細かいことだけどね・・・


最期に重要なこと。
暴言の根源:中山元国交相にも、当てはまる指摘だが、


「相関があるからと言って、因果関係があるとは限らない」


論理的思考が弱い人が陥りやすい点だけどね。統計データの読み方として非常に重要なんだわ、これが。



よく言われる例)
サラリーマン全体のデータをとると、

「血圧の高さ」と「給料の額」の間には非常に高い正の相関があることが知られています(事実です)。


じゃ、血圧を高くすれば、給料の額は上がりますか?上がるわけないですね。
では、給料の額を上げれば、血圧が高くなりますか?ま、昇給の知らせを受けた瞬間以外は高くならないでしょうね。

つまり、「血圧の高さ」と「給料の額」の間には何の因果関係もないわけです。

では、この相関はどう説明できるのか、というと、「年齢」という因子で説明ができるわけです。

・年齢があがると、一般的に血圧が高くなります。
・年齢があがると、一般的に給料も上がります。

このため、見かけ上「血圧の高さ」と「給料の額」には関連があるように見えるわけです。


統計のトリック(と呼べるかどうかはおいといて)のひとつです。


要するに、「日教組の組織率」と「学力テストの結果」に相関が見受けられたとしても、因果関係があることの証明にはならないわけです。


それを理解できないバカは、学力テストの結果を以て、
「日教組がガン」
とか言い出すわけです。
そういう馬鹿は、戦後教育の中でまじめに数学をやってこなかったんでしょう。
辞めてもらって大歓迎な大臣でしたね。

これからは大臣を選ぶ際に学力テストでもやってはどうでしょうか?



ところで、個人的には「学力テストの結果」は「地元就職率の高さ」と因果関係があるように思うのだがなあ・・・