嫌韓派の偏向的なデータ利用の実例 | 誰かの妄想

嫌韓派の偏向的なデータ利用の実例

以下は、「韓国旅行要注意」と題した嫌韓サイトです。
http://japanese.tour2korea.tripod.com/


ツッコミどころが多すぎて困るのですが、ここでは2箇所ほど取り上げましょう。


一つ目は、アジア性科学学会シンポジウムのサイトからの恣意的引用です。

Helen Noh氏の「韓国における小児への性的虐待」と題した発表を嫌韓厨のサイト主が嬉しそうに取り上げています。


曰く「9.6%の女性が19歳までにレイプあるいはレイプ未遂を経験」

(韓国人を差別するのに最も使えそうな)センセーショナルな数値を出しています。
しかし、こういったデータはサンプルの取り方によって大きく数値は変わります。しかも、サンプリングの手順も不明なので、単純に一般化するのは非常に危険です。実際に、この発表の最初にも同じ趣旨の統計があり、そこでの数値は2%です。


嫌韓厨のサイト主は、おそらく誇張するために高い方の数値を恣意的に選んだのでしょう。

そして、もうひとつこのサイト主が無視した場所があります。


このシンポジウムのサイトには、埼玉県立小児医療センターの奥山真紀子氏の発表もあり、これは「日本における子供の性的虐待」と題されています(そもそもアジアのシンポジウムなので日本の発表もあるのは当然ですけどね)。

それによると、日本では(と一般化するのは本来正しくないのだが)、女性の6.4人に1人が、12歳までに性的虐待を受けている、とのことです(これについてのやり取りが質疑応答内にあって非常に興味深い)。

すると、比率を単純に見る限り、韓国より日本の方がひどい現状である、とも言えてしまいます(実際には比較を目的とした集計ではないので、断言できないのだが・・・)。


もちろん、嫌韓のサイト主は、こんな部分を取り上げたりしません。
嫌韓厨の目的は、韓国に対する揶揄のみであって、決して性犯罪の現状を憂いているわけでも何でもないのです。自分じゃない誰かが苦しんでいる様子を、ニヤニヤしながら見ているだけの下衆に過ぎません。


(ちなみに、このシンポジウムの最後にある質疑応答中に、フィリピンの事例についての話があり、そこには「(性犯罪の)罰則に死刑を設けたら被害届けが減ってしまった」とあります。エントリーの本題とは関係しないのですが、ネトウヨらの死刑連呼の風潮に対する一つの反論、として載せておきます。)



二つ目は体験談として出してきた事例。

>+++韓国よ、私の姉を返せ!!!+++
http://japanese.tour2korea.tripod.com/kaese.html


これも、まるで韓国や韓国人という国家や民族が加害者であるかのように書いてますが、はっきり言うと、統一協会による洗脳の被害報告に過ぎません。

韓国人全てが統一協会でないことは言うまでもなく、信者の数で言えば日本の方が遥かに多い。(教団の元広報局長であった副島嘉和の 1984年の告発手記[33]によれば、「日本に8000人、米国と韓国にそれぞれ2000人、ヨーロッパ全体で2百数10人」(WIKIPEDIA))

一体、この証言が「韓国旅行要注意」の根拠になるのか?信者数で言えば、日本の方がむしろ危険では?とも思えるのだが・・・。



(追記)

コメント欄で教えていただきました。

二つ目の統一協会の体験談については、かなり怪しい怪文書のようですね。


http://d.hatena.ne.jp/bruckner05/20070805/p1


しかし、統一協会そのものが問題おおありなカルト団体である以上、まともな被害報告を出そうと思えば出せるはずですが、なぜによりによって怪文書を出すのかなあ・・・。


多分、ついでに従軍慰安婦問題を否定したいからなんだろうなあ・・・。